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9条  作者: paparatchi
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平和条約と日本領土

戦時中の1943年にUN諸国によってまとめられたカイロ宣言でも、日本の領土に言及する一文が垣間見えます。

声明では、当時の領土であった台湾と朝鮮半島に言及し、台湾の中国への返還、そして朝鮮半島の独立が謳われています。


ーーーーーーーーーーーーーー

カイロ宣言


ローズヴェルト大統領、蔣介石大元帥及びチャーチル総理大臣は、各自の軍事及び外交顧問と共に北アフリカにおいて会議を終了し、左の一般的声明を発せられたり。


各軍事使節は日本国に対する将来の軍事行動を協定せり。


三大同盟国は海路陸路及び空路により、その野蛮なる敵国に対し、仮借なき弾圧を加ふるの決意を表明せり。右弾圧は既に増大しつつあり。


三大同盟国は、日本国の侵略を制止し、かつ、これを罰する為、今次の戦争をしつつあるものなり。右同盟国は自国の為に何等の利得をも欲求するものにあらず。また、領土拡張の何等の念をも有するものにあらず。


右同盟国の目的は日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後において、日本国が奪取し又は占領したる太平洋における一切の島嶼を剥奪すること並びに満洲、台湾及び澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還することに在り


日本国はまた、暴力及び貪慾により日本国の略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし。


前記三大国は、朝鮮の人民の奴隷状態に留意し、やがて朝鮮を自由かつ独立のものたらしむるの決意を有す。


右の目的を以て右三同盟国は、同盟諸国中、日本国と交戦中なる諸国と協調し、日本国の無条件降伏をもたらすに必要なる重大かつ長期の行動を続行すべし。

ーーーーーーーーーーーーーー


戦時中ということもあり、かなり強い口調で書かれています。

UNはビラなどを通じて宣言の周知を目的とする情報工作を展開しましたが、当時の日本政府がこれを容認することはありませんでした。

そして、この宣言は、のちにポツダム宣言へと継承されていきます。


ーーーーーーーーーーーーーーー

ポツダム宣言


1)我々合衆国大統領、中華民国政府主席、及び英国総理大臣は、我々の数億の国民を代表し協議の上、日本国に対し戦争を終結する機会を与えることで一致した。


2)3ヶ国の軍隊は増強を受け、日本に最後の打撃を加える用意を既に整えた。この軍事力は、日本国の抵抗が止まるまで、同国に対する戦争を遂行する一切の連合国の決意により支持され且つ鼓舞される。


3)世界の自由な人民に支持されたこの軍事力行使は、ナチス・ドイツに対して適用された場合にドイツとドイツ軍に完全に破壊をもたらしたことが示すように、日本と日本軍が完全に壊滅することを意味する。


4)日本が、無分別な打算により自国を滅亡の淵に追い詰めた軍国主義者の指導を引き続き受けるか、それとも理性の道を歩むかを選ぶべき時が到来したのだ。


5)我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、これについては譲歩せず、我々がここから外れることも又ない。執行の遅れは認めない。


6)日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力を永久に除去する。無責任な軍国主義が世界から駆逐されるまでは、平和と安全と正義の新秩序も現れ得ないからである。


7)第6条の新秩序が確立され、戦争能力が失われたことが確認される時までは、我々の指示する基本的目的の達成を確保するため、日本国領域内の諸地点は占領されるべきものとする。


8)カイロ宣言の条項は履行されるべきであり、又日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに我々の決定する諸小島に限られなければならない。


9)日本軍は武装解除された後、各自の家庭に帰り平和・生産的に生活出来る機会を与えられる。


10)我々の意志は日本人を民族として奴隷化し、また日本国民を滅亡させようとするものではないが、日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処罰されるべきである。日本政府は日本国国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障碍しょうがいは排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである。


11)日本は経済復興し、課された賠償の義務を履行するための生産手段、戦争と再軍備に関わらないものが保有出来る。また将来的には国際貿易に復帰が許可される。


12)日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾向の責任ある政府の樹立を求める。この項目並びにすでに記載した条件が達成された場合に占領軍は撤退するべきである。


13)我々は日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める。これ以外の選択肢は迅速且つ完全なる壊滅があるのみである。

ーーーーーーーーーーーーーー


こちらがポツダム宣言を和訳したものになりますが、戦後の領土に関しては、8条に規定されています。

8条では、冒頭で紹介した、カイロ宣言についての言及があるので、台湾、朝鮮半島の放棄と、日本領土は「我々の決定する諸小島」と主要4島のみとすることが記されています。


この、「我々の決定する諸小島」の詳細については、戦後、GHQによる連合国最高司令官指令677号(SCAPIN-677)に規定されました。

同指令には明確な地図に境界線が記された資料が添付されており、それによると、北方4島、竹島、尖閣諸島、小笠原諸島、沖縄諸島は、日本の領土の範囲外と規定されています。


戦後暫くの間は、このSCAPIN-677が、日本の領土線を画定する法的根拠となりました。

そして、サンフランシスコ平和条約につながっていきます。


ーーーーーーーーーーーーーー

サンフランシスコ平和条約


第一章 平和

第一条

(a) 日本国と各連合国との間の戦争状態は、第二十三条の定めるところによりこの条約が日本国と当該連合国との間に効力を生ずる日に終了する。


(b) 連合国は、日本国及びその領水に対する日本国民の完全な主権を承認する。


第二章 領域

第二条

(a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。


(b) 日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。


(c) 日本国は、千島列島並びに日本国が1905年9月5日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。


(d) 日本国は、国際連盟の委任統治制度に関連するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、且つ、以前に日本国の委任統治の下にあつた太平洋の諸島に信託統治制度を及ぼす1947年4月2日の国際連合安全保障理事会の行動を受諾する。


(e) 日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、南極地域のいずれの部分に対する権利若しくは権原又はいずれの部分に関する利益についても、すべての請求権を放棄する。


(f) 日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。


第三条

日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。


(以下略)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


サンフランシスコ平和条約の締結により、日本は主権を回復し、戦後の道を歩むことになるのですが、この時点ではまだ、沖縄諸島や小笠原諸島などの主権は回復されておらず、アメリカが統治するものとし、アメリカがUNに提案をした時点で、グアム、サイパンのような信託統治領にされる予定でした。

ところが史実は異なっており、1968年から1972年の間に、これらの島々の主権は回復されます。

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