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僕等 〜約束〜  作者:
10/28

第10話:勉強会?

「だから、悪かったって言ってるじゃん」

沙織は謝っているとは思えないような軽さでそう言う。

羽稀は不機嫌そうに顔をムスッとさせている。

横目で沙織をチラと見やる。

「さっきも言ったけど、俺は また(・・)お前のせいで昨日10周走ったわけで。もうめちゃくちゃ疲れてたわけで」

そういいながら軽くため息をつく羽稀。

沙織を苦笑交じりにの表情に変わる。

「で、でもさ、勉強教えてくれるって言っただろ?」

「こんな朝早くからとは聞いてない」

「う・・・、ごめん」

さすがの沙織を無表情で淡々と冷たく言い放つ羽稀に、しゅんとなった。

「はぁ・・・、もういいよ。折角起きたんだし、ビシバシ教えてやるよ」

笑顔でそう言う羽稀だが、そのオーラはどことなくドス黒い。


― 今から10分程前


ピーンポーン♪ピーンポーン♪・・・・・・ピンポピンポピンポピンポ・・・ピポピポピポピポ・・・


「だー!うるさーい!!」

「お、やっと起きたな」

俺は“朝っぱらから家のチャイムを鳴らしまくるような女”は、今まで見たこともない。

目の前にいる“朝っぱらから家のチャイムを鳴らしまくった女”は、俺の不機嫌且つ迷惑そうな顔なんて全く見えてないようなすてきな笑顔だ。

「おはよう、樋口♪」

俺は目の前の妙にムカつく笑顔の女のデコを弾く。


なんでこんな朝っぱらから起きなきゃいけねぇんだ。俺は昨日藤峰が半ば無理矢理さぼらせたせいで部活が終わった後一人残って10週走ったんだぞ?今日は土曜日だ。部活はない。お昼まで寝ててもいいくらいだ。大体コイツはなんだ?えぇ?人を早くに起こしておいてこの笑顔はなんだ?…ドSか?!・・・いや、そんな事は俺がMじゃない限りどうでもいい。俺は人に弄られて喜ぶような変態じゃない。そういやうちのクラスにドMでホモとかいう噂の奴がいたなぁ。男に蹴られて笑顔+嬉しそうな声色で「なんだよぉ♪やめろよぉ♪」というのを聞いた事がある。気持ちの悪い奴だ。…って、そうじゃないだろ!とにかく俺は眠い。寝たい。よし、寝よ。


俺は心の中でそう毒づいたつもりだったが、寝起きとは怖いものである。

思いっきり口に出していた。

「なんでこんな朝っぱらから起きなきゃいけねぇんだ。俺は昨日藤峰が半ば無理矢理さぼらせたせいで部活が終わった後一人残って10週走ったんだぞ?今日は土曜日だ。部活はない。お昼まで寝ててもいいくらいだ。大体コイツはなんだ?えぇ?人を早くに起こしておいてこの笑顔はなんだ?…ドSか?!・・・いや、そんな事は俺がMじゃない限りどうでもいい。俺は人に弄られて喜ぶような変態じゃない。そういやうちのクラスにドMでホモとかいう噂の奴がいたなぁ。男に蹴られて笑顔+嬉しそうな声色で「なんだよぉ♪やめろよぉ♪」というのを聞いた事がある。気持ちの悪い奴だ。…って、そうじゃないだろ!とにかく俺は眠い。寝たい。よし、寝よ」

藤峰はポカンとしている。

「…樋口。声に出てるぞ」

「……え」

暫しお互いに無言。

あれ?俺何て言った?

藤峰はちょっと呆れ顔で俺をジッと見ている。

(樋口って寝起き最悪なんだ…。あ、寝癖。可愛い。)

「と、とにかく。俺は眠いんだよ。勘弁してくれよ」

「まぁ、朝早くから来たのは悪かったよ。でも一昨日約束したろ?」

「お前なぁ…。それが謝る態度かっ!」


あぁ、俺って最近ついてないな。



まぁ、そういうわけで、結局俺はその後、藤峰を連れて茗の家に行って、勉強会をするはめになった。…眠い。


「で、何がわからないんだ?」

沙織がもうずっと問題集と教科書と睨めっこしているのに見かねて、羽稀が言った。

「…数学」

沙織はシャーペンの後ろを顎に当てながら羽稀をチラッとみやる「数学の、どこ?」

沙織は気まずそうな顔をした。

「どこがわかんないのかわかんないくらいわかんないって言うかー…」


出た。

"わからない"の最上級だ。


「ほぅ‥じゃあ1からみっちり教えてやるよ」

満面の笑みを浮かべて言うと、藤峰は顔を引きつらせて苦笑した。

「お、お手柔らかに」

それから俺は藤峰に公式という公式を理解・覚えさせるために約2時間費やした。

「―で、sin・cos・tanの公式がそれぞれ‥こうなるわけ。‥わかった?」

藤峰は少し不安気に頷いた。

茗はそんな様子を可笑しそうに、遠巻きにクスクス笑っている。

「あ゛ー、喉かわいた!休憩にしようぜ」

「・・・そうね、頭パンクしそう」

紗織は夏の暑さではなく数学に完全にやられていた。

「ねぇ、茗。喉乾いたんだけど・・・」

結局一切紗織の勉強を手伝わなかった茗は一人だけ涼やかな表情だった。

「水道水でいいならあるけど」

にこっと笑顔でそう言う茗。冗談か?天然か?

「・・・水道水はちょっと」

「仕方ないなぁ、じゃあ買ってくるよ」

パタパタと2階にあがり、小さなポシェットを持ってくると、そこに財布だけをいれて、茗は近くのスーパーまで買出しに行った。

羽稀はふぅ、と息を吐いて窓の外を見つめた。

(あっ)

紗織は羽稀のこの表情をよく知っていた。

一人で居る時によくする表情で、紗織は羽稀のこの表情が切ない程好きだった。


そう、あれは私が初めて樋口羽稀を見た日だ。


久しぶりに更新することができましたm(__m)

最近は学校学校バイトバイトで小説を書く余裕がありませんでしたが、そろそろ余裕が出てきて、話も練りに練れたのでこれからはじゃんじゃん更新していくつもりですので、よろしくお願いします。

良いところも悪いところもメッセージいただけると嬉しいです^^

李でしたっ

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