表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうランキングガチャの闇は深い

作者: Asta

 日刊ランキングは当たりはずれが激しい。

 そう思う方は意外といるのではないだろうか?

 個人の趣味もあるのだろう。だが、うんざりしてる人もいるはずだ。少なくとも私はそうだ。


 一度ブームになると似たようなものが乱立する。

 ブームの初めはいい。目新しくて面白みもある。だが、それが半年、1年も経つと次第に胸焼けがしてくる。そんな時、思ってしまうのだ。


 “また、この手のやつか”


 何故そうなるか。ランキングの果たす役割とブームについて掘り下げてみた。




 ランキングは面白い作品が乗ってる!が前提。


 この意見に反発を覚える人は少ないように思う。食べログにしろ、オリコンにしろ、ランキング上位は目に付くものだし、興味が湧く。そして、皆が支持しているからランクインしているはずなので “ハズレは少ない” と思っているはずだ。だが、現実には違う。


 1位という割に大したことなかった。5位の方がよっぽど凄い。


 小説に限らず色んなもので、感じた覚えがないだろうか。

 実際にはブーム、宣伝効果など、色んな理由があるからして仕方なのないことではある。

 それが、受け取り手に取って興味のないものであれば、ランキングに入っている割にと悪い印象を受けるし、自身がはまっているものとガッチリはまっていれば納得する訳である。特にブームというのはそうした好き嫌いがはっきり出るように思える。



 分かりやすくソシャゲで例えてみよう。


 ブームはレイド戦である。属性に合致していれば特攻が利くので、有利属性なら同じ戦闘力の他属性より活躍できる。だから、ランキングでは上位になる。


 無属性の人から見たら他属性の作品が面白く思えても、レイド戦では活躍できないので、必然的にランキング戦では不利になるのだ。これを嘆いたところで仕方ないし、文句を言う奴がおかしいという意見に反対するものは少数だろう。


 ランキング上位は属性一致して、戦力が高いヤツなのだ。時々、ブームを無視した作品がランキングにのるのは廃課金が別属性を極めた特化PTを使ってると思えばよい。つまり、よっぽどでない限り無理だ。

 だから、ランキング戦を勝ち抜きたいから属性一致させるのは正解だし、ごく当たり前なのだ。得意属性が違う奴が割を食うのも仕方ない。


 それが嫌になるのはいつまでも同じ属性のレイド戦が続いた場合だろう。

 あまりに同じ属性が続くと、レビューにこのゲームは火属性優位なのでもってないヤツに人権がありません。リセマラしましょうと書かれる。


 実際には、同じ属性でも正攻法でステータス押しできる奴、攻撃力がバカ高いから守備型が有利、特殊行動連発するから状態異常回復がいるなどタイプが異なっているわけだが、はたから見たら火属性持ってないやつは不利ゲーを強いられていると言われても仕方がない。とはいえ、ブームである以上、有利な条件に則って戦うのは正だ。何も間違っていない。


 だが、人間は飽きるものである。



 突然だが、精神物理学というものをご存じだろうか?

 決してサイコキネシスだったり、光る剣を使い出したりするようなものではない。


 人間の感覚、心理を数値で示そうという学問だ。

 どんなものが刺激的に感じるかというものを数字で表していて、例えばコーヒーの香りより暖かい、寒いという感覚の方が強い刺激感じるとされている。


 この数値を使って慣れというものを説明した次の様な話がある。

 始めて観た時100の感動を得たSF映画があるとする。

 貴方はその映画にはまってしまい、次々とSFを漁るようになる。

 初めは夢のような日々だろう。

 こんな素晴らしいものを知らなかったなんて!と、これまでの人生を後悔するかもしれない。

 しかし、だんだんと慣れてきて似たような100の感動を与える作品では満足できなくなる。110でも駄目だ。200になってようやく新たな感動を得る事が出来る。


 これをフェヒナーの法則という(詳しい人はごめんなさい。説明は正確ではないです)

 刺激は指数的に、倍々にならないと感動を覚えないと考えてくれればいい。


 ブームが続けば人は始めに感動した100の作品では満足できなくなり、200を求める。

 200になれてしまうと、250でも300でも満足できなくなり、400が出てやっと感動を覚えるのだ。

 これが慣れであり、ブームが飽きられる理由である。ただし、ブームの集大成と言われる名作はこうして磨かれて生まれるという一面もある。


 100は作れる人は多くいても、200は稀になり、400になるとよっぽどの天才になる。だから、ブームは何時か終わる。


 果てしないインフレでソシャゲのガチャが闇鍋になっていくのと同じだ。初期キャラは最高レアであってもゴミになり、最新の超絶性能のレアだけが評価される。

 戦闘モノの漫画でも1話と最終話では大人と子供というより世界チャンピオンと赤ん坊くらい差があるのも実は当然なのだ。凄さを実感させるにはインフレを加速させるしかない。迷惑な話だが。




 さて、ランキングの話に戻ろう。

 ブームは属性であり、一致している人はランキング戦で勝ちやすいと説明した。これは間違っていないが実は一つ前提が抜けている。それは……。


 “そもそも読んでもらえない!”


 レイドボスと出会えなかったら、そもそもランキング乗りようがないよね、ということである。これが実に厄介な問題だ。


 木を隠すなら森の中というように、小説が大量に並んでいるとき何の指標もなしに特定の小説に出会うことは出来ない。そんな時、我々が利用するのがランキングだ。


 検索という手もあるが、サーチエンジンが優秀でない限り中々手が出ない。google検索でとんでもないページが出て嫌になった経験はないだろうか?御飯とうってドラゴンボールのご飯がTopに出てこられるのは辛いものがある。最近は優秀なので昔よりマシになったが。



 なろうにおいても、基本は変わらないと思われる。ランキングに乗っているのは皆が評価しているから~となるのだ。


 ランキングに乗るためにレイドボス倒さないといけないのに、そもそもレイドボスに合うためにはランキング乗ってるやつが有利になるという先発ひとり勝ちのどうしようもない構図ができあがる。



 これが、ランキングが変わり映えしなくて嫌になる原因だと考えている。


「そんなことはない。ランキングも健全に入れ替わってきた! 異世界転生から悪役令嬢に変わったりしただろ!」


 そういう人もいるだろう。確かに、天才的な作品が現れて新しいブームを作ってくれるのが理想だ。

 でも、忘れてはいけない。それは不利ゲーしろと言ってるに他ならないのだ。属性に合っていない超絶廃課金パーティーが彗星のごとく現れ、その活躍に触発されて次の週から新しい属性のレイドボスに切り替わるのだ。素晴らしく無理ゲ―である。


 繰り返しになるが、レイドボスに遭遇出来て、ランキングに食い込める=読んでもらえて、評価してもらえる。という2段階を経てようやく芽が出るのだ。


 作品数が多くなれば1段階目がドンドン辛くなるのだ。10本の木から好きな木を1本選べと言われるならできる。だが、富士の樹海から好きな木を1本決めろと言われても常人には不可能だ。

 木材の専門官が不断の努力で選定して、アピールすれば選べるかもしれないが、望み薄だ。スコッパーの方は本当にすごい。

 そんなわけで、外部からテコ入れが入らなければランキングというのはどんどんと一色に染まっていく。


 属性が合ってない人はこう思うのだ。


 “俺って才能ない?”

 “ブームに乗らなきゃ評価されない”


 一面では正しい。だが間違ってもいる。

 好きなものは皆違うし、ブームなんて何が来るかわからない。


 ガチャで例えるなら、たまたま有利属性のキャラor武器を引けるかは運次第である。

 ガチャ運の良いやつは早々に属性をそろえてランキングにのるが、運の悪いやつは違う属性のキャラしか出ないかもしれない。


 上手く書けるもの、苦手なものがあるのと同じだ。


 努力という課金をしてガチャを引いても特定の属性では結果が振るわない人もいる。しかし、長い目で見た時どちらも戦力増強になっていることは間違いないのだ。ブームが変わり、潮目が変われば、一気にランキングを駆け上がることだってある。


 一方で、素晴らしいガチャ運で早々に有利属性を揃えて満足し、課金をしなくなった人は悲惨だ。属性が変わったとたん、一気に勝てなくなる。


 だから、自分の得意なものを磨く、好きなものを極めるのは決して間違いではない。半端にやるから失敗するのだ。課金(努力)できる額(量)に違いはあっても、制限はあるのだ。だから課金するタイミングは選ぶべきだし、戦略的に運用せねばならない。コンスタントに課金(努力)できる人は強い。


 大分横道にそれた。話を整理しよう。

 


 代り映えのしないランキングは不満を生む。

 一旦、ブームによってランキングが一色に染まると、自浄作用を期待するのは難しい。

 だから、適切なてこ入れが必要。

 ランキングが闇鍋になっているのは原理的に仕方ない。


 これらを解消するのは並大抵ではない。

 

 ぱっと思いつくのは特集などの企画や、レビューのランキング制など、作品のランキング以外に流れを作る場を作ることだ。

 あるいは検索をもっと高性能にして見たい作品をさっと探せるようにすることだ。これには作品のタグ付けの問題も付きまとうし、タグやタイトルと中身がまるで違うといった問題も引き起こしかねない。


 繰り返すが、人は飽きるものだ。同じものが続く限り延々と作品の質を上げ続けなければ満足できなくなる。商業的には少しずつ別の要素を足して、人気を博した要素を次のブームに持っていくといったケースが多いようだ。実際、ランキングであたりを引いたと感じるときはこのパターンが多いように感じる。


 勿論、思わぬところから火がついてということもあるから、実験的にいろんなものを投入するケースもある。いずれにせよ、大きなシステム改革がない限り闇鍋ランキングはしばらく続くように思える。


日刊ランキングに闇鍋と感じてしまい、次第に足が遠のいていた人間が理由をなるたけ客観的に考えてみました。私自身の趣味との相性もありますが、人間の慣れというのは怖いものですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 精神物理学分かりやすい。初期はピッコロ大魔王と悟空が戦っているくらいの数字だったけれど、今はフリーザ第2形態とピッコロさんが戦っているくらいのインフレかな? [気になる点] 特になし [一…
[良い点] ブームはありますね、ただ、その中でラキングに入るのはどれもある一定以上の水準をみたしている気がしますけど。 [一言] 春先に一度、総合の一番上までいかせてもらいましたけど、ブームには乗って…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ