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いくつもの米粒が私にかかったが、気にしたら負けだ

皆実の鼻で拳銃の弾薬をみつけさせる。


いやあ、便利だなあ。


人語を解する犬みたいなものだ。


悩んだのはトカレフにするか、92式にするかである。


元々私はトカレフ派だったし、異世界でも製造させたのはトカレフである。


トカレフは設計が1930年と非常に古いので、必要な技術が当時既にあった。


また、部品点数が少なくメンテナンスしやすい。


トカレフなら精度高く撃てる自信はある。


ただ、これから大人数を相手にするのに装弾数が8発は少し不安である。


92式は触ったことがない。


当時憧れていた高性能銃ではあるが、使い慣れていないのは不安がある。


しかし、92式は装弾数が15発もあるのは魅力だ。


貫通力はトカレフが上だが、戦場でもないから防弾チョッキなどは着ていないだろう。


92式の貫通力で十分である。


あと、私がこれから戦う無数のシナリオの一つに、92式が良いというのもある。


92式の拳銃を使うことに決めたので、制服の全てのポケットに弾薬を詰め込む。


ひまわりの種を頬張るリスみたいになってしまった。


こぼれないように、ガムテープでふさぐ。


ポケットに入らない弾薬はリュックに入れる。


二つだけマガジンローダーがあったので、皆実にも渡す。


並木には使い方が分からないだろうから、手込めで良いだろう。


ただ、並木は銃を撃ったことがないという。


並木に数発ほど、拳銃の撃ち方をレクチャーする。


最初はその衝撃にびっくりしていたが、三発、四発目にはかなりの精度で撃てるようになった。


まあ、やっぱり格闘技センスのあるヤツは、武器の分野でもセンスはあるものだ。




私はリュックから紐を取り出す。


紐と言っても大して強度はないやつ。


四階と聞いていたので、落下速度が一瞬でも止まれば十分である。


三人分の紐を中ボスが使っていた仰々しいデスクにくくりつける。


金庫のようなものがあったので、それを窓にぶち当てる。


下から「うわーっ」などの声が聞こえるが無視だ。


「じゃあ、付いてきてくださいね」


私は真っ先に紐を持って四階から飛び降りた。


皆実も慣れたもので付いてくる。


並木は恐る恐るだが、なんとか付いてきた。


ガラスが散らばっている地上に飛び降りる。


私は花咲という運転手に向かう。



「ご案内申し上げます」

花咲は胸にタクシー帽を当てたままお辞儀をする。


「茂木さんのところに行くのか?」

と並木が訊ねる。


「左様でございます」


「上で何が起きたか分かっているか?」


「はい」


「それでも茂木さんのところに連れて行くっていうのか?」


「左様でございます」


並木は首を振る。


花咲は笑顔のままである。


まあ、連れて行ってくれるならそれで良い。


私は並木の肩を叩くと、花咲の勧められるままに二列目のシートに皆実を押し込み、滑り込む。


皆実、私、並木の順に座る。


「どこか寄りましょうか? 6時間ほどかかりますが」


花咲は丁寧な語り口調で問いかける。


「ドンキに寄りたいかな」


私は新たな戦闘に向けて調達の計画を練る。


ドンキに寄った後、タクシーは海岸沿いを走る。


「お暇でしたら、テレビでも見ますか」

と花咲が声をかけてくる。


遅くなった昼飯のおにぎりを食べている皆実が

「見たい」

と答える。


テレビが映る。


いきなり皆実の顔がバンとテレビ画面に出てきた。


「うぇっ!」


皆実が噴き出す。


いくつもの米粒が私にかかったが、気にしたら負けだ。


かなり大きなニュースの扱いである。


テレビでみる皆実もなかなか可愛いものである。


だが、そんな呑気なことを言っている場合でもない。


皆実が朝イチでやらかしたことが発覚したのだろう。

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