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僕等 〜約束〜  作者:
3/28

第3話:小さな少年

「茗!!会いたかった!」

「ナツ?!」

羽稀は茗に引っ付いているその少年を引っぱりはがした。

「…お前、誰?」

「離せよぅっ!!お前こそ誰だよっ!」

「ちょっと、羽稀!相手は子供なんだからぁ…」

「子供じゃないやいっ!」

(語尾が子供くせぇな…)

「羽稀、この子は小池こいけ 奈津なつっていって、私が住んでた所のお隣家の子供でね、とても仲が良かったの。同じ学校だったし…」

「は?同じ学校?こいつ、どう見たって小学生…」

「失礼なやつだなぁ!僕は中学2年生だよ!」

「中2?にしちゃ、やけにちっこいぞ。こいつ」

「うっさいなぁ!こっちも気にしてんだよ!!」

「もう!二人ともやめてよねっ。向こうの学校は『小等部』『中等部』『高等部』のエスカレーター式の学校なの。」

「だから、こんなちっこいのも同じ学校なのか…」

「ちっこいゆーな!!!!」

(…こいつ本当に中2かよ……)

「いーかげん手離せよなっ!」

そう言って、『自称中学二年生の少年、ナツ』は、羽稀の手を振り払った。

「ナツ、この人も年上なんだからその態度は失礼なんじゃない?」

「…わかったよ。」

(茗が言うとやけに素直だな…)

「おい!そこのやつ!茗が言うから態度を改めてやるよっ」

「や、全然改まってないから!!」

ナツは羽稀の突っ込みに対して反応を示さずに、言葉を続けた。

「お前、名前なに?」

「…樋口、羽稀だけど。」

「ふーん。羽稀ね。」

「呼び捨てかよ…」

「僕の事はナツ様って呼んでいーぞ。」

ナツがそう偉そうに言うと、羽稀はもう呆れかえっていたが、茗は若干怒りモードだった。

「ナツ!!」

「じょ、冗談だよ〜!茗〜…。」

(全く、このマセガキが…)

「羽稀に謝ってよねっ。」

茗がそう言うと、ナツは素直に羽稀の方を向きなおしてペコリと頭を下げた。

「羽稀お兄ちゃん、ごめんなさい。」(お兄ちゃんを強調して)

顔を上げたナツは、明らかに本気で謝罪しているような感情は読み取れない悪戯っぽい笑顔だった。

思いっきり笑うと、八重歯がにゅっと出て余計に悪戯っぽくみえた。

(反省してねぇな…。ま、いっか)

「とりあえず家の中に入ろっ。立ちっぱなしじゃ疲れちゃうよ。」

「そうだな。あと引越しの手伝いとかもするし。」

「ホント?助かるよ〜。大きな家具は一人じゃ動かせなくてね、困ってたの。」

茗はそう言うと、家の鍵を鞄からとりだして鍵を開けて家に招き入れてくれた。

「で、ナツは何しに来たの?」

茗がお茶とお菓子を用意しながらそう聞くと、ソファーに座ってキョロキョロと家を見ていたナツは、怒ったようにソファーを立った。

「何しに来たの?…じゃないよっっ。僕は茗を迎えに来たんだから!!」

『迎えに来た〜??』

茗と羽稀が口をそろえてそう言うと、ナツはますます怒ったようで、茗の袖を引っ張った。

「だから僕は引越しの手伝いなんかしないからねっ!!」

ナツはそれだけ言うと、プイッとそっぽを向いてしまった。

「何でこのちっこいのが茗を迎えに来るんだよ。」

「ちっこいゆーなぁ!!!!」

ナツは八重歯をちらつかせながら、怒って羽稀に殴りかかりながら(羽稀は片手でナツの頭を押さえつけた)そう言った。

「どうして帰らなくちゃいけないのっ?私さっきココに着いたばかりじゃないっ!!」

「ごめんね、茗。茗には可哀想だけど、仕方ない事なんだ…。」

「何でだよ。」

「…理事長先生の命令なんだ。」

「理事長先生の??」

「何でまた理事長がそんな命令すんだよ。つーかお前もその命令に乗んなよ。」

「うっさいなぁ、羽稀お兄ちゃんに言われる筋合いはないよ。茗は分かってると思うけど理事長先生の命令には逆らえないんだ。」

羽稀はナツの言ってる事にムッとしながらも、ナツの言ってる事を確かめるように茗を見た。それに対して茗は、渋々コクンと頷いた。

「理事長先生は何て命令したのよ。」

「『成績優秀で秀才コースに入ってる、その上秀才コースでもトップの’’水無月 茗’’の存在を失うのは惜しい。是非、我が“皇雅学園”での特別コースに進んでいき、我が校の誇りとして卒業して欲しい。そして卒業後も“皇雅学園大学”に特待生として入学、学者もしくは“皇雅学園大学”の教師としての活動を願っている。』と、理事長先生から手紙を預かったんだよ。」

ナツは茗に、達筆で細かい沢山の字が並ぶ、紙を手渡した。

(茗ってそんなに優秀だったのか…。ちょっとビックリ…)

しかしそれをもう一度読み返すと、茗はバシッと言い放った。

「却下!!」

『は?』

手紙をナツに突っ返すと、何事もなかったかのようにまたお茶とお菓子の用意をし始めた。

「何で却下なのさ!」

「…ナツはお茶いらないよね?もう帰るんだから。」

「ちょっと…茗〜っ!無視しないでよっ。それに茗が一緒に帰るって言うまで僕は帰らないつもりだよ!」

「そんな事いったらナツ、一生帰れないじゃん。私は絶対に皇雅学園には戻らないんだからっ。」

「僕だって!茗は絶対に皇雅学園に連れて帰る!!」

(二人とも強情だなぁ…)

「…ってか、何でお前が茗を連れに来たわけ?」

「羽稀お兄ちゃんには関係ない…っ」

ナツの言葉を遮るように、羽稀は突然ソファーから立ち上がり身長でナツを威圧した。

「俺に関係ない?」

するとナツは驚くほど素直になった。

「…関係無くないデス。」

「で、何でお前が来たんだよ。」

「茗も優秀だったけど、僕だって優秀なんだぞ。ついでに言うと、僕の方が優秀なんだぞ。」

羽稀はそう言って自慢するナツに疑うような目を向けた。

「ほ、ホントだぞっ!!茗に聞けば分かるってば!」

羽稀がそう言われて茗を見ると、茗は力強く頷いていた。

(まじかよ・・・)

「茗より優秀って言っても『中2で』だろ?」

「違うよ!失礼だなぁ。僕はもう大学のカリキュラムを受けてるんだからなっ。」

「…まじ?」

「もち。」

「とにかく!!ナツはもう帰って!私はナツとか帰らない。」

「こ、こんな時間じゃ帰れないよ!」

ナツがそう言って初めて気づいたが、外はすっかり暗くなっていた。

「…それはそう、だけど…。」

「決めたっ!!茗が『戻る』って言ってくれるまで、僕もここに住む!!!!」

そして暫しの沈黙の後、羽稀と茗の大きな驚きの叫び声がその場に鳴り響いた。


いきなりですが!登場人物のプロフコーナーでっす♪


 樋口 羽稀(17) *ひぐち うき*


身長 :175cm  体重:58kg

血液型:A型

星座 :双子座(6/11生)

部活 :バスケ部


 水無月 茗(16) *みなづき めい*


身長 :158cm  体重:45cm

血液型:O型

星座 :うお座(2/21生)

部活 :???


 藤峰 紗織(17) *ふじみね さおり*


身長 :164cm  体重:49kg

血液型:AB型

星座 :しし座(8/19生)

部活 :陸上部


 小池 那津(14) *こいけ なつ* 通称:ナツ


身長 :143cm  体重:33kg

血液型:B型

星座 :おとめ座(8/24生)

部活 :???


えー、茗と那津の部活が不明ですが、後々掲載するつもりです。

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