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9/13

81~90

女僧侶が怒ったり女僧侶が正気を失ったり女僧侶が泣いたりする!?

賞金首との決着はつくのか!

81

紅鬼子「久しぶりだな、黒髪」

黒髪「やぁ。お仕事はいいの?」

紅鬼子「これも仕事だ。お前の浅はかな計画に感づいていた北の女王の要請でな」

黒髪「そっか。しかし笑っちゃうね。自分が殺しまくった国で働いてるんだもん」

紅鬼子「そうだな。あっはっは」

黒髪「あっはっは。で、何しにきたの?」

紅鬼子「犯罪者を捕まえにな」

黒髪「あっはっは。元犯罪者が?」

紅鬼子「ああ。本当に笑っちゃう話だな。あっはっは」

女僧侶「おい。勝手に二人で盛り上がってんじゃねえぞ。一つも面白くないし」

紅鬼子「おお、僧侶、助けに来たぞ」

女僧侶「あなた、現場に出ちゃダメなんでしょう?何故ここに」

紅鬼子「お前のピンチだと思って飛び出したんだ。会議は赤眼に代理を押し付けてな」

女僧侶「…帰ったらタダじゃすまないでしょう?」

紅鬼子「はっ。処分が怖くてこんな仕事をしてられん。それに緑石を連れてきたからいざとなればあいつに責任をなすりつけるさ」

女僧侶「…本当に最低の上司ですね。あなたは…」

紅鬼子「それにあんなんでもかつての仲間だしな。顔出さん訳にはいかないだろう」

黒髪「ふふ」

紅鬼子「まあいろいろと話するためにも…」チャキ

女僧侶「…このバカを止めるために」グッ

女僧侶・紅鬼子「横っ面を一発叩かないとな!」ダッ


地上

詩人「はぁはぁ…数が多すぎる…」

北の王女「はぁはぁ…」

護衛長「まだ増えるか…ん?あの鎧は…」

?「北の兵は情けないな。兵士は戦場で弱音を吐くなと教わるはずだが」

護衛長「なにぃ!?」

槍士「隊長!無駄口叩いてないで早く助けましょう!」

?→緑石「ああ。でもお前以外のうちの兵はとっくに戦いを始めているぞ」

槍士「え?あっ」

詩人「緑石さん!」

緑石「ああ。無事か?あいつらを全員捕まえるから、手伝いを頼むぞ」

北の王女「中央の助っ人か。感謝するぞ」

緑石「王女の鋭い読みと勇気ある決断のおかげで手遅れになる前に援軍として駆けつけることができました。感謝します」

北の王女「ふふん。聞いたか護衛長。私の勘も捨てたものじゃないぞ」

護衛長「はいはい…とにかく今は無事にこの場を…」

新米歌手「はぁああ!」シュッ

詩人「!?」キィン

緑石「何だあいつは?兵士…という恰好ではないが」

詩人「…この人は僕が喰い止めます!皆さんは一人でも多くの敵兵を!」

新米歌手「お前さえ…お前さえいなければ…」ググ

詩人「なんで…あなたが…」ググ



82

飛行船上

短髪「…」シュッ

女弓士「きゃっ!」バッ

短髪「弓士ちゃんも私達のお手伝いしてよ」

女弓士「…何で悪いことするの?」

短髪「悪いこと?なのかな。世界の悪い人達にお仕置きすることが」

女弓士「悪くない人にも迷惑かけてるじゃん!」

短髪「全部がうまくいくわけないよ。仕方ないよ。それに、私はそんなことはどうでもいいの」

女弓士「え?」

短髪「奴隷として捕まってから初めて頭を撫でてくれた…人として見てくれた大人…黒髪さんの役に立ちたいだけなの」

女弓士「僧侶さんだってしてくれるよ!」

短髪「弓士ちゃんにとってはその人が最初だったんだね。でも私にとっては黒髪さんなの。悪いことでもなんでも、私は黒髪さんのために生きるの」シュッ

女弓士「…短髪ちゃんのわからずや!」シャッ

短髪「…それにね、やっぱり私達は悪くないよ?」サッ

女弓士「え?」

短髪「世界はね」


女僧侶「はぁはぁ」

紅鬼子「はぁ…くっ」

黒髪「やっぱり二人共強いねぇ」

女僧侶「そう言う割には余裕ですね…」

黒髪「いやいや。二人とも鈍ってる割には…という事だよ。残念だ昔のまま成長してたら本当に強かったろうに」

紅鬼子「あんなののまま成長するなんてクソ食らえだ」ハァハァ

黒髪「ん~。君もこの世界を牛耳るアホ共の理想に感化されちゃったのかな?」

紅鬼子「何だと?」

黒髪「人類が平和に暮らせる世の中に…とか?」

女僧侶「…」

黒髪「世界はね」


黒髪・短髪「間違ってる。正義じゃなくて身勝手な我儘を言ってるんだよ」

女僧侶「そうかもしれませんね」

黒髪「おっと?思わぬ賛同者。やっぱり一緒に来る?」

女僧侶「それこそクソ食らえです」

紅鬼子「僧侶…どういうことだ?」

女僧侶「魔物は平和に暮らしちゃいけませんか?人と魔物は共存できませんか?」

紅鬼子「…そういえばそうだったな」

女僧侶「思い出しましたか。そこのバカは未だに先生の意思を、理想を幼稚な方法で追い求めているのです」

黒髪「先生…懐かしいね。でも僕が魔物とも仲良くできる世にしたいって言うのは、そんなことが理由じゃないんだよ?」

女僧侶「そんなこと?」

黒髪「おっと、ごめんごめん。僧侶は先生の事が大好きだったね。忘れてたよ。まあ僕が動く理由を細かく話す必要はないからこの話は終わるけど、魔物だから問答無用で殺していいの?魔物が村の近くに巣を作ってたら村が危険だから何も被害が無くても討伐していいの?」

女僧侶「…」

黒髪「あは。正義はどちらにあるのか…先生の教えを受けた君たちならわかるよね?」

女僧侶「世界は確かに魔物を拒絶しています。でも、それを少しづつ変えようとしている動きもあります。お前のそのやり方はゴール地点は正義でも過程が悪だという事は間違いありません」

黒髪「動きって?」

女僧侶「たとえば…勇者様は魔物=悪という偏見を持たず、平和のために悪なら人ですら罰しようと決意をして旅しています」

黒髪「ああ。あの子か…でも本当に小さい動きだね」

女僧侶「小さいです。すごく小さい…でも気づく人が出てきたという事です。これからきっとこういう考え、動きは大きくなります。だからお前のその活動はいらない」

黒髪「ダメだよ…小さすぎる。ゆっくりすぎるんだよ…その間にどれだけの魔物が死ぬのか…その動きが大きくなることには僕は死んじゃってるかもしれない…それじゃダメなんだよ」

紅鬼子「そのために人を殺してもいい…国を滅ぼしてもいいという事にはならんだろう。やはりお前のしていることは…間違っている」

黒髪「…わかってもらえないようだね。仕方ない」ピッ

カパッ

女僧侶「え?」ヒュー


女弓士「戦争して、王様になって…人を殺してから自分たちの国を作って理想の世界を作るの?そんなの嫌だよ…」

短髪「弓士ちゃんにはわからないんだね…残念だな…」ピッ

カパッ

女弓士「え?」ヒュー

女弓士「えー!?」ヒュオー

短髪「バイバイ、弓士ちゃん。またね」フリフリ

女弓士「ちょ!?この高さから!?死んじゃう!死んじゃう!」ジタバタ

コノクソヤロー!オボエテロヨー!

女弓士「そ、僧侶おねえちゃん!」

女僧侶「弓士ちゃん!掴まって下さい!」ギュッ

紅鬼子「…で、どうするんだ?」ギュッ

女僧侶「お前は離せ」

紅鬼子「それは絶対に嫌だ」ギュウッ


黒髪「ふう。残念だなぁ。彼女たちが仲間になればすごく大きな戦力になるのに」

短髪「黒髪には私がいるよ」

黒髪「あ、お疲れ様」ナデナデ

短髪「ふふ」

黒髪「…今さら後戻りなんてできないよね。あは」


紅鬼子「もうすぐ地面だぞ」

女僧侶「…風魔法!」ゴォッ

女弓士「おお!落ちる速さがゆっくりになった!」

紅鬼子「ふう」ストン

女弓士「面白かった」

女僧侶「上手くいかなかったら死んでましたが…」

緑石「ん?顧問とガサツ女じゃないか」

女僧侶「次から次へと気に食わない顔とでくわしますね」



83

緑石「もう終わったのか?」

紅鬼子「ああ。こっちはまだまだかかりそうだな」

緑石「そうだな。手伝ってもらえると助かる」

紅鬼子「わかった」

緑石「僧侶たちはあっちに行った方がいいんじゃないか?仲間が苦戦してるぞ」

女僧侶「え?」

女弓士「いこっ!」ダッ


詩人「はぁはぁ…」

新米歌手「…ちくしょう。剣でも勝てないのか…」ハァハァ

詩人「何故あなたがクーデター軍に手を…」

新米歌手「…」

詩人「黙秘ですか。スターさんは関係ありませんよね!?」

新米歌手「…」フッ

詩人「…」

敵兵「邪魔だ!」バシュ

新米歌手「ぐあっ!」バタ

詩人「な!新米歌手さん!」バシュ

敵兵「ぐあ!」バタ

新米歌手「…」

詩人「しっかり!くそ!」ユサユサ


北の王女「…」

護衛長「化け物か…」

ザッ

女僧侶「はぁはぁ…戦士さんは!?」

北の王女「お前か…戦士はあそこに…」

女戦士「…」ドクドクドク

賞金首「はぁー!はっは!弱い!弱すぎるぅ!止めを…」グオッ

女僧侶「おい」

賞金首「…僧侶か。やっと戦ってくれるのか?」

女僧侶「戦士さん…回復魔法」パァ

戦士「…うぅ…」スー

女僧侶「護衛長さん、戦士さんをそっちへ」

護衛長「わかった」ガシッ

女僧侶「…ずいぶんと大きくなりましたね」

賞金首「クーデター軍の科学力の結晶だぁ」

女僧侶「ずいぶんと醜く…」

賞金首「戦士が強いせいでなぁ…ドーピングで済んでればまだ人間の形でいられたが、このコアまで使われてわなぁ…ゲヒヒ…」

女僧侶「コア?そんなもの見せていいんですか?真っ先に狙いますが」

賞金首「壊されない自信があるから見せている」

女僧侶「そうですか。じゃああなたの顔は不快だから、とっとと始めますか」

女弓士「私も手伝う!」

賞金首「とうとう、待ちに待ったこの瞬間を…来い!そう…」ゴボッ

女僧侶「行きましたよ?」

賞金首「ぐ…ぐげげ…非力!」バシィ

女僧侶「ぐっ」ゴッ

女弓士「僧侶おねえちゃん!」

女僧侶「…昔より弱くなってませんか?」ニコ

賞金首「げひひ…面白い」



84

女僧侶「弓士ちゃん、無理はしないで、離れた所からあいつの邪魔をするように射ってくれればいいからね?」

女弓士「わかった!」

女僧侶「じゃあ…行きますよ!」ダッ

女弓士「えいっ」シュバッシュバッ

賞金首「むぅん!」ゴォッ

女僧侶「くっ…負けるかぁ!」ググ


北の王女「なんという戦いなのだ…」

護衛長「人間離れしてますね」

北の王女「これからはむやみに戦いに参加するのやめる…」

護衛長「元々王女が戦う必要はないです」

女戦士「うぅ…私…」

北の王女「気づいたか」

女戦士「まだちょっと動けませんが…」

護衛長「回復魔法をかけたとはいえ、すごい回復力だな」

女戦士「あいつは…」

北の王女「僧侶ががんばってくれておる」

女戦士「…私もいかなきゃ」

北の王女「まて、まだ行かせんぞ」

女戦士「そんな事言ってる場合じゃ…」

北の王女「私達はお前の事を任されているからな。あいつががんばってくれておる分、私達も責任を果たさねば」

護衛長「お前の回復力ならもうすぐ加勢に行けるだろう。少し我慢してくれ」

女戦士「…わかりました」ギリ


賞金首「はぁっはっはっは!逃げてばかりではどうしようもないぞ!」

女僧侶「くっ…」

女弓士「えいっ」シュッ

賞金首「さっきから…邪魔だ!」ブン

女僧侶「魔法!?弓士ちゃん避けて!」

女弓士「え!?きゃあ!」ドサッ

賞金首「ちっ…気絶しただけか。力を抑えすぎたな」

女僧侶「弓士ちゃん!」ダッ

女弓士「うぅ…」

女僧侶「回復魔法!」パァ

女弓士「…」スー

女僧侶「ちょっとここで休んでてね…」

女弓士「あんまり助けれなくてごめん…」

女僧侶「いいえ。あなたのおかげであいつの隙を見つけました。ありがとう」

女弓士「ちょっと休んだらまた手伝うから…頑張ってね…」

女僧侶「待ってますよ」ニコ

女弓士「…」スー

女僧侶「さて、いきますか」

賞金首「はぁ!」ドゴォ

女僧侶「ぐぎぎ…」ギリギリ

賞金首「な…受け止めた!?」

女僧侶「そして…はぁ!」ドガッ

賞金首「ゲボァ!」

女僧侶「あなた、そのでかい肉が邪魔して腋の辺りが見えてないでしょう。矢が刺さりまくってますよ」

賞金首「ぐ…人間か…この威力」

女僧侶「人間ですよ。というか…か弱い女の子だぁ!」ドゴォ

賞金首「ゴバ…ぐぁあああ!」

女僧侶「ふぅ。さて、コアを…」スッ

賞金首「…」ガッ

女僧侶「な!?離…」ジタバタ

賞金首「くく…捕まえたぞ」

女僧侶「く…」

賞金首「おらぁ!」バキャッ

女僧侶「!?」ドクドクドク


北の王女「な!あいつ、戦士の時と同じ…また頭を地面に思いっきり叩き付けおったぞ!」

護衛長「くっ…」

女戦士「ぐぅ…やっぱりいかなきゃ…」ググ

護衛長「…」

女戦士「う…」ドタ

護衛長「…もう少し我慢しろ。そして仲間を信頼しろ」

女戦士「僧侶さん…」


賞金首「くく…」ゲシッ

女僧侶「うぅ…」ゴロン

賞金首「ん?そんなペンダントつけてたか?」グイッ

女僧侶「さ…わるな…」

パキン

賞金首「…愛を…ありがとう?」

女僧侶「か…えせ…」

賞金首「こんなものを大切にするようになったから…お前は弱くなったのだな」

女僧侶「関係…ない…かえ…せ…」ググ

賞金首「お前に…こんなものはいらん!」バキィ!

女僧侶「な!?…あ…ぁ…」

賞金首「げひゃひゃひゃひゃ!さぁ!昔のお前に戻れ!借りを返させろぉ!」

女僧侶「…」

賞金首「…つまらん」ゲシ

女僧侶「」ゴロン

賞金首「これならさっきの戦士の方がマシだ。止めを刺しにいくか…」クル

女僧侶「…ケヒ」



85

紅鬼子「…ゾクっときた」

緑石「何を言っている?」バシュ

紅鬼子「ちょっと僧侶の所へ行ってくる。あとは任せたぞ」ダッ

緑石「…わかった」バシュ

敵兵「うぉおお!」

緑石「…あきらめの悪い奴らだ。もうほとんどつかまっているというのに」バシュ

敵兵「ぐあ!」


女僧侶「ケヒヒ」ブラン

賞金首「さっきの戦士は…あそこか」ニィ

女戦士「…」

賞金首「さぁ、殺しにいくぞ…ん?」ガシッ

女僧侶「ケヒ?」

賞金首「…死にぞこないか。ふん!」ブン

女僧侶「」ドサッ

賞金首「ふん」

女僧侶「ケヒ」ザッ

賞金首「まだ立つか」

女僧侶「即死魔法」ボソ

賞金首「ん?自分の両手に何か魔法をかけたか?無駄なことを…」

女僧侶「ケヒ」ブン

賞金首「…威力の無い攻撃を。攻撃力UP魔法でもないのか」パシ

女僧侶「ケヒ」ニヤァ

賞金首「ぐ…な!?攻撃を受けた俺の右手が壊死して溶けていく!?」

女僧侶「ケヒ」ブンブン

賞金首「な!?く…攻撃に当たらなくてもあの両手にまとっている魔法の光に当たると俺の体が腐る…」バッバッ


北の王女「…なんか僧侶の様子がおかしいな…」

護衛長「…というかなんかエグイ戦い方ですね」

女戦士「…僧侶さん」ググ

ザッ

詩人「戦士さん!」

女戦士「詩人君…」

詩人「く…僕も助太刀を」

護衛長「今は待て…僧侶の様子がおかしい」

紅鬼子「…あんな僧侶を見るのは初めてだな」

女戦士「紅鬼子さん!?」

紅鬼子「まるでゾンビみたいだ。あれじゃどっちが魔物かわからん」


女僧侶「ケヒ」ガシッ

賞金首「ぐ!?俺の顔を…ぐぁああ!顔が!溶ける…」シュゥ

女僧侶「ケヒ…ケケケ…」ジュゥ

女弓士「そ、僧侶お姉ちゃん!」

女僧侶「ケヒ?」バッ

賞金首「ぐ…ぐぁあ…」ゴロゴロ

女弓士「お姉ちゃんは人を殺したことないんだよね?なのに、人を痛めつけるときにそんなに嬉しそうな顔をしないでよ!」ググ

女僧侶「ケ…ひ…う…うぅ…」ドサ

女弓士「悪い人と戦って、命を狙われてるんだから逆に倒しちゃうのは仕方ないけど、それを嬉しそうにする僧侶おねえちゃんは僧侶おねえちゃんじゃないよ!」

女僧侶「うぅ…」


紅鬼子「!これはチャンスだ!二人とも近くにいって声をかけてこい!ゾンビからスーパーウルトラプリチーないつもの僧侶に戻るかもしれん!」

女戦士「は…はい!」ググ

護衛長「おい!戦士はまだ…」

紅鬼子「うるさい!大切な仲間のピンチに戦えない腰抜けに、そいつの仲間が務まるか!」カッ

護衛長「…」

北の王女「はっはっは。中央の兵は面白いな。戦士、十分に休んだろう。助けてやってこい!」

詩人「行きましょう!」ダッ

女戦士「うん!」ズルズル

護衛長「お前はいいのか?」

紅鬼子「…今のあいつの仲間は、残念ながら私じゃないからな…」シュン


女僧侶「私…皆にもらった大切な物を壊して…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…ごめんなさい…」ブツブツ

女弓士「お、おねえちゃん!?」

女戦士「何言ってるんですか!ペンダントなんてまた買えばいいじゃないですか!」

女僧侶「ごめ…?」

詩人「そうですよ!感謝の言葉ならいつだって言いますから!いつもの僧侶さんに戻って下さい!」

女僧侶「…私」

女弓士「あは。僧侶お姉ちゃん、お姉ちゃんは一人じゃないよ。一緒に戦おう?」

女僧侶「…ごめんなさい。ありがとう」ポロポロ

女戦士「やった」

詩人「え?」

女戦士「僧侶さんをやっと泣かせられました!」グッ

女僧侶「…ふふ」グシグシ

賞金首「く…まだ終わってないぞ…」ググ

女戦士「相手もこちらも満身創痍ですね…皆で戦いましょう!」

女僧侶「…行きますよ」グッ



86

賞金首「むぅん!」ブン

女戦士「ふっ!ダメージがかなりありますね。もう当たらないんだから!」

賞金首「くっ…畜生」フラ

女弓士「もう、やめてよ!」シュッ

賞金首「ぎゃあ!目が…」ブシュ

女僧侶「…」

賞金首「僧侶ぉ…ぉおお!」ヒタ…ヒタ

詩人「あなたの相手は僧侶様だけじゃありません!」ザシュ

賞金首「ぐあ…」ガク

詩人「左足の腱を切りました。もうその場から動けないでしょう」

賞金首「ぐぐ…ならば…むぅん!」ボア

詩人「魔法!?」

女僧侶「…」サッ

ドッカーン

賞金首「ちっ…む?」

女戦士「はぁああああ!」ザン

賞金首「ぎゃああああ!俺の…右腕がぁ!」ブシュゥウウウ

女戦士「うっ…やりすぎました」

賞金首「くそ…くそ…」

女僧侶「コアがむき出しですよ」ニコ

賞金首「ちくしょぉおおお!」

女僧侶「おらぁ!」バリィーン

賞金首「お…ぉおおお…」シュゥウウ


北の王女「終わったみたいだな」

紅鬼子「ああ。うちの仕事も終わったみたいだ」

護衛長「おお。あれだけの敵を…感謝する」

紅鬼子「北の軍もよく戦ってくれたさ」

北の王女「えっへん」

紅鬼子「勇敢な王女様もな」

北の王女「聞いたか!護衛長!頑張ったら褒める、これ当たり前の事!」

護衛長「はいはい」

北の王女「おい!流すな!」


女戦士「元のサイズに戻りましたね」

女僧侶「さて…昔の続き、やりますか?」ニコ

賞金首「…いや、もういい。もう十分楽しんだ」

女僧侶「…1対1でなく、申し訳ないですね」

賞金首「いいさ。仲間がいること…それが今のお前の強さなのだろう」

女僧侶「…」

賞金首「愛…仲間…俺には未だにわからんが、そういう強さもあるんだろうな。だから俺は今倒れている」

女僧侶「また、傷が癒えたら今度は戦ってあげますよ。1対1で」

賞金首「…」

女僧侶「あなたの信じる強さで、完膚なきまでに叩きのめして自信を喪失させてあげます」ニコ

賞金首「ふん。やはり以前と比べて腑抜けたな」

女僧侶「あなたは相変わらず弱いですね」ニコ

賞金首「…そうだな」

女僧侶「傷を治して、しっかりと罪を償ったらあなたの言う、今の私の強さの事、勉強させてあげます」

賞金首「ふっ。それは魅力的な…」

ガラッ

新米歌手「詩ぃ人んんー!」ダッ

詩人「あなたは!?」



87

紅鬼子「なんだあいつは!」

北の王女「のど自慢の参加者だな」

護衛長「あいつもクーデター軍だったのか!」


新米歌手「ぉおお!」キィン

詩人「くっ…」キィン

新米歌手「くそ…くそぉおお!」ググ

詩人「さっきの傷が…もうやめてください!」

新米歌手「今さら…やめれるかぁ!…!?ぐ…ぐご…」プクー

女戦士「体が膨らんで…」

賞金首「おい!お前達逃げろ!そいつは…」

新米歌手「ごげぁ」プクー


北の王女「なんじゃあいつ。体が膨らんで…」

紅鬼子「おい!僧侶逃げろ!嫌な予感がする!」


飛行船

黒髪「♪~♪」

短髪「そういえば黒髪」

黒髪「んー?」

短髪「あの国を壊すんじゃなかったの?逃げてきていいの?」

黒髪「いいのいいの。ちゃんと壊す役目の人は置いてきたし」

短髪「賞金首?ここにいないけど」

黒髪「ああ…賞金首は、軍をやめちゃった。もう人を殺したくないんだって」

短髪「そっか」

黒髪「残念だね」

短髪「私はずっといるよ」

黒髪「ふふ」ナデナデ

短髪「気持ちいい」


北の国城下町

賞金首「自爆装置が起動している!大爆発を起こすぞ!」

女戦士「それは大変!さ、逃げますよ!」ガシ

賞金首「俺を連れて行く時間は…」

女戦士「僧侶さんとの約束を破らせませんよ!」ググ

女僧侶「防御壁魔法を…」パァ

女弓士「痛っ!」バタ

女僧侶「弓士ちゃん!」ダッ

女戦士「僧侶さん、弓士ちゃん!詩人君!」

新米歌手「ぼがぁあああ」パン

ドカーン


北の王女「爆発した!?何故私達は無事なのだ…」

護衛長「あの僧侶…あの歌手を囲って防御壁魔法をかけてましたね。衝撃が防御陣の範囲にできるだけ収まるように…しかし至近距離にいた彼らは無事では…」

紅鬼子「くそ!僧侶!」ダッ

護衛長「私達も行きましょう!すぐに手当をせねば!」


女僧侶「」

詩人「」

女弓士「」

女戦士「」

賞金首「」

紅鬼子「僧侶!僧侶!…うぁあああああ!」



88

北の王女「何という事だ…早く!運ぶぞ!城に回復魔法を使える者がいる!」

紅鬼子「緑石ぃ!」

緑石「呼んだか?爆発音があったから来てみたら…」

紅鬼子「早く城へ運ぶぞ!」

槍士「うっ…これは…」

緑石「…これでは前よりも嫁の貰い手が無いではないか。急ごう」

女僧侶「…う…ぅ…」

紅鬼子「待て!」

緑石「何だ?」

紅鬼子「ダメだ…下手に動かしたら僧侶達のからだが…」

緑石「…」

護衛長「私が城の者達を呼んで来よう!」ダッ

紅鬼子「僧侶…もうすぐ治るからな…死ぬなよ」

女僧侶「…」

北の王女「この子もまだ小さいのに…もうすぐだぞ!頑張れ!」

女弓士「ぅう…」

ヒタヒタ

緑石「…誰だ」

坊主頭「うわ。すげー怪我だな」

北の王女「一般人は皆避難したはずだが…」

坊主頭「つまんねーから逃げてきた」

槍士「いや坊主、こっちに逃げてきちゃダメだろ。危ないよー」

坊主頭「うわ。そっちの怪我人あの尻デカじゃん」

緑石「おい」チャキ

坊主頭「危ねーな。槍向けんなよー」

緑石「死にたくないなら避難をしろ。死にたいなら殺してやる」

坊主頭「んだよー。治してやろうとしてんのにさー。いいよいいよーだ」

緑石「何?」

紅鬼子「お前、回復魔法使えるのか!?」

坊主頭「ん?使えるけど」

紅鬼子「頼む!治してやってくれ!このままでは死んでしまう!」

坊主頭「だから、最初からそのつもりだってー」パァ

緑石「!…全員を一度に回復だと…?何者だ」

坊主頭「ん?賢者だけど」



89

緑石「賢者…だと?」

坊主頭「んー」

女僧侶「うぅ…」スー

紅鬼子「僧侶!怪我が治ってる!動けるか!?」

女僧侶「…爆発。皆はどうなりましたか…?」

紅鬼子「賢者が治してくれたぞ!」

女戦士「…今日で2回も死にかけました…よいしょ」グッ

女弓士「…怖かった」

北の王女「よかったぁ」ヘナヘナ

詩人「うぅ…僕はどうなって…?」

女僧侶「よかった…」ニコ

坊主頭「よー。尻デカー」

女僧侶「…何故てめぇがここにいる」

緑石「子供に向かってなんて言葉の利き方だ。やはり治っても嫁の貰い手がないな」

女僧侶「…次から次へと」

紅鬼子「この子が治してくれたんだ!」

女僧侶「え?」

坊主頭「礼を言えー」

女僧侶「あなたも僧侶なのですか?」

坊主頭「いやー?賢者だけどー」

女僧侶「え?」

坊主頭「賢者」

女僧侶「…確保ぉ!」

女戦士「はい!」ガバッ

女弓士「わかった!」ガバッ

詩人「こんな所で目的達成…」ガバッ

坊主頭「おい!はーなーせー」ジタバタ

女僧侶「その前に…彼は回復できないんですか?」

賞金首「」

坊主頭「んー。全員にかかる回復魔法をかけたから、その効果が無いという事はもう死んでるぞー」

女僧侶「蘇生魔法は…」

坊主頭「お前、僧侶ならわかると思うけど、完全に死んでたら無意味だぞ」

女僧侶「…」

坊主頭「あれ、どう見ても死んでるぞ。手厚く葬ってやった方があいつのためだろー」

女戦士「せっかく改心したのに…」

女僧侶「王女様、彼のお墓を建てる許可いただけませんか?」

北の王女「んー。街を壊した犯人だからな…まあお前達の頼みだから、許可する!私が黙ってればすむ話だ!」えっへん

紅鬼子「北の王女は本当に懐が大きいな」

北の王女「えっへん。もっと褒めるんだ。護衛兵!中央の兵を見習え!…あ、今いないんだった」

護衛長「はぁっ…はぁ…連れてきました!」

北の国の僧侶「怪我人はどこですか!」

女僧侶「何か…ごめんなさい」

護衛長「え?」

北の王女「あーっはっは!」ケラケラ



90

護衛長「いや、皆助かってよかったです」

北の王女「本当に」

護衛長「でも、私の苦労を笑ったあなたは許しません」ギュゥ

北の王女「痛たたたた!」

北の国の僧侶「では私達はこれで…」

女僧侶「待って下さい」

北の国の僧侶「え?」

女僧侶「彼を弔って、お墓に入れてあげてください」

護衛長「え、そいつは…痛っ!」

北の王女「いいから」ギュゥ

護衛長「え、でも…」

北の王女「皆には内緒じゃ」

護衛長「…わかりました」

女僧侶「さて、賢者様」

坊主頭「んー?」

女僧侶「光るお花って、知ってますか?」

坊主頭「んー?知らん」

女僧侶「隠したらまたお尻ぺんぺん…」

坊主頭「ちょ」

女戦士「僧侶さん!ダメですよ!」

坊主頭「んー…多分、爺さんが育ててるかなー」

女僧侶「爺さん?」

坊主頭「家にいるんだけど、悪趣味な実験ばっかしてるから、もしかしたらあるかもー」

女僧侶「家にお邪魔していいですか?どうしてもそのお花が必要なんです」

坊主頭「お、遊びに来るのかー。いいよー」

女僧侶「いや、遊びにじゃなくて…」

坊主頭「誰が来んだ?尻デカと、俺を捕まえてるからムキムキと、チビと、オカマか?」

女戦士「ムキムキ…?」

緑石「正解」

女弓士「正解じゃないよ!ちっちゃくないもん!」

坊主頭「よーしじゃあ、移動魔法!」シュンッ

女僧侶「え、ちょ…すぐ過ぎ…」シュンッ

緑石「いったな」

紅鬼子「ああ…また僧侶と離れてしまった…」

北の王女「また遊びに来いよー!」

護衛長「さあ、みなさん仕事を始めましょう」

紅鬼子「…そうだな」

北の王女「復興がんばるぞー!」

緑石「…ふぅ」



続く

次は魔王が登場したりします

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