表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族のかたち  作者: yoyo
18/48

兄弟だから⑴

 今朝、勇が失敗したようで、部屋を覗くとグズグズの勇と父さんがいた。

「父さん、ここはオレが片付けておくから。お風呂……今朝冷えてたから一応、お湯も張ってるから」

「おぉ。悪いな(こう)、助かるよ」

「さあ、勇。行こう」

 勇を抱っこして、父さんは部屋を出て行く。



 一時期、勇のおねしょが続いた時から、おねしょシーツを敷いているので、布団にまでは漏れていなかった。

 このおねしょシーツは、オレが使っていたものだ。


「まだ、取っておいていたのかよ…」

 ボソッと呟き、シーツを丸めて抱える。








 一緒にお風呂に入って、上がってきても勇の機嫌は直らず、ソファーの隅っこで丸くなっている。

 今日はホットミルクも手付かずだ。

「勇、一緒に朝ごはん食べよう」

 フルフルフル……勇が首を振る。

「じゃあ、飲み物だけでも飲もう」

 フルフルフル……


「父さん、じゃあオレそろそろ行くわ」

「あぁ。バイトだっけ?気をつけてな。あと、さっきはありがとな」

「ん…。別に…」

「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」





 相変わらずの勇の隣に座り、抱き寄せて膝にのせると、若干バタバタと抵抗したが、すぐに観念して身を委ねてくる。


「僕はさ、勇がわざとしちゃった訳じゃないって、ちゃんとわかってるよ。昨日寝る前にしっかり、トイレに行ってたのも知ってる。それでも、寒かったりしたら、漏れちゃうこともあるんだよ」


「でも……おねしょもしちゃって……そのあとも……やっぱりボクはいい子じゃない」



 久しぶりに勇の口から いい子 の文言が出てくる。

 しばらく聞いてなかったから、落ち着いたかと思っていたけど、いい子の呪縛は強烈なようだ。

 それだけ、連続2回の失敗はショックだったのだろう。



「どんな勇でも大好きなんだよ。これからもずーっと大好きなままだよ。僕も幸もずっとずっと一緒にいるから、不安になることはなにもないよ」

「うっうっ…」


 勇の嗚咽がおさまるまで、優しく抱きしめ続けた。





「いっぱい泣いたし、お風呂にも入ったから、何か飲もうね。じゃないと干からびちゃうよ」

「それは、冷えちゃったから、また温めてくるよ」


 勇がカップに伸ばしかけた手を見て声をかける。

「ごめんなさい」

「すぐに温められるからね。大丈夫」

 勇の頭をポンポンと軽く撫でて、カップを持ってキッチンへ行く。




 一緒にホットミルクを飲み、やっと勇も落ち着いてくる。


「おいしい」

「ははっ……よかった。勇はさ、漏らしちゃうこと、すごく気にしてるけど、実はね、幸も勇くらいの時は、おねしょも、おもらしもいっぱいあったんだよ」

「えっ?」

「今は何でも出来る、頼もしいお兄ちゃんで、かっこいいよな」

「うん!幸兄ちゃんはすごくかっこいい」

「そうだよね。だから勇もなーんにも心配しなくていいんだよ。幸みたいなかっこいい男になれるから」


 やっと少し笑顔が見られた勇の頭を軽く撫でた。

閲覧ありがとうございます。

更新がおそくなってしまい、すいません。

次回2月14日0時に予定しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ