I love you,Please don't like me.
ゲームや物語には必ずしも経緯があり、オープニングがある。
それと同じ様に。同じ様に…。
×××× is not end
「お前、どうしたの?腕…すごい傷だね。
うちに行こう、治してあげる。」
そう言われて僕は彼女に抱きかかえられ、家に連れて行ってもらった。
その時僕は言葉を理解できなくて、返事をしようにも返事ができなかった。
そう、この時僕は汚い黒猫だった。
前足は2年前の大災害の傷で動かせなくなっていた。
「可愛いなぁ。あぁ、そうだ、名前つけてあげないとね。」
名前。 それは後に君を苦しめる。
ふと思いついたのか、僕を指差して叫んだ。
「今日からお前の名は…優だ!!」
ユウ。そうか、僕は優なのか。
…と、理解出来る様になったのは僕が人間になってからのお話。
彼女は毎日毎日僕を手当してくれた。
僕はだんだん彼女を好きになっていった。
だけど、この思いは伝わらない。
それは僕が猫だから。
どれだけ愛を語っても彼女には鳴き声にしか聞こえない。
「あぁ、独り占めしたいな。 」
ふと呟いた。
「じゃあ独り占めするかい?」
振り返れば黒髪の魔女がいた。
猫語を理解している辺り、一般人ではない。
恐る恐る聞いてみた。
「どうやって?」
「簡単な事さ。君が僕と契約して…人間になっちまえばいいんだ。ちゃんと、惚れる見た目にしてやるよ。」
僕の顎を指で上げて、魔女は語る。
「さぁ…どうするかい?愛されないままか、愛されるか。」
答えは決まっている。
貪欲で滑稽な僕に似合う、答え。
「彼女に愛されますよ…僕は、必ず…!!!」
それが、ゲームの始まりだった。