15.蛞蝓の襖
三日目を迎え、四名の村人を葬った私たち吸血鬼の行動は、これ以上にないほど、完璧であったように思われます。現在生き残っているプレーヤーは、吸血鬼Kである令嬢梅小路琴音と、Qである私――小間使い東野葵子、天文家宣言をした書生飯村和弥に、猟師宣言をしている小説家望月浩然、そして、さすらいの行商人猫谷庄一郎と、謎の子守り娘蕨崎千恵子の、六名です。
飯村和弥は、初日の晩には私が吸血鬼であることを、二日目の晩には望月が吸血鬼であることを、観測したと主張しています。さらに、その望月は、私たちによって、初日に確実に感染させられています。
私は、天文家を騙りつつも、吸血鬼側の勝利を目指しています。そして、初日の晩には、土方晃暉中尉が白であったことを観測したと、偽りの報告をしております。
それでは本編の最後を飾る『蛞蝓の襖』の質問です。あなたが私の立場にあれば、昨日(二日目)の晩の観測結果として、次のどれを報告なさいますか?
1、書生和弥を観測し、夜空に飛び立っていったと報告する。
2、小説家望月を観測し、夜空に飛び立っていったと報告する。
3、小説家望月を観測し、吸血鬼ではなかったと報告する。
4、行商人猫谷を観測し、夜空に飛び立っていったと報告する。
5、子守り千恵子を観測し、夜空に飛び立っていったと報告する。
6、子守り千恵子を観測し、吸血鬼ではなかったと報告する。
7、令嬢琴音を観測し、夜空に飛び立っていったと報告する。
8、令嬢琴音を観測し、吸血鬼ではなかったと報告する。
今回の決断は、後のゲームの勝敗を大きく左右することになるでしょう。さあ、賢明なる読者の皆さま――、私の次なる行動を、どうぞ、見事にお当てくださいませ。
これが最後の質問です。さあ、小間使いになったつもりで最善の選択をしてください。