61~70
新たな仲間と出会ったり、少しだけ女僧侶の過去がわかったり!?
61
城下町
赤眼「いやぁ。ついたついた」
女僧侶「ひ、人と建物がいっぱい…」オドオド
緑石「なんだ?田舎者丸出しじゃないか」
女僧侶「はぁ!?どこがですか!」
女戦士「いや、そう見られてもおかしくないです…」
蒼髪「あはは」
詩人「…」
赤眼「詩人君、もうすぐで報告できるな。そしたらちょっとは元気でるか?」
詩人「しばらくは無理かもしれません…」
赤眼「そうか。じゃあしばらくしたら女の子がいっぱいいる楽しいお店に連れてってやるからよ、待ってるぜ」ドン
女戦士「本当に最低ですね」
女僧侶「服を売るお店なんてこんなに狭い範囲で何軒並んでるの!」キョロキョロ
女戦士「…」
詩人「…はは」
赤眼「さて、詩人君の両親の家に行こう。俺らも爺さんに世話になった礼をしたいしな」
詩人両親宅
詩人父「そんな…」
詩人母「無理やりにでも一緒に連れて来ればよかったわ…うぅ」
詩人「…とりあえず手紙を」スッ
詩人父「…」
詩人母「…」
詩人父「墓参りにいくか」
詩人母「そうね、あなた…グス」ニコ
赤眼「俺達も爺さんには小さい頃から世話になってたので、絶対に墓は守ります」
詩人父「お願いします」
女戦士「喧嘩ばかりだったけど、とても素敵なおじいちゃんとおばあちゃんでした」
詩人父「自慢の父と母ですから。私は、二人のように何かを作り上げたことも、命がけで何かを守ろうとしたことも、愛する者のためにそれを簡単に捨てる勇気も今までに持ったことが無い。私には一生追い越せない存在です」
詩人「…」
女僧侶「そうですか?あなたの息子はこれから世界一の大スターになるそうですけど、その子を育てたのはあなた方なのですよね。そんなことなかなかできることじゃないと思いますけど」
詩人「僧侶様…」
詩人父「詩人…そうなのか?」
詩人「…はい。僕はこの歌声で世界を幸せにしたいのです」
詩人父「そうか。一緒に暮らしたかったが…がんばれよ」
詩人母「がんばってね。応援してるわ。疲れたらいつでも帰ってくるのよ」
詩人「はい!」
城下町
詩人「僧侶さん、ありがとうございました」
女僧侶「え?」ビクビク
詩人「正直、僧侶様の言葉を聞くまではおじい様とおばあ様を失った父と母のそばで暮らすのと、自分の夢の間で揺れていました」
女僧侶「…」
詩人「でも、僧侶様の言葉を聞いて、僕は父と母が誇れる息子にならないといけないなって、気づけました。ありがとうございます」
女僧侶「そんな使命感みたいに考えなくてもいいんじゃないですか?詩人さんは夢のために旅をするんです。親なら大体、子供の夢を応援してくれますから、あなたがこれからいきいきと生きていくことがご両親にとって一番の幸せだと思いますよ」
詩人「…そうですね!ありがとうございます!何か…少し元気が出ました!」
赤眼「じゃあ、店行くか?」
女戦士「…」ドゴッ!
赤眼「ぐ…ひど…」
女戦士「は!ついまた…嫌悪感が押させられなくて…」
女騎士「ほう、いい腕をしているな。王国兵団に入らないか?」
女戦士「え?」
赤眼「お、姐さん…痛て…」
緑石「顧問、何故こんなところに」
女騎士「臭いから原因を見に来たら赤眼だった」
赤眼「俺の事好きすぎだろ」
女騎士「今の言葉のどこからそう捉えられるんだ?私はゴミを処理しに来たんだ」キン
赤眼「おわ!あぶねぇ!殺す気か!」
女騎士「ああ、不始末を犯した部下の調教だ」シュッ
赤眼「不始末ぅ?何の事だ!」
女騎士「お前、あの資産家に手出しただろ。国の財政つぶす気か?」シャッ
赤眼「くっ…手なんか出してねぇって!」
女騎士「お前が疑ってた薬売り、あいつと何にも関係ないってよ」キィン
赤眼「そんなバカな!?」
女騎士「あいつら、うまくやったんだろ。ずる賢さなら天下一品だからな」
赤眼「え?」
女騎士「あいつらがキナ臭い事なんかとっくにわかってるんだ。しかし国の財政にも影響をもつ奴らに下手に喧嘩を売れるか?こちらでうまくやるからお前等は勝手なことするな」ボソ
赤眼「…すまねぇ」
女騎士「資産家が名誉棄損だって、怒鳴り込んできたからな。大臣がうまく諌めていたが。次はないぞ」
赤眼「ああ…」
女騎士「そこの詩人君。安心しろ。あの土地は資産家が手を出す前に国で保護をした。あとでご両親に買い取りの交渉に行く。おそらくそっちの方が墓も安全だろう。ずっと見張るしな。もちろん君たちの墓参りは自由に出入りできるぞ」
詩人「ありがとうございます!お願いします…」
女騎士「ところで懐かしい顔がいるな」
女僧侶「お久しぶりですね。紅鬼子さん」ニコ
緑石「え」
蒼髪「えぇー!?」
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赤眼「え?お前達知らなかったの?」
緑石「そっちの僧侶が紅鬼子なんじゃないのか?」
女騎士→紅鬼子「いや?私だけど」
緑石「お前、そう呼ばれることもあったようなと言っていたじゃないか」
女僧侶「私の事を間違えて呼ぶ人もいた気がしたから…」
蒼髪「顧問もその話した時、自分だという事は言ってなかったじゃないですか!」
紅鬼子「察しが悪い男はもてないぞ?大体そいつが人を殺せるわけがないだろう」
赤眼「まったく。言語理解能力の低い奴らだぜ。やれやれ」
緑石「どうしようかな。ちょっと本当にむかついてきちゃった。反乱しようかな。反乱」
槍士「ちょっと、落ち着いて下さいよ隊長!」
女僧侶「それはそうとあなた何でお城で働けてるんですか?死刑でしょ、普通に考えて」
紅鬼子「王は少年兵部隊に対しての過ちを非常に悔いておられるからな。捕まった時にそこに付け込んで取り入った。まだ子供だったしな」
女僧侶「最低ですね。あなた」
紅鬼子「ふん。まだしたい事があるんだ。死んでる場合じゃない」
女僧侶「…復讐ですか?」
紅鬼子「…いや、あの先生の事はやはりまだ許せんが、王の判断が理解できないでもない。復讐なんて考えてないよ」
女僧侶「…」
紅鬼子「人を殺せない立場のやつはつらいな。復讐したい気持ちがあるのにそれを他人に実行してもらうことを祈るしかないんだから」
女僧侶「そんな事は…」
女戦士「僧侶様はそんな人じゃありません!」
紅鬼子「ふっ。わかってるさ。小さい頃の仕返しにちょっと意地悪してるだけだ」
女戦士「え?」
女僧侶「小さい頃、よくいじめてましたから。それでもずっと後についてきて、健気でしたね、あの頃は。まあ私も先生の事は許せる気はしませんが復讐したいという気持ちももうありませんよ」
紅鬼子「そうか。で、王に会いに来たのか?一緒に城で働くか?部下につくのはこいつらみたいな役立たずばかりだが」
赤眼「はぁ?俺の事大好きなくせによくい…」シュン
紅鬼子「…」
赤眼「剣先まで1ミリ…」
女僧侶「王国兵団の上司って、ずいぶん偉いですね。でも街中でそんなに武器を振り回していいんですか?」
紅鬼子「ああ。私よりも上の実力者がいないから、兵団顧問に選ばれたんだ。一応前科者だから武器の扱いに制限はあるが…あまり戦えないから不便だ」フゥ
女僧侶「思いっきり振り回してるじゃないですか」
紅鬼子「こいつらへの躾けは許されている」
女僧侶「なるほど」
紅鬼子「まあ、立場上、書類仕事や会議ばかりだがな。罪を償うという面でも、一生懸命働いているよ。で、お前もここで働くのか?」ワクワク
女僧侶「何わくわくしてるんですか。働きませんよ」
紅鬼子「そうか」シュン
女僧侶「賢者様の事、知りませんか?」
紅鬼子「賢者?…というかこんな所で立ち話もなんだから城に行かないか?」
女僧侶「いえ…間違って王に会ったら僧侶の誓いを破って初めて人を殺めてしまうかもしれませんので…」クッ
紅鬼子「復讐心に満ち溢れてるじゃないか」
女僧侶「冗談です。でもまだちょっと耐えられなさそうなので」
紅鬼子「そうか。じゃあここでいいか」
女僧侶「知ってます?」
紅鬼子「噂で聞いたことならある」
女僧侶「本当ですか!?」
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紅鬼子「でも教えない」
女僧侶「久しぶりに喧嘩するか?また泣かすぞ」
紅鬼子「いや、冗談だから」
女僧侶「人をなめくさって…変わってしまいましたね。昔はあんなにかわいかったのに…」
紅鬼子「あまりこいつらの前で過去を語るんじゃない」
赤眼「興味がありますな」
緑石「同じく」
蒼髪「正直俺も…」
女僧侶「泣き虫で甘えん坊で…」
紅鬼子「おい!言うから!やめろ!」
女僧侶「早くしろよ?」ニコ
紅鬼子「お前は相変わらずだな…まったく。勝てる気がしない」
女戦士「本当にこの人、戦争で沢山人を殺した人なんですか…?」
紅鬼子「…ああ、そうだな。今でm…」
女僧侶「早く教えろ」
紅鬼子「ああ…すまん。北の大陸に賢者という存在が隠れ住んでるという事を聞いたことがある」
女僧侶「北の大陸…」
紅鬼子「行くなら、この城の北に行ってすぐの、港町から船で行くといい。北の大陸は狭いからひょっとしたらすぐ見つかるかもしれん」
女僧侶「ありがとうございます」ニコ
紅鬼子「ふ…ふん。過去を語られないように仕方なくだな…」
女僧侶「ツンデレって、好きな男の子にかますものだと思うの」
紅鬼子「だ、誰がツンデレか!…ああ、そうだ。北の大陸に船で上陸したらすぐ北の王国だから、そこで賢者の詳細を聞けるかもしれんな。気を付けて行けよ」
女僧侶「わかりました」ニコ
紅鬼子「ふ、ふん」フイ
女僧侶「…黒髪に会いました」
紅鬼子「…クーデター軍か」
女僧侶「ええ。彼はまだ…」
紅鬼子「どうだかな。あいつだけは昔から何考えてるかわからん。そいつにも、本当に気をつけろよ」
女僧侶「お互いに」
紅鬼子「ああ…あと、語りたくない過去の話をさえぎってくれてありがとう。私はもう大丈夫だ」
女僧侶「そうですか」ニコ
女戦士「語りたくない…あっ…ごめんなさい」
紅鬼子「いや、いいさ。事実だからな。またお前達の旅が終わって機会があれば話そう。僧侶から聞いてもいいがな」
女僧侶「他人の恥部を話すなんて私にはとても…」
紅鬼子「何が恥部か」
女僧侶「え、1週間連続おもらし記録の事とか…」
紅鬼子「おいやめろ」
赤眼「それは本当ですか」ゴクリ
紅鬼子「まだいたのか給料泥棒ども」
緑石「ずっといたが…」
女僧侶「そろそろ行きますね」ニコ
紅鬼子「おいっ!この空気のまま行くな!」
女僧侶「また会いましょう」ペコリ
赤眼「少しの間だったけど、楽しかったぜ。気を付けてな」
緑石「今度会うときまでにはもう少しガサツさを治しておけよ」
蒼髪「戦士さん、また戦いましょう!」
槍士「お元気で!」
詩人「…」
女僧侶「詩人君も、いきますよ?」
詩人「お供していいのですか?」
女僧侶「え、そのつもりでしたが…」
詩人「旅の目的が違うから、どうしようか悩んでました」
女僧侶「そうですか。無理強いはしませんが、最初から一人旅だと困るかなと…」
詩人「では、僧侶様の旅を手伝わせて下さい!その中で僕も実力をつけていきます」
女僧侶「よろしくお願いします」ニコ
女戦士「ではまた!」
紅鬼子「また来いよ!絶対だぞ!おい!聞いてるのか!おーい!」
女僧侶「…」
女戦士「…いいんですか?こんなに離れても大声で叫んでますけど」
女僧侶「おもしろいからいいんです」
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女僧侶「ああ…潮の香り。人が少ないっていいですねぇ」スーハー
女戦士「僧侶さん、いきいきしてますね」
少女「痛っ」ドン
女僧侶「ああ…ごめんなさい」
少女「…砂城」
女戦士「壊しちゃいましたね」
女僧侶「どうしましょう」オロオロ
詩人「前のと一緒は無理かもしれないけど、僕が作ってみます」コネコネ
少女「見てる」
女僧侶「…この町に住んでるんですか?」
少女「…うん」
女戦士「どうしたんですか?」ヒソ
女僧侶「いえ、砂遊びしてるにしても、服が汚れすぎている気がして…」ヒソ
少女「わぁ。上手」
詩人「えへへ。ありがとう」
少女「次は何かお話が聞きたい」
女僧侶「お話?」
少女「絵本みたいなお話」
女僧侶「家に絵本無いんですか?」
少女「…無い」
女戦士「じゃあ…」
…
少女「楽しかった」
女戦士「うふふ」ニコ
少女「お姉さんからは何もしてもらってない。遊んで」
女僧侶「図々しいガキですね」
女戦士「そ、僧侶さん!ぶつかったのはこちらなんですから…」
女僧侶「そ、そうでした…」
少女「何するの?」
女僧侶「うーん…」
少女「あ…」ビクッ
イカツイ男「おいガキ!いつまで遊んでやがる!とっくに自由時間は過ぎてるんだぞ!」
少女「ごめん…なさい」
イカツイ男「来いっ!」グイッ
少女「痛っ」
女僧侶「ちょっと。子供に対して手荒すぎませんか?」
イカツイ男「ああん?商品をどう扱おうが勝手だろう!口はさまないでくれ!」
女僧侶「商品…?」
イカツイ男「おっと…なんでもねぇぜ。あんましこっちの事に首突っ込むとお互いろくな事ねぇからよ。忘れてくれ。じゃあな。へへ」
少女「…」ジッ
女戦士「僧侶さん…」
女僧侶「少女ちゃん。また明日遊びましょう」ニコ
少女「…」パァ
イカツイ男「おい!早く来い!」
詩人「奴隷商ですかね…あまり首を突っ込まない方が…」
女僧侶「まあそうですね。でも、まだ私はあの子の砂城を壊した償いをしてませんから」
女戦士「渡航は明日以降ですね!」
女僧侶「ええ。ごめんなさい」
女戦士「いえ!」
詩人「ふふ」
女僧侶「さて、とりあえず今日は宿とって寝ましょう」
女戦士「はい!」
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次の日
少女「うわぁ。歌上手」
詩人「へへ…ありがとう」
…
少女「きゃー!高ーい!お姉ちゃん力持ち!」
女戦士「あはは…喜んでいいのか…悪いのか…」
…
少女「今日も楽しい。僧侶のお姉ちゃんは何を遊ぶの?」
女僧侶「…」
少女「って、もう時間。行かないと怒られる」
女僧侶「…」
少女「今日も僧侶のお姉ちゃんは遊んでくれない。ずっと怖い顔…私の事、嫌い?」
女僧侶「…あなたは家に帰りたいんですか?」
少女「…家って、今いる所?あそこは家じゃない。帰りたくない」
女僧侶「そうですか」
少女「でも、帰らないと他に行くところが無い。それに見つかったら怒られる」
女僧侶「では仕方ありませんね。そこまで送ります」ニコ
少女「笑った。うれしいな。でも…」
女僧侶「でも?」
少女「誰もつれてくるなって…連れて行ったら怒られる」
女僧侶「では仕方ありませんね。気を付けて帰りなさい」ニコ
少女「ありがとう。じゃあバイバイ!また明日!」
女僧侶「明日は遊べるかわかりませんが…」
少女「そっか…旅の人だから仕方ない。じゃあ、ありがとう」ペコリ
女僧侶「…」
女戦士「僧侶さん…」
女僧侶「さ、つけますよ」
66
奴隷商アジト
女僧侶「…大人が4人か…こちらは2人でいけそうですね」
女戦士「ええ。詩人君は?」
詩人「僕も一応戦えますけど…」
女僧侶「詩人君は、一度城へ戻って王国兵団を呼んでもらえますか?彼らを捕まえないといけませんから」
詩人「はい!どうか気を付けて…2時間位で戻れると思います」サッ
女僧侶「さて、行きますか」バッ
女戦士「はい!」バッ
奴隷商1「何だお前等!」
奴隷商2「捕まえろ!」
奴隷商3「お前達、昨日の!」
奴隷商リーダー「捕まえろ!」
奴隷商1「うぉおお!」
女戦士「はぁっ!」ブンッ
奴隷商1「ぐぁ!」バタ
奴隷商2「強…」
奴隷商3「ちっ…」ダッ
女戦士「あ、一人逃げました!」
奴隷商2「今だ!はぁ!」
女戦士「ふん!」ガキィ
奴隷商リーダー「おらぁ!」ブン
女僧侶「!」ヒラッ
奴隷商リーダー「ちっ」
女僧侶「はっ!」
奴隷商リーダー「ぐあ!」バキィ
奴隷商2「ぎゃあ!」
女戦士「はぁはぁ」
少女「お姉ちゃん!」
奴隷商3「動くんじゃねぇ!動くとこのガキを殺すぞ!」
女僧侶「…」
少女「お姉ちゃんやめて!この人達のいう事を聞かないと、短髪ちゃんたちが…」
女僧侶「短髪ちゃん?」
少女「ここよりももっと大きな所に短髪ちゃんが捕まってるの。私を売れば、そのお金で短髪ちゃんは助かるって…」
女僧侶「…あなたが売られたら、その助かった短髪ちゃんは喜ぶと思いますか?」
少女「…でも、助けないと!」
女僧侶「私たちが両方共助けるって言ったら、あなたはどうしますか?」
少女「…無理だよ!そこ、すごく大きいんだから!それにお姉ちゃん達も危ないよ!」
女僧侶「助けの手を差し伸べても取ろうとしないんですね」
女戦士「僧侶さん…?」
少女「…え?」
女僧侶「今まではあなた一人で、どうしようもなかったでしょう…だから奴隷として生きようとしてしまうのも仕方ないです」
少女「…」
女僧侶「でも今は一人じゃないんですよ?子供は大人にあまえなさい。素直が一番です」
少女「でも…」
女僧侶「助かりたいか、助かりたくないか!どっちですか!」
少女「助かりたいよ…奴隷なんか嫌」
女僧侶「なら!人にお願いするときはなんて言いますか!」
少女「…助けて下さい!助けて!短髪ちゃんも私も、皆助けて!いっぱい遊びたいよ!」
女僧侶「よくできました」ニコ
女戦士「よーし。張り切るぞー!」ブンブン
少女「…えへへ」グス
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奴隷商3「このガキ!」ブン
女戦士「少女ちゃん!」
少女「えい!」ガブッ
奴隷商3「あいーだだだだだ!」
女僧侶「はぁ!」シュッ
奴隷商3「ぐあ!」バタッ
女戦士「あはは。投石…久々に見ました。えい!」ゴッ
奴隷商2「ぐ…あ…」バタッ
奴隷商リーダー「てめぇら…こんな事してタダで済むと思うなよ…」
女僧侶「さぁ…どうなるんですかね?」
奴隷商リーダー「俺らの顧客にはクーデター軍だっているんだ!そいつら含めて全員敵に…」
女僧侶「はっ!」ドゴッ
奴隷商リーダー「ぐ…」バタッ
女僧侶「…とっくに敵にまわってますよ」
少女「僧侶お姉ちゃん!ありがとう」
女僧侶「よく頑張りました」ナデナデ
女戦士「ふふ」
女僧侶「まだ砂城を壊した償いを、私だけしてませんからね」
少女「償い…?」
女僧侶「少女ちゃんに許してもらうために遊ばなきゃってことです」
少女「遊んでないけど、怒ってないよ?それに、助けてくれたから、もういいの」
女僧侶「そうですか」ニコ
女戦士「他に奴隷の子はいないんですかね?」
少女「ここには私だけ。大きなアジトには沢山いるよ」
女僧侶「…」
女戦士「そっか。でも、どうして僧侶さんはこの子を助けに?」
女僧侶「神に仕える身ですから」ニコ
女戦士「…いつもと顔つきが違ってた気がします」
女僧侶「…私も奴隷だったことがあります」
女戦士「え?」
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女僧侶「戦争が終わった後ですね。王国から逃げたのはいいけど、行き場が無くて」
女戦士「…」
女僧侶「仇も取れず、どうでもいいと思ってたので奴隷商につかまって奴隷になりました」
少女「…」
女僧侶「それで、そこから助けてくれたのが村の神父様です。かなり簡単に言いましたがこんな所です」
女戦士「そうだったんですね…」
女僧侶「神父様に助けられるまで、私は何もかも諦めて、何かにすがることすらしませんでした。だから、その時の私よりも少女ちゃんは何倍も立派ですね」ナデナデ
少女「…でも今はとっても強い」ギュッ
女戦士「そうですね!それに私達仲間がいます!奴隷じゃなくて、仲間です!」
女僧侶「ふふ」
…
詩人「大丈夫ですか!連れてきました!」
赤眼「…もう終わってんじゃねぇか」
女僧侶「…」スースー
女戦士「…」スースー
少女「…」スースー
詩人「あはは」
緑石「地べたで寝るなんて…だらしがない」
蒼髪「さ、奴隷商を連れて行きましょう」
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赤眼「別れてから、すぐ会ったな」
女僧侶「紅鬼子は来なかったんですか?」
赤眼「現場で仕事する人じゃないからな。相当来たがっていたが、会議に連れてかれた」
蒼髪「奴隷商の大元って、最近捕まえた所ですよね」
女僧侶「え?」
緑石「こいつらのリストにある名前…そうだな。こいつらは残党だな」
女戦士「そうだったんですか…奴隷は皆保護を?」
緑石「ああ。もちろんだ」
少女「短髪ちゃんは!どこにいるの?」
蒼髪「短髪?もしやと思って保護対象者のリスト持ってきてよかった…えっと…いないな」
少女「え!?」
赤眼「もう売られたんじゃないか?」
奴隷商リーダー「…くく…そいつなら、クーデター軍に売ったぞ。いい金になった」
少女「そんな!約束が…」
奴隷商リーダー「ガキとの約束なんざ…ぎゃあ!」
赤眼「おい、あんまし臭い息吐くんじゃね。捕まえる前に殺すぞ」ギロ
奴隷商リーダー「ひぃ…」
女僧侶「…クーデター軍に用事が出来てしまいましたね」
女戦士「私は付き合いますよ!」
詩人「ぼ、僕もです!」
赤眼「で、その子は保護するか?」
少女「…」ギュッ
女僧侶「この子は私達が連れて行きます」
少女「…」パァ
赤眼「そうか。旅、気をつけろよ。じゃあな」
女僧侶「はい」ニコ
70
船上
女僧侶「おえぇ」オロロロロ
女戦士「うわぁ…」
詩人「船酔いですか…」
少女「船には弱いんだね!」
女僧侶「そういえば少女ちゃんは…うっぷ。短髪ちゃんを連れ帰るのに多少は戦えないといけないと思うのですが、何か得意な武器はありますか?」
女戦士「戦えなくても…私達が守りましょ?」
女僧侶「何があるかわかりませんから」
少女「弓矢がうまいって、昔よくお父さんたちに褒められた」
女僧侶「じゃあ、北大陸の城下町についたら弓矢を買いましょう」
少女→女弓士「うんっ」
詩人「子供まで戦うなんて…物騒ですね」
女僧侶「詩人君は?戦えるって言ってたけど…」
詩人「僕は剣を少々…あと、歌声で魔法みたいな事ができます」
女僧侶「なるほど。戦力の把握ができました。これからは本当に戦闘も増えるかもしれません。皆気を引き締めましょう」
女戦士「はい!」
詩人「はい!」
女弓士「はい!」
女僧侶「おぅええ…」
女戦士「うわぁ!」
詩人「まずは僧侶様の胃を引き締めないと…」
女弓士「ふかなきゃ」
続く
次回からだんだんと物語が動いていきます。
なるべくお笑い要素を忘れない様に入れているつもりですが…