71~80
北の国ののど自慢大会に出場することになった詩人、船上での嘔吐で体力を根こそぎ奪われた女僧侶、そして新キャラクターの坊主頭…北の国女王の誕生祭で何が起きるのか!?
71
北の国城下町
女戦士「わぁ。雪が積もってきれいですね!」
詩人「やっと着きましたね。北の大陸」
女弓士「ちょっと寒いね」
女僧侶「ひ、広い…人が沢山…船酔いでまだ気持ち悪…うぷ」
女戦士「…」
詩人「と、とりあえず宿を探しましょう!」
女弓士「僧侶お姉ちゃんがかわいそう」
女戦士「あ、あそこにありますね!」
詩人「ではチェックインを…ん?」
女弓士「詩人お兄ちゃんどうしたの?」
詩人「このチラシは…」
女戦士「のど自慢大会…?」
詩人「ええ。しかもゲストに僕が目標とするスターさんがゲストとして見にくるようです」
女弓士「詩人お兄ちゃん出ちゃいなよ!絶対優勝できるよ!」
女戦士「そうだね。スターさんにアピールできる絶好の場だよ。ライバル宣言しちゃいなよ!」
詩人「えぇ…でも、注目は多いはずなので確かに自分をアピールするいい場ですね。チェックインしたら応募してこようと思います」
女弓士「詩人お兄ちゃん頑張って!」
女僧侶「うん…人前で吐かないように頑張りますぅ…」フラフラ
女弓士「僧侶お姉ちゃんには言ってないよ!ほらもう少しだからしっかり!」
女戦士「大分年下に面倒みられて…もう」
詩人「あはは」
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のど自慢大会受付
受付「ダメ」
詩人「え…」
受付「もう締め切り過ぎてんだよ」
女弓士「まだ過ぎて5分じゃん!少しくらいいいじゃん!」
受付「時間外の俺の給料は誰が払うんだよ!もう片付けて帰るからどけガキ」
女弓士「…詩人お兄ちゃん、ここで歌おうよ!のど自慢に出したくさせちゃおう!」
詩人「え、ここで…?」
受付「そりゃいいな。よっぽどうまくなきゃダメだがな。片づけながら聞いてやるぜ。はっはっは」カチャカチャ
詩人「わかりました…」
女弓士「頑張って!」ワクワク
詩人「~♪~♪」
受付「…」ガチャン
女弓士「…やっぱり上手♪」
詩人「ありがとうございました」ペコリ
受付「大したもんだ。それなら優勝できるかもな」
女弓士「ほら!受付してよ!」
受付「ダメ」
女弓士「なんで!」
受付「もう出演者も決まって、大会準備にかかってるんだ。今さら変更なんてできん」
詩人「そうですか…」ガックリ
?「いいじゃないか。彼も参加させてあげれば」
受付「ス、スターさん!?」
?→スター「参加希望者が少なくて、全員が出演できるんだから一人増えても問題ないと思うな。僕がプロデューサーに言ってあげるよ」
受付「わ、わかりました!それではこちらの書類にご記入お願いします」
詩人「は、はい!(本物のスターさんだ…)」サラサラ~
女弓士「わぁ。かっこいい人」
スター「あはは。かわいい子だね。ありがとう。このお兄さんの妹さんかな?お兄さん優勝できるといいね」ニコ
女弓士「うん!」
詩人「書けました。お願いします」
受付「確かに受け付けました」
スター「君、いい声をしているよ。聞いてて心があんなに安らいだのは初めてだ。大会でも素晴らしい歌声を聞かせてね」
詩人「は、はい!ありがとうございます!」
スター「ちなみに大会には僕の弟分も参加するんだ。お手柔らかに頼むよ」
詩人「よろしくおねがいします」
スター「ふふ。じゃあ大会でね」スタスタ
詩人「…はぁ…緊張したぁ」
女弓士「緊張してたの?」
詩人「それはそうだよ。世界で一番有名な歌手で、憧れの人物と予想外の所で会って、しかも話もしたんだから…」
女弓士「ふーん。ドキドキが止まらない?」
詩人「そうだね」
女弓士「私も短髪ちゃんを見つけられたら緊張しちゃうのかな」
詩人「いや、それよりも嬉しくて緊張なんて忘れちゃうんじゃないかな?」
女弓士「じゃあ詩人お兄ちゃんは緊張を忘れないまでいかなかったんだね」
詩人「…そうだね。まあ友達とかじゃないから」
女弓士「ふーん」
詩人「とにかく、感動で2~3日は何も手に着かなそうだよ」
受付「のど自慢明日だぞ」
詩人「え」
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宿
女弓士「~♪弓矢かっこいい♪」
女僧侶「そうですか。明日、その大会にでるのですね。頑張って下さいね」
詩人「はい!」
ヒュン
女僧侶「」サー
女戦士「ちょ!弓士ちゃん、部屋の中で弓を射っちゃダメ!」
女弓士「はぁい」
女僧侶「あと1センチずれてたら顔にかすってました…」ドキドキドキドキ
高級宿
スター「明日は頑張ってね。経験を積むのにいい場だから」
新米歌手「は、はい」
スター「一応僕の弟分ってふれ込みで売り出そうとしてるんだから、ガッカリさせないでね」
新米歌手「はい!」
コンコン
スター「はい」
?「やぁ」
スター「君か…大会中はよしてくれよ」
?「もちろん。君の協力は今後も必要だからね。約束は守るさ」
スター「あは。もう準備は済んでるのかい?」
?「ああ。あとは大会が終わるのを待つだけ」
スター「そっか。ここの女王様もかわいそうにね。記念すべき日に町をめちゃくちゃにされちゃうなんて」
?「それは仕方ないさ。他の国を支配できるチャンスを無下にした愚かな女王様に未来は無いよ」
スター「自分の思い通りにいかないとそれを壊すって、まるで子供みたいだ」
?「あはは。俺、子供のまま心の成長止まっちゃってるから」
スター「ふぅ。子供にこの世界の未来を託して大丈夫なのかね…」
?「ん?まあ俺のまわりに優秀な同志が沢山いるから大丈夫さ。君も含めてね」
スター「どうかな。僕の人気が落ちたら見捨てそうだけど」
?「そりゃ、使い道が無くなったら乗り換えるよ。でもそうさせないために君も俺達を頼ってるんだろ?持ちつ持たれつさ」
スター「ふふ。頼むよ」
?「それにしてもさっきから君の弟子かな?静かだね」
新米歌手「あ…ああ…」
スター「彼は何も知らないからね。君を見てびっくりしてるのさ。なんせ…」
?→黒髪「ん?」
スター「全世界を敵にまわそうって、クーデター企ててる超A級賞金首が目の前にいるんだから」
黒髪「あは」
74
北の国城下町
詩人「…」
女戦士「今日お祭りなんですね!」
女弓士「わたがしおいしい」ムシャムシャ
女僧侶「なんでもこの国の女王の誕生祭だそうで。だからこんなに人が出歩いてるんですね」ビクビク
詩人「よ、夜ののど自慢大会…女王様も見に来るそうです…スターさんもいて、その弟子と賞を争って…ああ、手足が震えてきました」
女弓士「大丈夫だよ!いつもみたいに歌えばきっと皆ちゃんと聞いてくれるよ!」
女僧侶「そうですよ。あなたの目的は優勝じゃなくてアピールでしょう。なら上手く歌う事よりもいつも通り歌う事の方が大事なんじゃないですか?」
詩人「は…はい」
女戦士「ふふ。あ、詩人君、衣装買いましょう、衣装!」
詩人「えぇ!?このままでいいですよ!」
女戦士「ダメだよ!ハレ舞台なんだから!さ、こっちこっち!」グッグッ
詩人「ち、力が強いですぅ~」
女弓士「私もいくー」
女僧侶「まったく、はしゃいじゃって…この人ごみの中一人ぼっちになってしまいました」
女僧侶「動けねぇ…」
坊主頭「ねぇちゃん邪魔ぁ。尻でけぇ」
女僧侶「あぁ!?」
坊主頭「尻デカが怒った!」ダッ
女僧侶「待ちやがれこのガキ!」ダッ
…
女戦士「うふふ。かっこいい衣装も買えたし♪あれ?僧侶さんは?」
女弓士「迷子かな?まったく、仕方無いなぁ」
詩人「あ、あれそうじゃないですか?あの人ごみの中心…」
ガヤガヤ
女僧侶「はい、35かーい!」バチーン
坊主頭「痛ー!もうやめろよ!お前と同じ尻デカになるだろ!」
女僧侶「まだ言うか!50回プラスじゃ!36かーい!」バチーン
女戦士「」
女弓士「私、これからいい子にする。もうお部屋で弓射るのもやめる」
詩人「そ、僧侶様!人ごみの中何してるんですか!」
75
宿
女戦士「まったく!見ず知らずの子に人ごみの中何をしてるんですか!」
女僧侶「ごめんなさい…」シュン
女戦士「詩人君はこれから大会なのに、もしあれを見た人が大会も見に来てて、詩人君の印象をあれで決めてしまったら…!」
女僧侶「はい…でも、あのクソガ…子供が私の女としての尊厳を傷つけるようなことを…」
女戦士「でもじゃありません!」
詩人「まぁまぁ…」
女弓士「私、これから本当にいい子にする。この人達に怒られたら奴隷の時以上のトラウマになりそうな気がするから」
詩人「心の中で言おうね…」
女弓士「わかった」
詩人「お説教はその位にして、渡す物がありますよね」
女戦士「そうでした。怒りのあまり忘れてました…」
女僧侶「手が出なくてほっとしています」
女戦士「なんですか?」
女僧侶「なんでもありません」
女戦士「まったく…はい、これ。僧侶さんへのお礼に私達から」
女僧侶「え?」
女戦士「私達、今、旅が楽しいんです。重い目的を持つ僧侶さんとか弓士ちゃんには悪いかもしれないけど…」
女弓士「私も楽しいからいい」
女戦士「この旅ができるのは、僧侶さんが声をかけてくれたから…だからそのお礼です」
女僧侶「いいのに。私は旅を手伝ってもらっているんだから、お礼をしないといけないのは私の方なのに」
女戦士「いいから、早く箱開けて下さい!もらっておいて失礼ですよ!」
女僧侶「はいはい…ペンダント?ハートマークの…」
女戦士「高くはないけど…」
女弓士「僧侶お姉ちゃん、ペンダントの蓋開けてみて!」
女僧侶「蓋?これですか」パカ
「ありがとう」
僧侶お姉ちゃん!いつ遊んでくれるの?ずっと一緒にいてね!
女弓士
諦めようとしていた夢に背中を押してくれた恩人です。本当にありがとうございます
詩人
困った事があったら助けます!私を助けてくれたように!
女戦士
私達に愛を教え、与え、守ってくれてありがとう!
女僧侶「…」
女戦士「引きこもっていた私は、僧侶さんに愛を改めて教えてもらいました。家族、剣士君、仲間…皆愛してくれるし、愛する事が出来るという事を」
詩人「僕は守ってもらいました。おじい様、おばあ様…両親、そして夢への愛を」
女弓士「私はもらったよ!」
女僧侶「ありがとうございます」ニコ
女戦士「む、泣かない」
女僧侶「こんな脈絡の無いタイミングで渡されて泣く分けないじゃないですか。死ぬかもしれない戦いの直前…とかならなくかもしれませんが」
女戦士「ちぇー。まあ感謝のしるしです」
女僧侶「ふふ。大切にします。しかしこれ、字が小さいですね。読みづらい…」
女弓士「さ、後は詩人お兄ちゃん!頑張ってね!」
詩人「は、はい!あと少しで始まる…」
女僧侶「子供のくせにスルースキルが高いですね…」
女戦士「さ、行きましょう!」
詩人「緊張するなぁ…」
76
のど自慢会場
MC「雪が降り積もり、街灯が照らす綺麗な夜のステージです。皆さんお集まりいただいてありがとうございます!」
ワーワー
詩人「とうとう始まる…」
MC「それではこれより、北の王女生誕祭記念、北の国のど自慢大会を開催します!それではさっそく、王女より挨拶を!」
北の王女「皆さん、本日はこのようなお祭りを開いて私の誕生日を祝ってくれて本当にありがとうございます」
ワーワー
詩人「わぁ…綺麗な人だな…」
女戦士「王女様ですからねー。綺麗なドレス。素敵だなぁ」
…
北の王女「それでは参加者の方々の素敵な歌声を聞かせてもらって、夢のような時間を過ごしたいと思います。皆さん頑張ってください」
MC「ありがとうございます!それでは次に!その人気は世界1!世界中でヒットを飛ばし続けるスターさんのあいさつです!」
スター「皆さんこんにちわ。王女様生誕24年、おめでとうございます」
女僧侶「あれがスターですか」
女戦士「え!知らないんですか?超有名人じゃないですか」
女僧侶「神職にあるので、俗世間に関心が無いのです」
女弓士「でも僧侶お姉ちゃん、お菓子の種類には詳しいよね」ペロペロ
女僧侶「」
…
スター「今日は私の弟分も参加します!優勝する実力はないかもしれませんが、皆さんを感動させるために頑張ってくれると思います!皆さん楽しみましょう!」
MC「ありがとうございました!スターさんには審査に加わって楽しんでいただきます。それではのど自慢大会、開催です!」
詩人「そういえば控室とかないんですね…」
MC「それではエントリーナンバー1、歌好きさん檀上へ!」
歌好き「は、はい!」
MC「それではどうぞ!」
歌好き「~♪」
…
詩人「う、うまい…」
女僧侶「素人の大会なのにレベル高いですね…」
女弓士「詩人お兄ちゃんの方がうまいよ!」
女戦士「そうだそうだー!」
MC「それでは次!エントリーナンバー2!歌唱少女さん檀上へ!」
…
詩人「これ、エントリー順ですかね…だとしたら一番最後…」
女弓士「トリだね、詩人お兄ちゃん!」
MC「残すところあと2人となりました!エントリーナンバー6!新米歌手さん檀上へ!」
新米歌手「はい!」
MC「彼はスターさんの元で訓練を積んだエリートです!これまでの参加者とどう違いを見せてくれるのか!どうぞ!」
新米歌手「~♪」
ワーワー
女僧侶「お客を乗せるのがうまいですねぇ。ダンスも」
詩人「会場全体が一体に…」
女戦士「楽しいですね!」
女弓士「うん!」ピョンピョン
…
北の女王「楽しい時間ね」
護衛長「ふふ。私の仕事を増やした甲斐がありましたね」
北の女王「…ふーんだ」
護衛長「ふふ」
…
MC「ありがとうございました!会場全体が釘付けになりました!優勝大本命かぁ!?さて次は!」
詩人「…」
女弓士「詩人お兄ちゃん頑張って!」
MC「受付時間を過ぎての応募にもかかわらず出場が決まったラッキーボーイ!エントリーナンバー7!詩人さん檀上へ!」
詩人「い、行ってきます…」ドキドキ
ガヤガヤ
客1「おいあれって…」
客2「昼間広場で子供の尻を叩いてた女の連れだよな…」
客3「大丈夫かしら…」
ガヤガヤ
詩人「」
女戦士「ほら…僧侶さん」
女僧侶「てへっ」
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詩人「~♪」
…
MC「ありがとう…ございました。席にお戻り下さい。それでは今から採点です」
シーン
詩人「…静まり返っちゃいましたね…感動どころか、新米歌手さんが作った素晴らしい空気を壊してしまいました…」
女僧侶「何を言ってるんですか?」
詩人「え?」
MC「お待たせしました!早速ですが優勝者をスターさんから発表してもらいます!」
スター「早速発表します!優勝は…」
新米歌手「…」
歌唱少女「…」
歌好き「…」
詩人「…」
スター「エントリーナンバー7!詩人君!」
MC「素晴らしい歌声で会場を魅了した詩人さん!檀上へお願いします!」
詩人「え?え?」
女弓士「ほら、早くいきなよ!」
女戦士「やったぁ!」
女僧侶「よかったですね」ニコ
スター「素晴らしい歌声が、降る雪と融け混ざって、会場全員の心に入ってきました。本当に、全員が感動しました。おめでとう!」
MC「おめでとうございます!今トロフィーが詩人さんの手に!」
詩人「あ…ありがとうございます…」
スター「ふふ。まだ信じられないという表情だね。すごい才能だよ。僕と一緒に歌を作らないか?」
詩人「えぇ!?」
MC「おーっと、スターさんからオファーが!」
詩人「…ごめんなさい。ちょっと今は大事な旅の途中だし、歌や作詞作曲の修行中なので…もっと立派になったら、その時にお願いします」
スター「そうか、残念だ。その時を待ってるよ」ニコ
MC「それでは賞金を女王様から!」
北の女王「ヒック。素晴らしい歌声だった。両親のぬくもりを…ヒック。思い出して涙が止まらん。感動をありがとう。ヒック。これ、賞金…」
詩人「あ、ありがとうございます…あの、よかったらハンカチ…」
護衛長「女王に不審な…」ダッ
北の女王「優しいな…ありがとう」チーン
詩人「あ…鼻水を…お気に入りだったのに…」ガク
北の女王「お前、気に入ったからうちの国のお抱え音楽士にならないか?」
詩人「あの…さっきも言いましたが大事な旅の途中で…」
北の女王「じゃあじゃあ!それが終わってからでいいからまた来てくれ!この国へ!歌を聞かせに!」
ワーワー!
マッテルゾー!
女僧侶「大人気ですね」ニヤニヤ
女戦士「アピール大成功ですね!」
女弓士「詩人お兄ちゃんかっこいい!」
詩人「…えへへ」
ドッカーン
女僧侶「!?」
女戦士「上から!」
護衛長「飛行船団!?クーデター軍か!女王!こちらへ!」
黒髪「あっはっは!僕のラブコールは断ったくせに、その歌の上手いお兄さんには逆にラブコールを送るなんて、嫉妬しちゃうなー。気分がいいから全部壊しちゃおう!」
ドカーン
78
北の女王「誰がお前達に協力するか!護衛長、早く皆の避難を!」
護衛長「王女も避難を!おいお前!早く兵士を呼んで来い!」
ワーキャー
何事ダー
ニゲロー
護衛長「く…皆混乱してスムーズに逃げれていない…」
詩人「…」スッ
護衛長「おい!お前も早く逃げろ!」
詩人「~♪~♪」
…オチツコウ
皆、ナランデニゲロ
女子供、年寄ヲ先ニ!
護衛長「おお…流れがスムーズに」
詩人「えへへ…」
女僧侶「詩人君よくやりました」
女戦士「女王様の誕生日をむちゃくちゃにして…許せない!」
女弓士「あの人達が短髪ちゃんを買ったんだよね?」
護衛長「何だお前等!?早く逃げろ!」
女僧侶「…あなたも早くお逃げなさい。女王様を守らないと」
護衛長「いや、そうしたいところだが…」
女僧侶「え?」
女戦士「あ!敵の兵士が降りてきましたよ!」
女僧侶「さあ、とっとと片づけて、上にいるバカを引きずりおろして、弓士ちゃんの用事を済ませますよ!」
女弓士「おー!」
敵兵士「うぉおおお!」
北の女王「はぁ!」バキィ
女僧侶「え?」
護衛長「…はぁ」
北の女王「民は私が守る!」
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女僧侶「回復!」パァ
北の王女「おお、助かる!」
詩人「はぁ!」バシュ
女弓士「は!」シュッシュッシュ
女僧侶「おお、連射…しかも本当にうまい」
女弓士「えへへ。私頑張る!」シュッシュッシュ
女戦士「はぁああ!」ドッゴーン
北の王女「おい、なんだあの化け物は。一人だけ効果音がおかしいぞ」
女僧侶「あれでも心は乙女なのです」
敵兵「つ…強い…」
護衛長「はぁ!」ドカッ
女僧侶「はぁはぁ…敵の降下が止まった…?」
女戦士「優勢ですね!」
女弓士「何かでかいのが落ちてくるよ!」
女僧侶「皆、避けるのです!」バッ
ドッカーン
賞金首「はぁーっはっはっはぁ!やっと会えたな僧侶ぉ!そして大会での借りを返すぞ戦士ぃ!」
女僧侶「げ」
女戦士「相変わらずむかつく顔ですね…」
賞金首「はぁ!」バキィ
女戦士「っ」ビリビリ
賞金首「相変わらずやるなぁ!これをガードするとは!楽しい!楽しいぞぉ!」
詩人「戦士さん!」バシュ
女弓士「戦士お姉ちゃん頑張って!」シュッシュッシュ
北の王女「なんだあの化け物二人は…」
護衛長「あそこからはなるべく離れて戦いましょう」
建物の陰
新米歌手「あの…俺達も戦うんですか?」
スター「え?僕は戦わないよ。顔が割れたら歌手活動できないじゃないか」
新米歌手「え…」
スター「これ以上僕を失望させないでね?黒髪を助けてあげてよ。じゃあ、生きてたらまた会おうね。僕も避難するよ」スッ
新米歌手「…」
飛行船上
黒髪「いやー。賞金首、派手に暴れてるねぇ。連れてきて正解だったね。まさか僧侶たちがいるなんて」
?「本当にそうですね」ニコ
黒髪「あっはっは、君もそう思うだろ?」
?「ええ」
黒髪「僧侶」
女僧侶「…」
80
地上
賞金首「はぁ!」ドッ
女戦士「ぐっ!…あなた、前よりも力強くなってません!?」
賞金首「くっくっく。クーデター軍が精製したドーピング剤を打ってるからな!」
女戦士「…見損ないました。もともと尊敬してませんが」
賞金首「勝てばいいんだよ勝てばぁ!」
女戦士「…そんなんだから僧侶さんに相手にされないんですよ」
飛行船上
女僧侶「聞きたい事があります」
黒髪「その前にいいかな。どうやってここに?」
女僧侶「縄梯子ぶら下がってるじゃないですか。地表スレスレに来たときに登りました」
黒髪「その子をおぶって?相変わらずの怪力だね」
女弓士「…た、短髪ちゃんはどこ!?」
女僧侶「最近奴隷を買いませんでしたか?」
黒髪「奴隷?短髪ちゃん?…ああ、この子かい?」
短髪「…」
女弓士「短髪ちゃん!」
短髪「…」シュッ
女弓士「え?」ツー
短髪「弓士ちゃん久しぶり。どうしたの?」
女弓士「え?」
黒髪「あっはっは。この子、君たちは知らないだろうけど、クナイとか、忍術とか…東方の技術を教えてみたら筋がよくてねぇ。奴隷じゃなくて大事な仲間として迎え入れたんだ♪」
短髪「黒髪さんを捕まえに来たの?」シュッ
女僧侶「こっちの答えを待たずに攻撃をするような下品な子に育てたんですか?」
黒髪「はは。空気が読める勘がいい子なんだよ。さ、以前のお友達を片づけられる?短髪」
短髪「うん。終わったらいい子いい子して?」
黒髪「あはは。いいよ。さ、頼んだよ」
短髪「うん」スッ
女弓士「きゃっ!」
女僧侶「弓士ちゃん!」
女弓士「こっちは大丈夫!短髪ちゃんとの喧嘩なんて慣れっこだから!」
女僧侶「…」
黒髪「で?こっちも喧嘩する?ふふ。あ、もう一つ聞きたい事があるんだ」
女僧侶「?」
黒髪「あの子といい、村に置いてきた子達といい、小さい子ばかりかまってるけど、また少年兵部隊でも作りたいの?あは。協力するよ?」
女僧侶「そんな訳…あるかぁ!」ダッ
黒髪「おっと」バシュ
女僧侶「くっ」
黒髪「相変わらず頭に血が上りやすいねぇ」
?「ああ。本当にな」
黒髪「あは。何か懐かしい面々が集まるね」
女僧侶「な…何故ここに!?紅鬼子!」
紅鬼子「僧侶のピンチなら駆けつけない訳にはいかんだろう」
続く
次の10話で今回突入した大きな話が一つ終わります。