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家族のかたち  作者: yoyo
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初夜⑵

おねしょ描写があります。

苦手な方はご遠慮ください。

「ひっく……ひっく……んん……ひっ……ひっく」

「ん〜。ゆう?」

 ビクーっと体が硬直する。



 ドクン、ドクン、ドクン。

 心臓がうるさいくらい鳴って、ぎゅーっと目を瞑った。



「どうした?怖い夢でも見た?」

 広くんは布団から起きてきて、パッと常夜灯の柔らかい光がボクと布団と全てを照らした。



「あー。漏らしちゃったか」

 ボクは動けず、ボロボロ涙だけが溢れる。

「ひっく……ひっ……ひっく……」


 その時、頭の上に大きな手が乗り、ポンポンとたたいて「大丈夫、大丈夫」と優しい声。

 ボクは堰を切ったように「わーん」と泣いてしまった。

 こんなに泣くのはいい子じゃないのに……でも、止められなかった。





 広くんは、ボクを抱っこして膝の上に乗せて何度も「大丈夫、大丈夫」と言いながら、体をさすってくれた。


 ボクが少し落ち着くと抱っこしたまま立ち上がる。

「風邪引いちゃうから、お風呂行こうか。おっと、これも持っていかないと」

 なかなか見つからなかったリュックも、ひょいと持ち上げて部屋をでた。




「あ……あの、ボク……歩け……ます……」

「いいの、いいの。こういう時は甘えてもいいんだよ」



 お風呂でキレイに洗って、拭いて、着替えさせてくれた。

ボクは「一人でできます」って言ったのに、広くんは「いいの、いいの」と全部やってくれた。



「たくさん泣いたから、喉かわいたよね」

「ちょっと、ここで待ってて。片付けてくるから」

 温めたミルクを手渡し、広くんは寝室に入っていく。

もらったミルクを一口飲むとほどよく温かくて、甘くて美味しかった。







「2時か……。朝まではこっちの布団で一緒に寝ような」

「えっ……。でも……」

「勇の布団は乾かしてるから」

 戸惑っていると強引に、引っ張られ寝かされ、隣には広くんがいる。



 同じお布団で寝て大丈夫かな……もし、またおねしょしちゃったら、どうしよう……

 そんなことが頭の中をグルグルして、なかなか眠れない。



「勇。眠れない?」

「あっ……いや……そうじゃなくて……」

「ん?どうした?何か心配?」

「えっと……その……また……」

「また……?あー、漏らしちゃったらって?うーん。大丈夫だと思うけど、心配なら下にバスタオル敷いておこう。これなら、もし漏れちゃっても布団は汚れないから」



 広くんは、素早くボクの下にバスタオルを敷いて、ボクの顔を覗き込みフッと笑う。

「こうやって寝ると、お互いの心臓の音で落ち着いて眠れるんだって」

そう言うと、ボクの体を抱き寄せた。



 トクン、トクン、トクン……


 広くんの心臓の音が聞こえる……暖かいな。

 ボクはそのまま、ゆっくり眠りに落ちていった。





 カーテンからの光で目が覚めた。

 隣にはもう広くんはいなくて、朝の準備をしているのだろうか。

 ハッと気づいて、ズボンとバスタオルを触ってみると濡れてなくてホッとする。



「ゆう」

 ガチャとドアが開いて、広くんが入ってきた。

「あ、起きてたね。おはよう、勇」


 広くんと目が合い昨夜のことを思い出して、恥ずかしいような申し訳ないような……でも、広くんのニコニコの顔が嬉しいような複雑な気持ちで「おはようございます」と挨拶をした。

閲覧ありがとうございます。

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