みなみちゃんポイント50ポイント獲得!
「総長。こいつらなんかオカシいんです」
並木が言う。
「お前、きっちり脅したんだろうな?」
「学校で騒ぎを起こしてビビらせようとしましたが、なんか落ち着いていて……」
「聞いた話じゃ、その中坊は気弱なヤツで、そっちは子役を鼻にかけて友達一人もいねえ根暗女だって話だぜ」
総長の言葉に
「誰が根暗女だって?」
と皆実が反応してにらみつける。
「お前は黙っとれ。ややこしくなる」
と並木が皆実の頭をはたく。
「むーーー」
皆実は不満そうだ。
「まあいい。とにかく俺らアンヘルに喧嘩を売ればタダじゃ済まねえんだ。だから俺らは組織を維持できる」
総長の言葉に私は頷く。
これは異世界の王国でも同様だ。
言ってみれば蜂のようなものだろう。
一匹の蜂を殺せば集団で襲い掛かる。
社会性のある我々人類が組織維持には必要なことだ。
「分かります」
「そうか。なら1000万円払え」
「持っていると思います?」
「ふん。この世の中には金になる方法はいくらでもあるんだよ」
「中学生ですよ?」
「合法なら無理だな。でも例えば出し子とかな」
「出し子?」
「詐欺の金を引き出す役だ。捕まっても未成年だからな。ちなみに俺らは全員未成年だ。犯罪犯すなら未成年のうちってな」
「「え!?」」
俺と皆実は周りを見回す。
いやどう考えても17歳以下とかには見えないおっさん面ばかりだ。
「見た目が若いと舐められっからな」
総長は笑う。
「一回の出し子で10万円くらいが相場か? 捕まっている間は利子を免除してやる」
「いやですよ。そんなの」
「卒業したら、仕事紹介してやっからそこで働け。50歳くらいで返せるだろう」
「無理です。体弱いんです」
「はっ。死ねば保険が入るからそれでもいいぞ。それ以外にも、その子役の女に払ってもらえばいい。金は余ってんだろ」
総長は皆実を見る。
「わたしが使えるお金なんかないよー」
皆実はそっぽを向く。
「なら、ロリコンのジジイにやらせりゃいい。お前なら1000万円どころか3000万払うジジイがいるからな」
その言葉に皆実はピクリと反応する。
うあ。
これヤバい。
ロリコンはヤバい。
総長はちょっとした脅しで口にしたのだろうが、超特大の地雷だわ。
総長はロリコンという一般的な言葉を使ったが、それはロリペド(小児性愛者)である。
そして、皆実はロリペドの存在を許さない。
絶滅させるしかないと考えている。
思い出すなあ……。
帝国との小競り合いがあった時。
帝国兵が王国の村を襲い、少女を含む女性達を蹂躙したとの報が入った。
皆実はあっという間に装備を身に付け、単騎で出撃してしまった。
私達も必死に追いかけたが、その村に着いた時には帝国兵士の屍の山。
引っ込みがつかなくなった私達は、そのまま帝国兵を追撃し、本格的な戦闘へと移行してしまった。
それが帝国と王国の十年戦争の始まりであった。
まあ傭兵稼業は儲かったから、良かったんだろかねえ。
「ねえねえ、そのジジイ、どこにいるの?」
皆実はトコトコと総長のところに歩いていく。
「あ? 俺らに金出しているスポンサーのさらに上のジジイだ。小中学生集めて金持ちや政治家にやらせているって話だ。それで弱みを握っているってな」
総長に近づく皆実。
「だからさ。そのロリコンジジイはどこにいるのかな?」
「な、なんだ?あれか、お前が体で払うっていうのか」
尋常ならざる迫力に総長が少し後ずさる。
いやあ。
帝国の並みいる猛者を震え上がらせた女戦士の迫力は、
ちっこくてもあるんだなあ。
「そのジジイのところに案内しろ」
「は?誰に口きいてると思ってんだ」
「知らないよ。それよりアンタ、ロリコン?」
「ロ、ロリコンなわけねーだろ。あんな変態どもと同じにすんな」
「ふむふむ。確かにわたしに発情している匂いはしないわね」
「お、お前みたいなクソガキに誰が発情するか!」
「素晴らしい。エクセレント。みなみちゃんポイント50ポイント獲得!」
「み、みなみちゃんポイント……?」
「マイナスになったら殺すよ?」
「こ、殺す?」
総長は唖然とする。
あ、確かに未成年だわ。
少年っぽい表情になったよ。
「こ、この女、狂ってんのか?」
「あら。分かる?」
皆実は中一とは思えない妖艶な笑みを浮かべる。
「なんなんだ……」
総長は少年っぽい表情に化け物を見たような恐れを浮かべる。
「並木! とにかくその男をボコって腕の一本でも折っておけ! それで見せしめになる! 終わったら放り出せ! 気味が悪い!」
総長が焦ったように叫ぶ。
ふむふむ。
さすが総長である。
ウチの団長もそうだったが、とにかく危ない匂いに敏感なのだ。
組織の長の資質の一つなのだろう。
その総長の指示を聞いた並木が即座に動く。
こちらが構える間もなくパンチが飛ぶ。
私はパンチを見切ってパリィする。
右、左とパンチが飛ぶが、私はスウエーすることもなく、一歩も動かず"型"で受ける。
それを見て並木の手下が私の背後に回る。
「待て! 手を出すな!」
並木が二人を制する。
「総長。こいつは”アツイ”ですぜ。タイマンやらせてください」
「マジか……。一年生でインターハイ・ベスト8のお前がそういうのか。どうなってんだ、一体……」
総長の唖然としたつぶやきが聞こえる。




