厳かなな結婚式と、賑やかな披露宴
あと二話です。
お付き合いいただき、ありがとうございました!
どこまでも続く青い空の下。
黒竜国王クリフォードと、食堂従業員エマの結婚式が厳かに行われた。
式には両者の大切な人が参列し、その結婚を祝福した。
王城で働く騎士たち。その中には、近衛騎士団長のライアンや、第二騎士団長のニコラの姿も見える。
その他食堂の女将さん、従業員、森の修道院のシスターたち。
はるばる白竜国からコーネリウス王と妻たちも訪れた。
皆が二人の結婚を祝福し、会場は温かい幸せで包まれていた……
「二人の結婚を祝って、かんぱーい!! 」
青空の下、人々の声が響き、グラスがかちんとぶつかる音が響き渡った。
厳かな結婚式とは打って変わり、王城の広場では、賑やかな結婚披露パーティーが行われている。
白いウエディングドレス姿の私の隣には、白色のタキシード姿のクリフさん。上等なシャンパンの入ったグラスに口を付けている。
(その姿すら美しく、見惚れてしまうわ……)
クリフさんを見て頬を染める私の耳に、司会のニコラの声が響いてくる。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございまーす!
私が司会を担当する、第二騎士団長のニコラですぅ!! 」
ノリノリのニコラの司会に、思わず頬を緩ませてしまう。
「さっそくお料理の前に……
エマの世界では、披露宴では新郎新婦がウエディングケーキをカットするんですって!
だから、エマの故郷のやり方で、ケーキカットしてもらいましょう!」
湧き起こる拍手。そして、女将さん特製のウエディングケーキが出てくる。
五段重ねの真っ黒なケーキだ。
(えっ、黒色!? )
思わず驚くが、どうやらこの世界ではこれが一般的らしい。特に竜人族に至っては、主役の竜の色と同じ色のケーキを準備するようだ。
真っ黒なケーキの上には、ウエディングドレス姿の私と、白いタキシード姿のクリフさんの人形が置かれている。そして、それを取り囲むように美味しそうなフルーツがこれでもかとばかりに盛ってあるのだった。
そのケーキに、クリフさんとともにナイフを入れると、わあっと歓声が起こる。皆がいるというのに、クリフさんは嬉しそうにぎゅっと私を抱き寄せ、頬にキスをする。
「続いてはファーストバイトといって、新郎新婦にケーキを食べさせ合ってもらいます。
お互いに、『食べ物に困らせない』『美味しい料理を用意する』って意味があるんですって!」
私の世界の常識に、この世界の人々は驚いたように目を丸くする。なかには感動して、もう涙を拭いている人までいるようだ。
「それではクリフォード様から、どうぞ!」
クリフさんは真っ黒なケーキをスプーンに取り、そっと私に差し出す。そのケーキがあまりに黒すぎて、食べるのが怖かったが……口に含むと甘い味が口いっぱいに広がる。
「美味しい!」
思わず頬を押さえていた。
「それでは、次はエマ、どうぞ!」
私の世界ではお決まりの、スコップのような巨大なスプーンを取り出していた。それで、こんもりケーキをすくう。
絶対に一口で食べられるはずのないこのケーキは、お約束通り新郎の顔にベチャッと付くはずなのだが……
「これを食べろってのか!? 」
クリフさんはどうやら本当に食べなければならないと思っているらしい。悩ましげに巨大スプーンの上の黒いケーキを眺めている。
人々はすでに、酒に酔っていた。だから、国王陛下に向かって、「食べろ、食べろ」などという失礼極まりないコールが響いている。
クリフさんは本当に思い悩んで……突如として黒竜に変化する。そして、こんもりと盛られたケーキを、パクッと軽く食べてしまう。
黒竜様がクリフさんだとは思ってもいなかった食堂の従業員は、パニックを起こして悲鳴を上げている。そして、酔っ払っているコーネリウス様と騎士たちは大爆笑をしている。そんなみんなと黒竜を見て、私も思いっきり笑っていた。
「え、えーーーッ!? そうきちゃうの!? 」
ニコラのテンション高い声が響いていた。
その後も、私たちは楽しくて幸せな時間を過ごした。
黒竜王のクリフさんが白いタキシードを着ており、白竜王のコーネリウス様が黒いスーツを着ているのを騎士たちがからかったり。ブーケトスで、なぜか司会者のニコラがブーケをゲットしていたり。はたまた、ゲストとして参加しているはずの女将さんが、ビールを運んでいたり。
酔っ払ったライアンさんがなぜか号泣しており、仲間の騎士たちがなだめている場面もあった。
国王陛下としては考えられないほどの庶民染みたパーティーだが、私たちらしい楽しいパーティーだった。
こうしてパーティーは日が暮れるまで続き、人々は笑いと涙溢れる楽しい時間を過ごしたのであった。
いつも読んでくださって、ありがとうございます!




