【幕間 走馬灯の夢③】皆実との結婚
「一馬、本当にわたしでいいの?」
夢の中の皆実は、いつの間にか王国の花嫁衣裳を着ていた。
周りを見回すと多くの人が、正装をして私と皆実を祝福する拍手をしている。
もう数年前には夫婦の関係にはあったが、女性にとって結婚というのはとても重い意味を持つのだろうか。
おとなびた皆実が、私を不安そうにみている。
夫婦関係にはなったものの、帝国との激戦の最中であったため、延び延びになっていた結婚式であった。
王国の勝利に終わり、その立役者である私と皆実は貴族の称号を与えられ、その結婚式は予想外に盛大なものとなってしまった。
貴族になったとはいえ、傭兵団の一員であることには変わりがなかった。
それは私と皆実が望んだことでもあった。
その傭兵団のみんなも出席してくれている。
ミーニャなどは朝から感極まって泣きっぱなしなのに、また号泣している。
ミーニャの夫のマルコも、上を向いたまま涙を流し続けている。
私達を拾ってくれた傭兵団の団長であるマルコ。
妻で参謀のミーニャ。
この二人は、いつしか私と皆実を本当の親のように見守ってくれていた。
もちろん、傭兵団という厳しい規律のある集団ではあるが、その中にも時折見せる優しさに、私も皆実も全幅の信頼を寄せるようになった。
私も皆実もまともな親には育てられなかった。
愛情というものを知らずに育った。
それをあの二人が教えてくれた。
他人を信じても良いのだということを、あの二人は身をもって示してくれた。
その二人の橋渡しもあって、皆実の心の闇を溶かし、今日、皆実は、私の妻になる。
私は皆実の肩に優しく手をのせる。
「皆実」
「はい」
「どうして異世界に転移させられたのが私達だったのだろうと、いつも考えていたんだ」
「はい」
「皆実はどう思う?」
その問いに皆実は私の目を見つめる。
「救われる為だったのかなって思うわ」
その言葉に私はニコリとする。
「本当にそう思う。でも、私を救ってくれたのは皆実なんだよ」
皆実は照れたように視線を落とす。
「違うよ。一馬がわたしを救ってくれたのよ」
「皆実がいなければ私は救われなかった。同じように皆実がいなければ、私は幸せではないんだ」
「わたしもよ。一馬がいなければ、わたしは幸せにはなれない」
「なら、一緒になるのが必然だろ?」
「本当にそう思ってくれている?」
キラキラした美しい瞳に私が映りこんでいる。
「ああ。間違いない。だって私はもうこんなに幸せなんだぞ」
私は参列者の要望に応えるようにキスをする。
「うふふ。私もこんなに幸せになれるなんて思わなかった」
皆実は美しい顔に笑みと涙を浮かべる。
私と皆実は式事に則り、参列者に向かって手を繋いだまま一礼をとった。




