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ホント、この人は

作者: 微睡

「好きな人が出来た……ねぇ」


「そう! 好きな人が出来たんだ!」


電話越しにそう言われる。


いやまぁ、そんなこと言われても、で? って感じなんですよね。


「んでさ、あの子超可愛くてさ! 知ってるだろ? 鷹野のこと!」


「あぁ、鷹野。 って鷹野のこと好きになったわけ? 確かに可愛いっちゃ可愛いな。」


「だろだろ? んでさ、お前鷹野と仲良いからさ、俺のこと紹介してよ。」


「あぁだから言ってきたのか。つーか、俺と鷹野がいるときに入ってきたらいいだろ。」


「むり! 入ってくとか、ムリ!」


好きになったんなら、積極的にいったらいいんじゃね?とか思うんだが……


「で、俺にどう紹介しろと。」


「ほら、よく一緒にいるからってお前が襲ったとこに俺が助けに入るとか」


「友達やめる?」


「ごめん、冗談だって!」


こんなこというやつと友達だったっけ?俺。


愛の力ってこええな。


「んじゃほら、お前がイナゴの佃煮持ってって無理やり食わそうとするところを俺が助けるとか!」


「意味がわからんし、やっぱ俺が嫌われるようにしたいわけ? 友達やめる?」


「すいませんでした!」


「ってか、普通に入ってこいよ。明日あたりに花見の誘いするからそんときにでも。」


「そういうのなら入りやすい!ってか、はじめから入ってる体でいってくれたらいいだろ!」


「……せやな」












「なぁ鷹野。」


ということで、学校へ着いたあと、前の席に座る鷹野に声を掛けてみる。


「なに?」


「次の土曜とか空いてる?」


「空いてる。」


即答かよ。まぁいいや。


「ちょうど裏手の桜が咲く頃だろ? 花見行こうぜ。」


「行こう。花見。行こう。」


お、おう?なんか、変な感じがするがまぁいいさ。


「三重ー!鷹野も花見行けるってー!」


「あれ?他に誰が来るの?」


「ん?せっかくの花見だし、人が多い方がいいかなって。後は矢野さんとか佐野とかにも声かけてみようかなって」


「ふーん。まぁいいけど、何時ぐらいに集めるつもり?」


「特に決めてないけど、2時ぐらいかなーって感じ」


「ってことは1時ぐらいから待ってるでしょ?」


「さすがにそんな早くからいるわけないだろ。いくらなんでも。」












そんなわけないだろ、12時30分ぐらいに到着しました。


いやね、言い訳さして!


10時に目が覚めるでしょ? 色々として、11時。だらだらしても12時。家にいると母上様に出掛けないの? 的な目で見られる。


結果、早くつく。いやまぁ小説持ってきたからいいんだけどさ。


ここベンチあるし。


というわけで、のんびりと本を広げていましたらですね、奴が来たんですよ。鷹野が。


それも1時ぐらいに。


「ふふん。」とかなんとか誇らしげに。


でもさ、正直なとこ、待ち合わせ時間より早く集まりすぎた時って困らない? 俺は困るタイプ。


「はえーよ、とりあえず横にでも座ったら?」


「うん。」


そういって楽しそうに横に座る。


「いくらなんでも早すぎるって、俺でもそんな喋れねぇよ。」


と、まぁ、失礼ながらぶっちゃける。


「大丈夫。」


そういってハードカバーな本をカバンから取り出す鷹野。


「まだ早いし、のんびり読みながら待とう。」と言って。


まぁ、わたくしめも男の子の端くれ、となりに可愛いらしい女の子がお座りになられましたら、気になる所存で御座います。


いや、ほら、横を見ると春の日差しでさ、髪の毛に天使のわっか?ってやつができてる子でさ、たまーに髪の毛がするとっとすべって本の前にきて、そっと耳にかけるのとか見るとどこの子よ!ってなるわけで、


「なに?」


あ、目があった。そりゃ見てたらバレるか


「いや、なんかこんな可愛い子だったっけって思っただけ。 気にしないで。」


そう言って、手元の小説に目を戻す。


横で固まったのが分かるが無視して、読み始める。


……チラチラ見るのやめてください。気になるんです。







ふと、時計を見る。20分前となっている。


そっと本を片付ける。


「なぁ、鷹野、好きな人っている?」


「……いるけど。」


「そっかー。いるんだ。え?いるの?」


「なによ、居たらダメなわけ?」


「そういう訳じゃないけど、いるとは思わなかったってだけ。もしかして、もう付き合ってる?」


「付き合ってない。ただの一人想い。」


「なんだそりゃ、ってか好きな人いるならコクれば? お前ならいけるだろ。」


「多分ダメ。私のこときっとそういう目で見てないし。」


「いやいや、簡単だろ。言うだけ言ってみたら? いけるいける。」


ふと、鷹野の奥に三重の姿が見えたので手を振る。


「来たみたいだし、あっちいこうぜ。」


「そうね。……ねぇ」


「ん?」


「私、貴方のこと。好きよ。」


「突然だな。ありがと、俺も好きだよ。」


席から立ち上がって、三重ー!って声を掛ける。


鷹野が何か呟いたみたいだが、聞こえなかった。


聞き返したけど、気にしないでって言われた。


まぁ、どうでもいいことなんだろう。


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