警察
「またこの場所ですか」
もう3回目である。3日連続で、死体を見たことになる。
本当にこれは連続なのか、それさえもわからない。
なぜなら被害者にまったく共通点がないからだ。
男、女、男、もちろん職も違うし面識もない。
「この事件、どう思う」
どう思うといわれても、何も思わない。何を思えというのだろう。
「特に何も思いませんよ」
本当にこれが本音である。
この人は両木さんといって俺のただ一人信用できる先輩である。
最近、何か様子がおかしい。一人の男と会い、何か変わってしまった。
その男というのが、茂原健司だ。前の暴行事件の被害者であるが、精神に損傷を追ってしまったらしい。
その人を調べてから両木さんは少しおかしくなってしまった。
いや違う。彼が自殺してからかもしれない。
おかしい、という表現がおかしい。まったくおかしくなんかない。
ただ、違うだけだ。
それでも、僕の中で彼は、尊敬している先輩だ。
遺体の前で手を合わせる。
この人も、昨日までは、これからも生きていける、と考えていた、そんなことすら考えていなかったのだろう。そう考えていると何か胸がむかむかする。
これが、無差別だとしたら。
俺の予想は当たったことになる。