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カエルやフナと変わらないんだよ

腹を刺された上野はプルプルと震えている。


「ああ……。そうか……。俺は用済みなのか……。へへ。でも松宮、仇は取ってやったぜ……」


なんだか辞世のセリフを述べてらっしゃる。


何を勘違いしているのやら。


「木原あああ!」


並木が激怒する。


あ、こっちも勘違いしている。


仲間を刺された並木が、佳純ちゃんを起こして、こちらに来ようとするが、佳純ちゃんはピクリともしない。


「え?」


並木が目を見開く。


佳純ちゃんの可愛らしい顔の額に穴が空いており、血液がゴポゴポと噴き出していた。


皆実が中ボスを撃ちまくっている間に、私が額を撃ちぬいておいたんだよね。


皆実の異常性に目を奪われて、誰も私に注目していなかったみたい。


私、影薄いって言われるんだよなあ。


こちらの人からすれば酷いだろうけど、源頼朝の例を出すまでもなく、

血縁者は恨みを育ててしまうから、とりま殺しておいて損はないんだよ。


生かしても得はないし、損しかない。


なら殺すでしょ?


復讐というのは凄まじいエネルギーを生み出す。


周囲を巻き込んで、権力を脅かすんだよ。


だから昔は族滅が基本だったんだな。


私は、上野の意識を現実に戻すために軽くビンタする。


「はい、上野さん、落ち着いてください。死にませんので。急所は外しているので大丈夫です。ちょっと痛いでしょうけど、絶対にナイフは抜かないでくださいね。間違って動脈を傷つけると死にますからね」


「え? ああ……」


「ご安心ください。私は何百人も解剖させられているので、死なない場所を刺してます」


「そ、そうか?」


なんか疑わしそうだなあ。


これは本当の話で、師匠から人体を破壊するには、人体の構造を理解しろと言われて、

毎日のように解剖させられたんだよね。


それも生きている捕虜とか盗賊とかだよ?


どうかしているよ。


生きている状態でないと、筋肉の動きとか血液の流れが分からないんだ、とか言われたなあ。


いやあ、現代社会では考えられない事をやらされていた。


しかも、当時は麻酔もないものね。


酷いもんだよ。


人権なんて言葉すらない異世界。


自分を殺そうとした人間なんて、カエルやフナと変わらないんだよ。


逆に自分がそうなる可能性もあるんだからさ。


まあ、そのおかけで、多分そこらの外科医より人体に詳しいと思うよ。


盲腸くらいなら切れるんじゃないかな。


特に関節の構造とかめっちゃ詳しく調べさせられた。


あっちこっちに力入れて、外したりはめたりしていたから、生身の人間の関節を外したり入れたりするのが簡単に出来るようになったというのもある。


弟子の皆実も相当に頭オカシイんだけど、やっぱり師匠も頭オカシイんだよな。


強さに全振りしていたから、倫理観とかぶっ壊れていたんだよ。


「この豊川橋ポートワークプラザ?でしたか。一番仲が悪い組織はなんですかね?」


「柳沢の連中……」


「じゃあ、人が来たら柳沢の名前出して、罪を押し付けちゃってください。それで潰し合えば好都合ですから」


上野はコクコクと頷く。


「はい、ゆっくりここに寝ていてください。その手筈でよろしくお願いしゃす」


「しゃす……」


それを聞いて冷静になった並木が歩み寄ってくる。


「並木さんも刺されましょうか」


「遠慮しとく」


「でも、無傷だと疑われますよ? 痛くないようにしますけど」


私の言葉に

「連れていけ」

と並木は覚悟を決めたような鋭い視線を投げつける。


「生きて帰れませんよ?」


「それでもだ」


「足手まといなら、見捨てますよ?」


私が言うと並木は笑う。


「もちろんだ。でも、見てみてえ。俺らが諦めていた先ってヤツをよ」


「分かりました。仲間にしましょう」


「仲間か」


並木はまた笑った。


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