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恋のやめ方。

作者: さち



「あ〜もうっ!!やめたやめたっ!!」



そう言いながらスマホをソファーに投げつけて、私自身はベッドに倒れ込んだ。



「何よっ!あんな奴!……ばぁか。」



流れ出しそうになった涙を隠すように枕に顔を埋めた。

私はたった今たぶん失恋した。



なんでたぶんなのか…?

相手がハッキリしなくて思わせぶりなのだ。



勇気を出して連絡したのにな…。

ハッキリ言えない自分にも腹が立つけど。



…なんでこんな事になったんだろ?




「私、自分で思ってるよりもあなたの事好きだと思う。」




このメッセージって告白ですよね?

…え、違います?私なりに勇気出したんだけどな。



「このままじゃ辛いから、気持ちがないなら連絡するのはやめるね。」って言ったのに。



『このままじゃダメなの?俺は今のままでいいけどな…。』



だって。

何それ!?こんな中途半端な状態を続けろと?

もうしんどいーっ!




ホント、なんでこんな奴を好きになっちゃったんだろ。


でも返事くれたら嬉しいし、顔見られたり話せたりしたらめちゃくちゃテンション上がっちゃうのが自分でもわかる。




明日、学校に行ったらどんな顔したらいいのかな。


周りのみんなは何も知らない。

からかわれるのが嫌で、二人でこっそり連絡取ってるのは内緒だから。



…ふたりの秘密。嬉しかったのにな。

「今は部活も勉強も大変だし、恋愛とかちょっと無理かも。」って言われたら私の立場なくない?



そうメッセージが返ってきて、今どうにもならない気持ちを持て余しているのだ。


…ずっとそうだった。

時々私から連絡しては少しずつやり取りを続けてきた。

いつも私からだった。



わかってたよ。何となくこうなるんじゃないかって。

でもやっぱりしんどくてハッキリさせたくてさ。



だって誰にも相談出来ずに毎日ヤキモキしてたんだもん。

アイツが誰かと楽しそうに話してたら、胃がキューッて痛くなるし。



「なんで隣にいるのが私じゃないの?」って泣きたくなる。



もしかしたら、もう他に好きな人がいて私の事なんか何とも思ってないんじゃないかって。

それでもたくさん悩んで考えてあなた宛にメッセージを送ってた。



返事が来るんじゃないかって何度もスマホを確認して、期待したりガッカリしたり。

「なんかもう疲れちゃったな…。」って。



このまま連絡しなくなったらきっと何もなかった事になる。

その方がきっと楽になるってわかってた。



でも勇気を振り絞って頑張った結果はやっぱり中途半端。

惚れた方の負けって本当なんだな。…ズルいよ。




「なんで諦められないんだろう…?」

枕に顔を埋めたままでどうしてなのか考えた。




「…あ、そうか。私の好きって気持ちが何もなかった事になるのが辛いんだ。」




どんなに辛い片思いでも誰かを好きになれたっていうその事が凄く幸せなんだって今気づいた。




「…もういい。」



一言呟いて、その言葉のままアイツに送ってやった。



『何が?ってか、どうした?』



既読がついてすぐに返事が来る。

でも、アイツからのメッセージに既読をつけたまま私は返事をしなかった。



「…もうやーめたっ!私は私を大切にするから。」


声に出してみたら、本当にどうでも良くなった。

ソファーに再びスマホをポイッと投げて、私は部屋を出る。



「さ、嫌なことは忘れてお風呂にでも入ろーっと。」



軽い足取りで階段を下りたらさっきまでの涙はどこかへと引っ込んでいた。



今度はあなたがヤキモキする番でしょ?

これからどうするのか…じっくり考えてね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さち様 この物語で語られている場面はほんのわずかな時間の中でのことなのに、もっと大きな時間枠の中で揺れるふたりの気持ちがよく伝わってきました。 主人公が最後にスパッと前を向いていくのがカ…
[良い点] 良かったです!!何が?それは!物語全体が!です! 恋は良いと私は思います。悲しい寂しい終わりでもです それとは別に私は、友達との(女性.同性)別れの方が辛いでした。
[一言] あー、興味の方向がタイミングよく合致しないとこうなりますよね。 主人公ちゃんの興味が変わったあたりで、彼が恋愛モードになってたりして…… なかなか上手くいかないもんですが。 次の相手が別の…
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