恐怖
あなたが世界に怯えている
急ぎ足で過ぎ去った誰も彼も
一瞬の体温を残して
インターネットで蹴倒し合う誰も彼も
皆が皆を見ていて
社会性動物の私たちは
自分と他人との境が時たま分からない
朝焼けが夕焼けみたく
真昼の星々が夜空みたく
あべこべなこの街で
あなたが世界に怯えている
多次元宇宙の確率が
私とあなたの存在を知らしめて
浮遊する場にただ漂っていた
暗くて青くて透明で
私たちの身体を通過する
何かはずっと私とあなたの声を聞いている
私が子どもであることを許してくれなかったように
世界は
あなたが大人であることを強いる
爪先だって欠けてしまうのに
心が欠けていることには気づかず
暁が燃えていた轟轟と
火種はそこにあってみんなで無視していた
ことすらまるで分からなかったのは蒙昧な私
鏡合わせのパラレルワールド
泡だけが全てだとしたら
まるで神の上に立っているみたいだ
私とあなたがその中で
円環を通して踊っている
あなたが世界に怯えている
月明かりの兎のように寂しかったら泣きますか?
責められるのが怖い幼子のように大声で泣きますか?
あなたが世界に怯えているから
私はここから動けなかった
過去の中のあなたと私は
確かに笑っていた筈なのに




