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9条  作者: paparatchi
7/9

Article 9

太平洋戦争敗北の結果、日本はアメリカ合衆国を含めたUNから、武装解除と、今後一切の戦争の放棄を求められました。その最たる例が以下に示す文章です。


ーーーーーーーーーーーーーーー

The Constitution of Japan


Article 9. 

Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.

正義と秩序に基づく国際平和を心から願って、日本人は戦争を国家の主権として永久に放棄し、国際紛争を解決する手段としての威嚇や武力行使を放棄します。


In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.

前項の目的を達成するために、陸、海、空軍、およびその他の戦争の可能性は決して維持されません。

国家の交戦権は認められません。

ーーーーーーーーーーーーーーー


日本国憲法は、GHQの監督下で成立した憲法であるため、憲法には英文が存在します。

憲法は日本政府が書いた草案を英訳したものをGHQに提出し、承認を得る形で作成されました。

幾度となくGHQからダメ出しを受けて、現在のような形に落ち着いたものと伝えられています。


国際紛争が起こるたび、幾度となくこの9条は、議題に上りました。


改憲か護憲か。この論争が日本国内で絶えることはありません。

ある人は、これは敗戦後に日本が平和を誓った、平和憲法であると言い、護憲を叫びます。

またある人は、これはGHQから押し付けられたものであるから、この憲法では日本国は守れない。改憲すべきだと叫びます。


またある人は、こう言います。自衛隊は、憲法9条に謳われる「陸海空軍その他の戦力」にあたるので、憲法に抵触するのではないか。


順当に英文およびそれに対応しているはずの日本語の文章を読めば、確かに自衛隊は憲法違反と言えるでしょう。

自衛隊は、「陸海空軍ではない」とする理論は海外では通用しません。陸上自衛隊は、海外では、Japanese army(日本陸軍)と呼ばれています。

仮に、「軍」ではない、とする理論が通用したとして、武装している以上はother war potential(他の戦争の可能性・その他の戦力) の定義を外れ得ません。


will never be maintained(決して維持されない)に焦点を置き、あくまで臨時のものであるとする理論もありますが、50年以上存在するものが果たして維持されていないと言えるでしょうか。


この英文の9条は、日本が武装解除を行い、自衛戦争も含めた全ての戦争を禁止している文言です。

先のウクライナ侵攻で、自衛戦争の重要性を認識した人は多いと思います。

もし、日本が自衛戦争まで禁止されたら、瞬く間に日本という国は他国に攻め込まれ、なくなってしまう。

GHQから戦争放棄を求められた日本政府も勿論こう考えました。


いくら日米同盟を結び、進駐させたとしても、それは他国の軍隊。

国益を考えずに日本という国を守る行動に出ることはまず考えられない。

加えて今後の改正についても、国会の2/3の賛成をもとに、国民投票の過半数で承認されて初めて憲法改正が成立するといった、極めて困難な条件が突きつけられ、決定してしまえば後々変更することは難しい。


このGHQからの要求は、戦争に敗北した日本は飲まざるを得ないものでしたが、同時に日本として到底受け入れることの出来ないものでした。


なぜ今日、自衛隊は存在し、日本は自衛する戦力を得るに至ったか。

それは、戦争に敗北し、国民を守る手段を失った日本政府が、ただひとつ残された武器を使って最後の抵抗を試みた結果であると言えるのです。


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