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続、小説・吸血鬼の村  作者: iris Gabe
第一部
3/20

3.煩雑極まらぬ村の掟

 さあ、これから十人の個性的なプレーヤーによる壮絶なオンラインゲームがはじまる。あなたは、私(小間使い葵子)を操るプレーヤーとなって、生死を賭けたこのゲームに参戦をしなければならない。

 この小説を読み進めていくあなたは、途中で幾度か決死の選択をしなければならなくなるであろう。そして、それぞれの場面で的確な判断をするためには、どうしても村のおきてであるルールの掌握が不可欠となる。しかしながら、ここで展開される『吸血鬼の村』というオンラインゲームは、ルールが煩雑極まりないことでも知られている。

 これからその『吸血鬼の村』のルールを説明させていただく。おそらく、読者には多大なご負担をここでかけてしまうことになるが、どうかご容赦を願いたい。また、読者の中には、人狼ゲームに豊富な知識を持たれた方も少なからず見えるであろうが、仮にそうであったとしても、もう一度この場で、この小説における特殊ルールの詳細を確認してから、先に進んでいただきたい。


 ゲームの参加者は『村人側』と『吸血鬼側』の二つの派閥チームに分かれる。各プレーヤーは(一部の例外を除いて)お互いに他人の正体を知らされていない。もしあなたがチームの勝利を目指すなら、会話のやり取りを通じて、他人の正体を一人一人暴いていくしか手立てはない。

 それではゲームの大雑把な流れを説明しよう。ゲームは『一日』というターンを繰り返しながら進行する。一日は細かく分類すると、朝の報告、昼の会議、夕刻の処刑投票、闇の夜、となっている。

 朝の報告は、魔物の活動などによって前夜に生じた死者の確認が行われる。確認といっても、死んだ人間が誰なのかが報告されるだけであって、死因やその人物の正体は明らかにはされない。

 その後、昼の会議となり、生き残っているプレーヤー達のあいだで自由奔放な討論が行われる。この会議の時間帯が一日の中で最も長く、ゲームの大半はここで費やされることとなる。

 夕刻になると、生き残ったプレーヤー達の中からたった一人だけの処刑が執行される。処刑される人物は、各プレーヤーが一票ずつ権利を持った投票によって選出される。最も得票を得たプレーヤーが一人、処刑されてゲームから離脱するのだ。最多得票者が複数生じた場合でも、乱数によってその中の一人が選ばれて処刑されるので、いずれにしても、毎日夕刻になると必ず一人が処刑によってはかない命を失う、ということになる。

 処刑が執行された後は、一日で最も危険な夜となる。夜になれば冷血無比な吸血鬼が活動を起こすからだ。彼らは毎晩一人の人物に対して、出血多量で殺す(失血死させる)か、吸血鬼に感染させる(感染させる)、ための襲撃を行うことができる。失血死した人物はゲームから強制離脱させられ、以後はゲームを黙視するのみで、コメントすら許されなくなる。それに対して、感染させられた人物(感染吸血鬼)は、翌朝になっても通常の行動を取ることができるので、見た目では健康な人物と区別することができない(ただし、翌日から毎晩、夜空に飛び立って村を徘徊する)。

 厄介なことに、感染吸血鬼は当の本人にも感染させられたという自覚症状が出ない。そして、感染吸血鬼はもはや人間ではなく、後述する勝利条件の村人の数にも数えられないため、生き残っている人はたくさんいるのに、気が付けば村が吸血鬼に乗っ取られてしまっている、ということも十分に起こり得る。


 ゲームには様々な特殊能力者が登場する。天文学者は、望遠鏡を覗き込んで夜空の監視を行い、猟師は、ある人物を護衛しながら、あわよくば魔物を打ち殺そうと、人知れず機会をうかがっている。

 今回のゲームでは、十人のプレーヤーが参加している。そして、ゲームのはじめに十人には銘々の役柄が設定される。内訳は、吸血鬼が二人、天文家が一人、猟師が一人、片想いが一人、その想われ先の相手が一人、使徒が一人いて、残り三人がなんの能力も持たない村人である。それではさっそく、それぞれの配役の特徴を確認していこう。


 まずは吸血鬼から説明する。吸血鬼は、吸血鬼側のチームに属し、村を乗っ取ろうと目論もくろんでいる。

 ゲームのはじめには吸血鬼は二人いる。二人のあいだには上下関係があり、上位の吸血鬼を吸血鬼の王と呼び、『吸血鬼K』と、下位は女王ということで、『吸血鬼Q』と記述する。さらに、ゲームが進行すると、感染させられた村人(感染吸血鬼)が出てくるが、それらと区別をするために、はじめから吸血鬼であるKとQのことを、『オリジナル吸血鬼』と呼ぶことにする。いうまでもないことかもしれないが、Kは男、Qは女と勝手に決めつけないでもらいたい。単に上下関係を意味するもので、プレーヤーの性別はどちらの可能性もあることを、ここに補足しておく。

 夜になると、吸血鬼はひそかに夜空へと飛び立ち、散歩をしながら犠牲者を探す習癖を持っている。そして、オリジナル吸血鬼はそれぞれ、狙った人物を一人だけ襲撃する。オリジナル吸血鬼が二人いて、二人が同時に一人の人物に襲い掛かれば、襲われた人物は失血死となって殺されてしまう。もし、二人の鬼が別々の人物に襲い掛かれば、上位の吸血鬼Kに襲われた人物が、感染吸血鬼になる。オリジナル吸血鬼のうち、一人がすでに死んでしまった時は、残った一人の吸血鬼に襲われた人物は、必ず感染吸血鬼になる。この点に関しては、前作『小説・吸血鬼の村』で取られたルールと全く逆であるので、読者は十分に注意をしていただきたい。

 要約すれば、今回のルールでは、二人のオリジナル吸血鬼に同時に襲われた時だけ、その人物は失血死することになる。オリジナル吸血鬼の一人が襲った場合は、上位の吸血鬼に襲われた人物だけが感染させられる(下位に襲われた人物は無傷のままだ)。一人しかオリジナル吸血鬼がいなければ、襲われた人物は感染させられる。

 また、天文家と猟師だけは特別で、彼らは感染すると、翌日から毎晩、健全な村人(使徒も含む)をランダムに一人だけ襲撃して感染吸血鬼にしていく。村人にとって救世主ともいうべき能力を持つ天文家と猟師であるが、ひとたび吸血鬼に感染してしまうと、逆に最も病むべき存在と化してしまうということだ。この点に関する詳細は、天文家と猟師のそれぞれの説明の場で後述する。

 また、健全な猟師に護衛された人物を吸血鬼が襲ってしまうと、ややこしいルールがあるのだが、それについても猟師の説明の場で後述する。

 オリジナル吸血鬼が二人とも生きていれば、彼ら二人のあいだでしか判別できない秘密の交信を交わすことができる。しかし、その交信は極めて制限されたものだ。

 まず、昼の会議中に、それぞれがたったの一回だけ『目配せ』という行動を取ることができる。目配せとは、特定の一人の人物をこっそりと見つめることで、仲間のオリジナル吸血鬼にその人物を伝える行為である。お互いに、相棒が目配せをした人物を、目配せした瞬間に確認することができる。目配せの目的は、その日の夜に自分が襲い掛かりたいと思っている人物を、相棒に伝えるための合図として用いられる。そして、オリジナル吸血鬼以外の人物には、目配せが交わされたことすら、察知することができない。

 しかし裏を返せば、昼の会議中には、目配せ以外の方法で相棒とひそかに交信することはできないということになる。通常の会話ならば、なんどきでも交わすことはできるが、その内容は他人にも筒抜けとなる。

 もう一つの秘密の交信手段として、夜間に相棒のオリジナル吸血鬼に向けて、手紙を出すことができる。残念ながら、手紙が出せるのは一晩に一回きりなので、会話のやり取りにはならない。しかし、目配せよりもはるかに多くの情報を相棒に伝えることができるので、この手紙のやり取りこそが吸血鬼側の勝利を左右するといっても過言ではない。


 次に『王に魅せられし者』と称される『使徒』について説明をしていこう。使徒は、チームとしては吸血鬼側に属しており、吸血鬼側が勝利することを目指している。

 少々ややこしくなるが、使徒は『吸血鬼側に属している村人』と分類することにする。すなわち、使徒は、村人(非吸血鬼)であり、同時に黒(吸血鬼側に属するプレーヤー)でもある、ということだ。別ないい方をすれば、『村人』という言葉は、吸血鬼でない人物を指すことになる。

 そして、使徒は、二人いるオリジナル吸血鬼のうち、吸血鬼Kが誰であるかを、ゲームのはじめから知っている(吸血鬼Qの正体は知らない)。設定としては、健全な村人であった人物が、偶然にも吸血鬼Kの姿を目撃してしまい、それに魅了されて吸血鬼側のしもべと化した、ということになっている。

 使徒は、吸血鬼Kの正体を知っている以外にはなんら特殊能力を持たないが、吸血鬼側の勝利を目指して、正体をひた隠しながら村人側を混乱におとしめることができる。


 次は最も重要な特殊能力者である天文家だ。村人側に属する『天文家』は、通称『未来を見通す者』と呼ばれている。彼らは毎晩望遠鏡を用いて、ある一人の人物に狙いを定めて観測をすることができる(ただし、夜に観測する人物は、昼の会議の最中に決めておかなければならない)。もし、その人物が吸血鬼であった時には、夜空に向かって飛び立つ姿を観測することとなる。吸血鬼でない人物が夜空に飛び立つことはないので、天文家は、毎晩一人の人物について、鬼なのかそうでないのかを、確認することができる。ただし、飛び立つのを観測しても、その人物がオリジナル吸血鬼なのか感染吸血鬼なのか、の判別まではできない。

 天文家が人物Aを観測していて、同時にその夜に吸血鬼の襲撃で人物Aが感染させられたらどうなるか、についても説明しておこう。感染吸血鬼は、感染させられた日の翌日から吸血鬼と化して夜空を散歩するので、感染させられた当夜には夜空には飛び立たない。したがって、天文家は、人物Aがその晩は夜空に飛び立たなかった、と観測する。

 一方、吸血鬼の襲撃は天文家の観測の後で行われるので、天文家が夜空に飛び立たなかったと観測したにもかかわらず、その晩に、人物Aは吸血鬼の襲撃を受けて感染させられていることになる。もし、次の晩に再び天文家が人物Aを観測すれば、今度は人物A が(感染吸血鬼なので)夜空に飛び立つのを観測する。

 村人側の頼みの綱である天文家も、ひとたび吸血鬼に感染させられてしまえば、とても厄介な存在となる。感染した当日の夜には、感染させられたという自覚症状は出ず、その夜に観測した人物が飛び立ったか飛び立たなかったかの記憶だけはしっかりと覚えている(その夜の観測はできる)。そして、翌日の夜になって初めて、観測する能力が失われていることに気づき、己の感染を自覚することとなる。

 ところが、事はそれだけでは済まされない。天文家と後述する猟師は、一旦感染すると、単なる感染吸血鬼に留まらず、村人を襲撃する恐ろしい魔物と化す。すなわち、感染させられた翌日からは、毎晩、無意識に健全な村人の一人に狙いを定めて襲撃を行い(襲撃先はその晩に観測しようとした人物が優先されるが、そうでなければランダムに決められてしまう)、その人物を吸血鬼に感染させてしまうのだ。さらに、感染天文家の夜間行動は無意識に行われるので、誰を襲撃したかを感染天文家はなにも覚えていない(これについては感染猟師も同様である)。


 次に『未来を救う者』と呼ばれる『猟師』について説明しよう。猟師も村人側に属し、村人側の勝利を目指している。昼の会議中に、ある人物を選び、夜になってから一晩中護衛することができる(護衛する人物として自分自身を選択することもできる)。一晩に護衛できる人物は一人だけに限られる。また、護衛の成功の有無にかかわらず、猟師が健全であれば、翌晩以降も誰かを護衛することが可能だ。

 猟師が護衛している人物を、吸血鬼が襲撃した場合には、その襲撃は無効となる。この行為を『ブロック』といい、ブロックに成功することを『GJグッド・ジョブ』という。

 GJすれば、護衛された人物は無傷のままであり、猟師はブロックしたことを翌朝に自覚する。しかし、誰が襲撃してきたのかまでは知ることはできない。一方、ブロックされた吸血鬼側は、オリジナル吸血鬼であれば、襲撃の失敗を自覚するが、感染吸血鬼であれば、自分が他人を襲撃したことも、ブロックされたことも何も覚えていない。

 吸血鬼の正体を知らない猟師は、ときには吸血鬼を護衛してしまうこともある。この場合は、護衛先の吸血鬼が襲撃を受けることはあり得ないため、必然的に、翌朝『GJをしなかった』と自覚することになる。護衛した相手が恐ろしい吸血鬼であったことには全く気づかない。

 さらに、猟師は全ゲームを通じてたったの一晩だけ、『銀弾』を使用することができる。銀弾を使う時は、昼の会議で護衛先を指定する際に、同時に銀弾の使用を指定しなければならない。銀弾を設定した晩に、護衛先の人物が襲撃されなければ、翌朝に銀弾は消えてなくなってしまう。しかし、銀弾を設定した護衛先がその晩に襲撃されれば、襲った吸血鬼を『返り討ち』で仕留めて殺すことができ(返り討ちした後でも、銀弾は消滅する)、襲撃はブロックされて失敗に終わる。護衛先が複数の吸血鬼から襲われた場合は、吸血鬼K、吸血鬼Q、感染吸血鬼、の順で優先順位の高い吸血鬼が一人だけ殺され、他の吸血鬼は生き残る。その際、猟師は、生き残った吸血鬼の正体を知ることはできず、襲撃が単独なのか複数によるものかを知ることはできない。

 少しややこしいので具体的に説明してみよう。猟師が人物Aを銀弾で護衛していた時に、吸血鬼Kと吸血鬼Qが同時に人物Aを失血死狙いで襲撃すれば、GJは発動して、人物Aは被害を受けずに、銀弾がさく裂して、優先順位の高い吸血鬼Kが殺される。翌朝には、吸血鬼Kの死体が出て、猟師の銀弾は無くなり、人物Aと吸血鬼Qは健全のままである。吸血鬼Qは、相棒の死と人物Aへの襲撃失敗を自覚するが、GJした猟師が誰なのかまではわからない。猟師はGJの成功により死体が生じたことを自覚するが、襲撃が単独犯であったのか複数犯であったのかを知ることはできない。人物Aは自分が襲撃されたことすら覚えていない。

 もう一つの例として、猟師が、人物Bを銀弾は使わずに護衛した夜に、護衛先が吸血鬼Kと感染吸血鬼から同時に襲われた時には、GJが発動する。その結果、吸血鬼KはGJされたことを自覚するが、GJをした猟師の正体を知ることはできない。人物Bは被害を受けず、その夜に襲われた自覚もない。猟師はGJが成功したことを自覚するが、襲ってきた人物とその人数を知ることはできない。感染吸血鬼は、自らが襲撃を行ったことも、GJされたことも、なにも覚えていない。

 以上の例では、護衛先の人物A、または人物Bが猟師自身であった場合にも、同じ結果となる。

 また、猟師が他人を護衛した晩に、吸血鬼から襲撃されれば、銀弾の使用の有無にかかわらず、猟師は被害を受け、吸血鬼は無傷で目的を達成することになる。

 このように、直接吸血鬼を殺す能力を持った猟師は、村人側にとってこの上なく心強い存在であるが、ひとたび感染させられると、天文家と同様、極めて厄介な存在となってしまう。

 猟師が感染させられても、その晩まではGJを発動することができる。しかし、感染した猟師は、翌朝になった時点では感染の自覚症状はなく、その次の夜に仕事がこなせないことを自覚して、初めて自分の感染に気づく。

 そして感染した猟師は、感染天文家と同じく、次の晩から健全な人物を襲撃して感染吸血鬼にしてしまう。感染猟師の襲撃先はランダムで決められるが、その日に猟師が護衛しようとした人物が優先されて選ばれる。感染してしまえば、猟師の銀弾はその時点で効力を失う。


 次に説明するのが、『片想い』である。片想いは村人側に属しており、村人側の勝利を目指している。そして、片想いは、ある一人に恋焦がれている。そのお相手である人物を『想われ先』と呼ぶ。ただし、想われ先の人物は必ず『非能力者』であり、天文家や猟師、使徒や吸血鬼に恋焦がれることは決してない。そして、片想いと想われ先の人物は、必ずお互いに異性である。

 片想いは想われ先を意識しているが、想われ先は自分が想われているという自覚はなく、誰が片想いなのかも知る由がない。

 そして、片想いは、想われ先が吸血鬼に感染させられると、すぐさまその事実に気づく能力を持っている。しかし、想われ先が死んでしまえば、悲しみの余り、夜のあいだにこっそりと自殺(『後追い自殺』)をしてしまう。

 例えば、オリジナル吸血鬼KとQの二人が、想われ先の人物を一斉に攻撃して失血死させると、片想いは夜のあいだに後追い自殺をするので、翌朝には二人の死体が同時に生じることになる。また、想われ先の人物が処刑投票で吊るされてしまうと、やはり夜のあいだに後追い自殺をするので、翌朝に片想いは遺体となって発見されることになる。もし、その状況下で、吸血鬼が別な人物への失血死を成功させると、翌朝には片想いと失血死被害者の二人の遺体が発見されることになる。

 片想いは、感染させられても特殊能力を失うことはない。しかし、恋慕の情はあくまでも一方通行であり、片想いが死んでも、想われ先の人物はその遺体が自分を想っていた人物であるという事実には気づかない。

 最後に、『村人』であるが、彼らは村人側に属し、なんの能力も持たないただの善良な住民(『非能力者』)である。


 さて、ゲームの勝利条件であるが、村人側は、全てのオリジナル吸血鬼を殺した時点で、勝利する。一方、吸血鬼側は、『健全である村人』(具体的には、まだ感染していない天文家、猟師、片想い、使徒、村人のこと)の合計人数を、『生き残っているオリジナル吸血鬼』の人数と同数か、または少なくした時点で、勝利を収める。どちらか一方のチームの勝利条件が実現された時点で、ゲームは終了する。


 夕刻に行われる処刑は、まずは生き残りプレーヤー全員で、処刑者を決める投票がなされる。投票は各自が一票ずつ、生き残っている誰か一人の名前を記入して集計される。今回の小説では、投票は記名式で行われ、白票は許されない。その日の投票で最多得票を得た人物は(同数の最多得票者が複数出た場合には、その中からランダムに一人だけが抽出されて)、聖なる杭を胸に打ち込まれて処刑される。

 処刑が終われば、投票結果と処刑された人物の名前が各プレーヤーに報告され、それから夜に移る。したがって、天文家の観測先の指定、猟師の護衛先の指定、オリジナル吸血鬼たちの目配せ及び襲撃先の指定、などの行為は夕刻の前までに済ませていなければならない。

 夜間に交わされるオリジナル吸血鬼の手紙交換は、互いに夜が明けるまでに手紙を書き終え、翌朝に相棒の手紙を確認する。


 さあ、物語はいよいよゲームに突入します。

 私こと小間使い東野葵子に告げられた配役は――、全く予想外の、吸血鬼Qでした!

 そして、上司にあたる吸血鬼Kは、村長の一人娘梅小路琴音です。

 私たち二人は、お互いの正体を認識していますが、もう一人の味方である使徒が誰なのかは知りません。一方、使徒は、琴音が吸血鬼Kであることを知っていますが、私がQであることは知りません。

 私たち三人は協力して吸血鬼側の勝利を目指しますが、果たしてうまくいくのでしょうか?

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