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 同年 5月23日 19:00 千葉エリア

 

「本当にありがとうございました。場所だけでなく、食事まで」

「いえいえ。こちらとしても、良い話し相手が出来ましたから」

 

 気の良い老人率いるシェルター。

 夜になり、彼らに別れを告げて俺たちは先へ進む。

 

「いやー、居心地良かったね。ウチとは違う感じだったけど、あれも好きだな」

「そうだねー。ああ言うのなんて言うんだろう。おっちゃんのとも違う、ほのぼのとした感じのやつ」

 

 ヴァルたちは味わうことが出来なかったが、祖父祖母のいる実家が近しいだろう。

 祖父どころか、まだ出会って1日も経っていないが、他のシェルター、他人との繋がりが希薄になった今では関係ない。

 

「ホームシックになってる場合じゃないぞ。いつ会敵するかも分からないんだ。気を引き締めろ」

「はーい。ごめんなさーい」

 

 4人は四方に散り、それぞれ周囲を警戒する。

 月明かりに照らされた大地に目を凝らし、危険な黒を探すのだ。

 

 先陣には俺、ヴァルが。

 後陣にはルイスが。

 右翼ハル。左翼にはチアが着く。

 

 俺たちが歩く道は、暗く開けた道。

 本当は明るい道を通りたいが、奴らは光によってくるのだ。

 せめて人間が暗視できるように進化してくれれば良かったのだがな。

 

 そんな便利機能の付いていない俺たちは、何とかかんとか、文字通り手探りでやってゆく。

 そんな時だ。

 右翼、ハルのいる方面から火の手が上がった。

 

 俺は手信号を上げる。

 暗い中で申し訳ないが、そもそも火の手が上がった時点で皆動き始めているだろう。

 

 左二逸レロ

 

 しかし、その左手、左翼方面でも火の手が上がる。

 2方向。挟まれているのか。

 ならば一気に抜けてしまうか?

 そう考えるのも束の間。

 

「おいおい、マジかよ……」

 

 前方に黒く蠢く影。

 3方向を封じられた。

 

 俺はすぐさま炎を投げ、急いで後退する。

 

「ヴァル、不味いよ。囲まれかけてる」

「分かってる。全速力で1つ前の洞窟まで戻ろう」

「「了解」」

 

 あんな場面で戦うことなど、選ぶ余地もない。

 まだ日付も変わっていないが、今日の進行は中断だ。

 

 

「はぁー、ドキドキしたー!」

「ついてなかったね。かなりやばい状況だった」

 

 確かにそうだ。

 もし後ろに回り込まれでもしていたら、俺たちは全滅していたかもしれない。

 だが、生きて帰ってこれた以上、今は時間を有意義に使おう。

 

「ハル、チア。敵の姿は見えたか?」

 

 俺の問いに、ハルは少し考え込む。

 

「うーん……見え、はしなかったね。でも多分あれは、あの長さは、百足だと思う」

「あたしの方も同じ(おんなじ)。近くはなかったし真っ黒だったけど、かなりデカくて長かった」

「そう、か……」

 

 俺が見た影も、長かったように思える。

 

「するとなんだ?たまたま3方向を百足に囲まれたってのか?そんなこと普通――」

「ああ、珍しい」

「うん。奴らは群れないからね。それに、あんなに近くにいたんじゃ縄張り争いになるはずなんだ。だから……」

「どうした?」

 

 ハルは額に手を当てたまま固まった。

 何を考えているのだろうか。

 

「うーん分かんないなぁ。単に僕たちが百足の生態を分かっていないだけなのか、新種なのか。データが少なすぎるんだよね」

「そうだな。百足を狩ることなんて殆ど無いからな。基本的に()から得た情報しかない」

 

 それは、考えても埒が明かないということを意味する。

 結果、次の夜、再び問題の場所近くまで行って観察してみようということに決まった。

 

 漸く日付が変わった頃、まだまだ早いが、今は休むことにした。

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