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先ほどのボールペンは実は布石なのだよ

私の左手から、銀色のキラリとしたものが見えたはずだ。


並木はそれを警戒するだろう。


先ほどのボールペンは実は布石なのだよ。


並木の視線が銀色に光る物体を追う。


凝視する。


格闘技もそうだが、通常、相手の目をみる。


そしてパンチなどは周辺視野で捉える。


なぜか。


周辺視野の方が情報量が少ないので、動体視力が高いのだ。


だが、凝視してしまえば周辺視野が機能しない。


床に落ちるまで0.5秒。


意識を刈るには十分な隙。


異世界武術で武器がない戦闘は、その決着は蹴りであることが多い。


攻撃を受けてしまえば即、死か戦闘不能になる殺し合いでは、とにかく受けないことが最優先だ。


だからとにかく防御優先。


このため、掌底での攻撃は急所のみを狙う、牽制とダメージの蓄積が目的。


トドメは大抵蹴りとなる。


ただ蹴りは当てるのが難しい。


隙を作ることが重要となる。


その隙を作ることに成功したわけだ。


周辺視野が機能していない並木には、

反転した私の回し蹴りは、見えなかっただろう。


遠心力が加わった蹴りは、並木のこめかみに突き刺さる。


並木はプツンと糸が切れたように床に倒れこむ。


チャリリンと床で音がする。


よく見ていなかったが、多分古い五百円玉だな。


平成前半の鋳造だろうな。


古い硬貨は摩耗が激しい。


だからほんの少しだけ軽い音がする。


我ながら無駄な能力である。





「くっ! こいつを抑えろ!」


並木の手下の一人が叫ぶと、一斉に私に向かってくる。


「あ、ずるい! 私もやりたい!」


皆実が叫ぶ。


ずるいってなんじゃい!


やりたくてやってんじゃないわ!


私は、荒事は嫌いなんだよ!


私はフェイントを入れて攻撃をかいくぐり、ソファーとテーブルを蹴とばし、酒瓶やグラスが入った棚を力任せに倒す。


その私に殴りかかってきた男のみぞおちを蹴る。


その反動を利用して事前に確認済みの小型の冷蔵庫の前に移動。


その冷蔵庫を私に向かって飛び込んでいた、もう一人の男にぶつける。


冷蔵庫の中身が飛び出し、ペットボトルや缶ビールなどが転がり出る。


事務所内はあっという間に障害物だらけになる。


「整えた!」


「グッジョ!」


親指を立てて姫様はご満悦。


そのまま総長に肘打ちを食らわせると総長は机の向こう側に転げ落ちる。


それをみた数人が皆実に向かうが、

私が散らかした障害物が邪魔でヨタヨタと歩みを進めるしかない。


その障害物の上を皆実は軽々と飛んでいく。


足元が不安で動けない連中を、舞うように蹴りを食らわせていく。


これが異世界武術の真骨頂である。


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