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200歳まで生きるとこうなるんだと思います

並木を先頭に校門を出ると大型タクシーが停まっていた。


初老の男性が胸にタクシー帽を当ててお辞儀する。


細身だが、姿勢から体幹の強さがうかがえる。

関係者なんだろうか。


「乗れ」


並木が顎で大型のタクシーを指す。


私と皆実は三列目のシートに座る。


皆実は奥に座り、私が真ん中、そして並木である。


その他の男どもは二列目に座ったらしい。


らしい、というのは衝立があり前方が見えないのだ。


「出せ」


タクシーは静かに動き出す。


「ねーねーどこいくの」


皆実がポヨンポヨンとシートで弾みながら話しかける。


「その女黙らせろ」


「無理です」


私はきっぱりと答える。


「はあ。知らねえぞ、もう……」


並木は疲れた顔で呟く。



タクシーの後部座席はスモークになっているため、どこを走っているのか分からなかった。


ただ少し潮風の香りがするので港近くではないかとは予測できた。


タクシーの振動が停まった頃、

「降りろ」

と並木が言う。


「皆実、ついたよ」


眠っていた皆実をゆする。


「んー。あ、そうか。戻ったんだなあ」


皆実は目をこすりながらよだれを拭く。


私の制服にべっとりよだれがついているが気にしたら負けだ。


「その女の図太さはなんなんだ?芸能界にいるとそうなるのか?」


並木はあきれ顔だ。


いやたぶん200歳まで生きるとこうなるんだと思います、と心の中で返事しておいた。


タクシーを降りると倉庫みたいな場所だった。


ただ中に入るとソファーやら机やらが不規則に置かれている事務所風だった。


「総長、連れてきました」


並木が言うと、奥にいた腕にタトゥーがびっしりな、オールバックの男が顔を上げる。


私は一応、人数を数える。


7人か。


並木たちを入れて10人。


雑然とした事務所には様々なものが置かれている。


酒盛りとかしているのだろう。棚にはウィスキーなどの酒がならんでいる。


おまけにあちこちに空の瓶も転がっている。


小型の冷蔵庫がある。


中には飲み物などがありそうだ。


その横には簡易的なキッチン。


コーヒーメーカーと湯沸かしが設置されている。


その上に棚があり、トイレットペーパーや洗剤の予備が置いてある。


その奥の見えないところには多分、トイレがあるのだろう。


段ボールが積んである一角もある。


色々なものが戦闘には使える。


頭の中でシュミレーションしてみる。


まあ私は荒事が嫌いなので不要なインプットであることを祈る。


「お前が松田達と揉めたヤツか」


「はあ。カツアゲされた上に、殴られそうになったので対処しただけですが」


私が答えると、総長と呼ばれた男は椅子にふんぞり返って、机に脚を投げ出す。


「まあええわ。四人分の治療費と慰謝料で1000万円もってこい」


至極当たり前のように言う。


「私、中学生ですよ?無理ですよ」


と私も至極当たり前のように返す。


その言葉に総長は机を蹴とばす。


けたたましい音がして机の上のものが散乱する。


「並木ぃ!」


「はい」


「お前、きっちりアンヘル教えたんか!?」


「はい」


「ふざんけんなっ!」


立ち上がった総長は足元に転がるゴツい灰皿を拾うと並木に投げつけた。


あ。


これ、大けがになるなあ。


私、荒事嫌いなんだよ。


私は反射的に、その灰皿を並木に当たる直前に掴む。


あれ?


軽っ。


ガラスかと思ったらプラスチックだ。


ああ!


これが演出なのか。


いわゆる身内を痛めつけてビビらす手口だ。


私達もよくやったなあ。


法外にふっかけてきた、ふざけた商人なんかを脅す時の手口だ。


私もよく脅しの為にぶん殴られた。


まあ下っ端の役目だな。


稽古でぶん殴られるのと変わんねえだろ、とかよくわからん理屈でやられていたな。


「……なんだこいつ?」


総長が気の抜けた声を出す。


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