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家族のかたち  作者: yoyo
17/48

寒い朝の大失敗

この作品には、おもらし描写が含まれます。

苦手な方は、ご遠慮ください。

 日曜日は、平日とは違い少しゆっくりな朝。

 朝ごはんの準備をして、時計を見ると8時を過ぎている。

 休みの日の勇は、自分で起きてくることが多いが、今日は8時を過ぎても起きてくる気配がない。


 どうしたかな……


 様子を見に部屋に行き、勇に声をかけるが、何だか歯切れが悪い。

 布団の中でモゾモゾ動き、起きているようだが、布団から出てくる気配がない。





  ※





 目を覚ますと、もう隣の布団には広くんの姿はなく、起きようと思った時に下半身に違和感を感じて、少しブルっと震える。


 ドキン……この感覚知っている……


 おそるおそる布団の中を覗いてみると、濡れたズボンと布団が目に飛び込んできた。


 ドクドクドク……

 やっちゃった……どうしよう……




 一時期、わざとおねしょをしたことがあったけど、わざとじゃないのは、ここに来た日以来だった。

 誰かが階段を上がってくる音が聞こえる……

 ガバッとまた布団に潜り混むと同時に、ガチャとドアが開く。


「ゆう〜朝だよ〜」

「………う…ん」





  ※





「そろそろ起きて、朝ごはん食べよう」

 カーテンを開けながら、勇に声をかけるとモゾモゾモゾと動く。


「どうした〜。ゆ〜う〜」


 やっぱり、モゾモゾさせるだけで布団からは出てこない。


「具合悪い?」


 そう聞いても、布団から顔すら出そうとしない。

 この感じはもしかして……


「ゆう?もしかして、おしっこ漏れちゃった?」





  ※





 目が覚めた時からおしっこがしたかった。

 ズボンも布団もとうに冷え切っていて、体が冷えて余計におしっこがしたい。

 おねしょしちゃったことは、たぶん広くんは怒らない。


 でも……またわざとしたって思われたら、どうしよう……広くんと幸兄ちゃんと、わざしないと約束をしていた。


 今日はわざとじゃない……でも……

 そんなことが頭をグルグルして、早くトイレに行かなきゃいけないのに、布団から出ることができない。



「ゆう?もしかして、おしっこ漏れちゃった?」

 広くんにそう聞かれてドキッとして、じょわっと冷たかった股間が一瞬温かくなる。





  ※





 体を固めた勇を見て確信する。

 顔の辺りの布団を少しめくると、涙目の勇がいた。


「今朝はちょっと冷えたしね。さぁ、風邪ひいちゃうからお風呂に行こう」


 布団をめくると小ぶりな世界地図と、必死に股間を押さえて縮こまっている勇の姿あり「おしっこでそう?!」と咄嗟に声を上げていた。





  ※





 ちょっとだけ、おしっこが出ちゃったけど、何とか食い止めた。

 広くんが顔を覗き込んで来て、目が合うと泣きそうになる。


 でも、それよりも今は、この漏れそうなおしっこだ……おしっこ……おしっこ、おしっこ……待って待って……


 さらにギューっと強く抑え、体を丸める。

 その時、布団がめくられ、一気に体が冷える。


 じょわっ…しゃわわわわわ…


「あっ…」

 抑えていた手をすり抜けて、おしっこが出てきてしまう。





  ※





「あっ」と声を出しかかと思うと、勇の押さえてる手の隙間から水が漏れ出てきて、さらに布団を濡らし地図を大きくしていく。

 もしかしたら、おねしょはちょっとだけで、だいぶ残っていたのかもしれない。


「あっ、あっ、どうしよう……うっうっう……だめ……出ないで……」

 勇は苦しそうに、まだ必死に抗っていた。


「大丈夫。そこで全部出しちゃおう」

「うっ…うっ……うわーん」


 プチパニックになっていた勇を安心させるために、声をかけたつもりが、逆効果になってしまった……





  ※





 1度出始めたおしっこは、もう止まらなかった。

 おねしょもしちゃったのに……おもらしも……どうしよう、どうしよう……広くんが見てるのに……


 ほんの数秒だったのかもしれないけど、とてつもなく長い時間に感じられた。

 あんなに冷たかった下半身が、今はじんわり温かい。


 広くんがボクを抱きかかえようとする。

 急にものすごく恥ずかしくなって、どうしたらいいのかわからなくなって、手足をバタつかせて拒否してしまう。


「だめーこっちにこないでーうわーん」

 こんなこと言いたいんじゃないのに……止められない

 だけど広くんは、さらに力強く抱きしめてきて動くことができなくなる。

 少しずつ強張っていた力が抜けていくのがわかった。





  ※






 優を抱きかかえようとすると激しく抵抗し、こんなに激しく感情を出す勇を見るのは初めてだ。

 それでも力では、まだまだ勇に負ける訳がなく、固定させるように抱きしめる。


「うーうっうっ……」

 観念したのか、勇の力が抜けていく。


「大丈夫だからな。大丈夫、大丈夫。ちょっとビックリしちゃったな」

「うっうっうっ……うえーん」



 僕にしがみついて泣き続ける勇を優しく抱きしめて、落ち着くまで背中をさすり続けた。




閲覧ありがとうございました。

次回の更新は2月6日0時になる予定です。

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