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続、小説・吸血鬼の村  作者: iris Gabe
第三部
13/20

13.牙を剥く吸血鬼(二日目、夜)

 ゲームは二日目の夜を迎えている。処刑された菊川氏の手によって作られた赤蝋燭に灯されたくすぶる炎を眺めながら、私は味方の琴音に向けて手紙を書きはじめた。

 さて、ここまでは全てが順調に進んでいる。今晩、志乃を襲って、首尾よく彼女が想われ先であれば、明日の朝には将校と女将の二人の遺体が発見されることになる。たとえ、志乃が想われ先でなくても、翌晩になってから、想われ先と確定した千恵子を襲撃するまでだ。

 それに、私と琴音の二人には、まだ吸血鬼であるという疑いすらかかっていない。


   敬愛すべき吸血鬼Kさま――

 ここまではなにごともなく順調に進んでおります。書生はおそらく真の天文家でしょう。小説家が真の猟師なのかうそつきなのかは、彼の明日の言動ではっきりと判明するはずです。なにしろ、Kさまの聡明なるご判断によって、小説家はすでに感染させられているのですからね。

 女将と子守りのどちらかが将校の想われ先であることは間違いないので、順につぶしていく作戦は賢明なご判断だと思います。さすがは我がお慕い申し上げるKさまでいらっしゃいます。

   あなたの忠実なるしもべより


 夜が明けて、琴音から送られてきた秘密の手紙に、私は目を通す。


   親愛なる小間使いちゃんへ――

 昨日の天文家同士のやり取りは圧巻やったわ。やり込められた書生の顔といったら、いまでも思い出すと、うち笑いがとまらへんのよ。

 それからね、よっぽどあり得んことだとは思うけど、女将さんが猟師で、自分を銀弾で護衛していたら、うちが返り討ちにおうて死んでしまうんで、そん時はあとをよろしく頼みます。

   あなたを応援するものより


 そしてGMから私たち吸血鬼に送信された報告は、次のようなものであった。

  令嬢琴音は、女将志乃に目をつけました。

  小間使い葵子は、女将志乃に目をつけました。

  吸血鬼は、女将志乃を襲いました。

  生き残ったオリジナル吸血鬼の数は二人です。


 GMからの報告文には、猟師による妨害の記述がなかった。どうやら、私たちの襲撃は成功したようだ。まあ、当然といえば当然のことで、猟師が七竈の女将を護衛することは、まず考えられない。

 そして、私たちの思惑通り、志乃が将校の想われ先であれば、明朝には志乃と土方の二人の遺体が同時に発見されることになる。さあ、翌朝が楽しみだ……。

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