第74話
久しぶりの更新です。
若干スランプ気味で、書けなかったのですがまたぼちぼち更新していきたいと思います
よし、行くとしようか。
友梨佳と美月だって、そう何度もボケるのは無理だろう。
俺は眼前にあるパンケーキを眺める。
……生クリームやフルーツが乗っていて、かなり綺麗なものだ。みんな、食べる前に写真を撮っている。
俺は別に甘いものは好きでも嫌いでもないのだが、この量の生クリームを見ると、本当に食べられるのかと疑問に思うことがある。
ただ……女性客はみんな食べているのだから、女性には普通なのかもしれないな。
「お待たせいたしました、当店オリジナルのスペシャルパンケーキでございます」
そういって、友梨佳と美月の前に置いた。
二人はパンケーキを見て、目を輝かせている。それから、ちらと友梨佳がこちらを見てきた。
「生クリームで文字とか書いてくれないの?」
「だから、そういう店じゃないんです」
「じゃあ、萌え萌えきゅん、とかはどうですかセンパイ」
「だから、店が違うんですけどっ」
この二人は当たり前のようにボケてくる。
……くそ、体力がけずられるぜ。
「ご注文の品は以上でおそろいでしょうか?」
「まだ雄一セットが届いてない」
「一生届かねぇよ」
さっと席に伝票を置いて、俺は逃走した。
あれでさらに美月にも突っ込まれたらたまらないからな。
二人もスマホを取り出して、写真を撮っている。
友梨佳と美月は、基本的には仲が良く、二人はパンケーキを中心にツーショット写真を撮っていた。
……あれでSNSとかにあげたらうちの店はもちろん、滅茶苦茶話題になるだろうな。
それからまた俺はレジへと戻る。……つーか、先輩が掃除にいったせいで、ちょっと忙しいんだが。
仕方ない、少し集中して仕事しようか。
ボディーガードの時のように常に周囲を警戒し、先手先手で動いていく。
走らない程度にではあるが急いで動き、店内を駆け回るように仕事をしていく。
……ああ、くそ。一人で二人分は仕事している気分だ。
テーブルを拭きながら、先ほど帰る準備をしていたお客様がいたのを頭の片隅に置きながら、ちょうど店の外で話をしている新たに入店してきそうなお客様を確認する。
そうしながら、呼び鈴がなる。さっき、追加注文しようかどうか話していたお客様がいたので、そこだろう。
ざっと周囲を見たが、間違ってはいなかった。
すぐに注文を受け、それをキッチンにいた店長に渡しながら、ちょうどレジへと戻り、会計を済ませる。
そこまで仕事をしたところで、奥から先輩がのそのそとやってきた。
「先輩、新しいお客様来たので案内お願いします」
「……いらっしゃいませー。三名様ですね?」
……先輩は引き受けてはくれたが、客が男だったので露骨にテンションが低い。
全員に同じように対応しろよ、とは思ったが決してクレームをもらうほどに態度が悪いわけでもないので、指摘はしなかった。
そうこうしていると、友梨佳と美月がやってきた。
「おいしかった」
「それは良かったですね」
「デザート、家で待ってる」
「何か買ってあるのか?」
「家に帰ってくるデザートがいる」
「足でも生えているのか? 気持ちわりぃデザートだな」
「雄一」
「人をデザート扱いしないでくれますか?」
友梨佳が財布からカードを取り出してこちらに渡してくる。
「二人会計はわけるのか?」
「いい、私が支払う」
「いえ、悪いですよ」
「別に年上なんだからここは私に任せて」
「……もう、分かりました。それじゃあ、次にどこか行く機会があれば私が支払いますね」
「分かった。今回の数倍高い店に行く」
「その後は、もっと高い店に行きますね」
……さすがお金に余裕のある二人は違うな。仲の良い会話を聞きながら、俺はレジの操作を行っていく。
友梨佳にレシートとカードを渡していると、美月がこちらに声をかけてきた。
「それではセンパイ、頑張ってくださいね」
「ああ……でも、本当に家に寄ってくのか?」
「はい。夕食作って待っていますから」
「……帰りたくない」
「だ、大丈夫です! 友梨佳さんがメインで作りますから……っ」
美月がちょっと泣きそうになってしまったので、俺は慌てて首を振った。
「冗談だ。おまえの料理も楽しみにしてる」
「……わ、わかりました。頑張りますね」
嬉しそうに美月が笑う。
「美月、そろそろ特売が始まる。急がないと」
「分かりました。それでは」
「ああ、じゃあな」
美月と友梨佳がさっと手を振っていった。
家に帰ると二人がいる、か。
……まあでも、あいつらといるのは楽しいから、悪い気はしないな。
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