表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9条  作者: paparatchi
6/9

国連憲章と日本

前回までは、北方領土問題と、それを取り巻く領土問題の事例について述べました。

日本の領土変更にはサンフランシスコ平和条約という障壁があり、北方領土や竹島返還の実現はかなり困難であるという事実を理解していただけたかと思います。


これらは現在、日本政府の外交努力により、目下改善が模索されている最中ですが、日本が改善を求めている国際条約は、サンフランシスコ平和条約だけではありません。


日本が改善を求めているもう一つの国際条約。それが、「国連憲章」です。

国連憲章とは1945年6月26日に、終戦後にUNを国際連盟に代わる新たな国際機構とする為に取り決められた条約です。

日本では沖縄戦が繰り広げられていた頃、すでにUNは新たな国際秩序を作り出そうとしていました。

現在でもその名残として、国連憲章に残り続けているのが以下の条文です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

国連憲章


第53条

安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。


本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。


第77条

1 

信託統治制度は、次の種類の地域で信託統治協定によってこの制度の下におかれるものに適用する。

a 現に委任統治の下にある地域

b 第二次世界大戦の結果として敵国から分離される地域

c 施政について責任を負う国によって自発的にこの制度の下におかれる地域

前記の種類のうちのいずれの地域がいかなる条件で信託統治制度の下におかれるかについては、今後の協定で定める。


第107条

この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これらの条文は「敵国条項」と呼ばれ、戦後77年が経過した現在でも、国連憲章の中に存在し続けています。

日本政府を含めた旧枢軸国はUNに対し、これらの条文の削除を求めていますが、現在も実現する見込みはありません。


現在日本政府は常任理事国入りを目指して外交努力を続けています。

しかし、日本が、かつての敵であった勢力の残党であるというUNの認識は未だに改められる気配はなく、これについても、実現の可能性は夢物語であると言っても過言ではない状態です。


UNは第二次世界大戦の終了と同時に生まれた、「結果として」中立的な国際組織であり、我が国がかつて戦い、敗北した相手であることに代わりがないという事実を、敵国条項は示し続けています。


国家間の取り決めや、戦争の結果で決定してしまった事は、外交努力だけで覆すことは非常に困難です。

江戸時代、かつて我が国が西欧諸国と結ばされた不平等条約は、明治時代、日露戦争を以って解消されるに至りました。

日露戦争にてロシアが被った数々の不利益もまた、第二次世界大戦にソ連が勝利するまでの間はそのままの状態だったのです。


現在日本が抱えている、領土問題の解消と敵国条項の排除は、果たして戦争なしで解消できる問題なのでしょうか。

その疑問は、戦争が終わって77年たった現在に至っても、回答されることはありません。


戦争は、人間として、絶対に避けなければならないものです。

しかし、人は、戦争をせずにで物事を解決する手段を、未だ持ち得ていない事もまた事実なのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ