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51~60

武術大会決着!

そして新たな戦い…いや、男達の聖戦、女風呂覗きは成功するのか!?

51

解説「とうとうやってきました!決勝戦です!」

シーン


道場主「すっかり静まり返っちまったな。さっきから顔色悪いぞ?」

女僧侶「いえ、何でもないですよ?」ニコ

道場主「そうか?」

女僧侶「それより女戦士さんを応援しないと!イテコマセや、コラー!」

道場主「柄悪っ!…会場静まり返ってるからすごい目立ってるぞ」

女僧侶「」


解説「それでは選手紹介!正直…棄権してほしい!それほど危険な相手です!頼むから無事でいてくれ女戦士選手ー!」

シーン

解説「ここまで会場をシーンとさせた張本人!圧倒的な力を持つ最強戦士!黒ずくめ選手!」

シーン

女戦士「…」キッ

黒ずくめ「…」

女戦士「絶対に許しませんから…」

黒ずくめ「ふん」


解説「それでは、試合開始!」


黒ずくめ「…」シュッ!

女戦士「!」スッ


解説「黒ずくめ選手の攻撃!それを女戦士選手よけたー!女戦士選手、打たれ強いだけじゃなかったー!」


黒ずくめ「…速く終わらせてあいつと戦いたいのだが」

女戦士「させませんよ。あなたはここで再起不能になるんですから」

黒ずくめ「…やってみろ」シュッ

女戦士「ぅ…」ドスッ

黒ずくめ「ふっ…」ニヤリ

女戦士「何笑ってるんですか?」ガシッ

黒ずくめ「な!?」

女戦士「はぁああ!」ドゴォ!


解説「これは…黒ずくめ選手の攻撃をわざと受けた女戦士が黒ずくめ選手をしっかり捕まえた後、とんでもない威力の右ストレートを顔面に叩き込んだ!黒ずくめ選手リングぎりぎりまで吹っ飛んだー!」


黒ずくめ「ぐ…お…」ヨロ

女戦士「…フード取れちゃいましたね。あ、正体をバラしちゃいけないんでしたっけ?ごめんなさい」


女武道家「超ドSモードじゃない…」

剣士「女戦士怖い女戦士怖い女戦士怖い…」ガクガクブルブル

女武道家「…」


解説「おーっと!黒ずくめ選手のフードが取れて、素顔が明らかにー!…あれは!?」

ザワザワ

アレッテ…


黒髪「あちゃ…こりゃ引き揚げかな…」


女僧侶「あいつは…」


緑石「あいつは…」

赤眼「ああ…戦中から今まで、200人は殺してる超A級賞金首だな」

緑石「やれやれ…休暇中なのに仕事か…」


黒ずくめ→賞金首「くそ…おのれぇ!」ボタボタ


解説「あ…あれは、戦争が終わってからも殺人を続けている、賞金首だー!み、みなさん落ち着いてください!」

ワー、キャー

逃ゲロー


赤眼「ち…観客の避難誘導が先だな…あいつはとりあえずあの戦士の姉ちゃんに任せよう!行くぞ!」ダッ

緑石「ああ」ダッ


蒼髪「総長達が動いた…手伝いに行くよ」ダッ

槍士「は、はい!」ダッ


町長「あ…ああ…武道大会がぶち壊しじゃあ!」オロオロ


賞金首「騒がしいな…黙らせるか…!?」ガッ

女戦士「まだ試合の途中ですけど?」キッ

賞金首「…殺す」

タァン

女戦士「!?」ボタボタ

賞金首「…どういう事だ?」

女戦士「ぐ…」バタ

黒髪「トンズラするぞー。お前のせいで大会も台無しだ。ほれ、乗りな」

賞金首「ちっ…」


解説「なんだこれはー!上空からは無数の飛行船!地面からは複数の魔物です!皆さん、ただちに逃げて下さい!」


女僧侶「女戦士さん!」ダッ

女戦士「うぅ…」ドクドク

女僧侶「回復魔法!」パァ

女戦士「…」スゥ

女僧侶「ほっ…」

賞金首「僧侶ぉおおお!」ドシーン


黒髪「…あのバカ…せっかく逃げようとしたのに飛び降りるかね…」


女僧侶「…お久しぶりですね。賞金首さん」ニコ

賞金首「…そんな笑顔できたんだな。戦争の時では想像もできなかったな」ニヤ

女僧侶「あなた、一人で活動してませんでした?なんですかこの騒ぎ…」

賞金首「今はクーデター軍にいる」

女僧侶「ク…え?」

賞金首「上を見てみろ。お前にとって懐かしい顔があるぞ」

女僧侶「!?」

黒髪「久しぶりー」ヒラヒラ

女僧侶「黒髪…!?」

黒髪「ちょっと時間ないからさ、また今度ゆっくり話そうぜ♪じゃ…」シュッ

賞金首「な!?こいつと戦わせろ!縄をほどけ!」ギュウッ

黒髪「はいはい、また今度ねー」

賞金首「まだ…あの時の借りを返してないぞ!くそ…僧侶!覚えていろ!お前は必ず殺す!」

黒髪「ばいばーい」

女僧侶「…何故。黒髪がまだクーデター軍に…」


魔物「ぐぉおお!」

赤眼「はぁ!」シュバッ

緑石「ふん!」バシュッ

赤眼「あらかた片付いたか?」

緑石「ああ…」


町長「黒髪!置いていくな!どうしたらいいんじゃ!」

蒼髪「町長様、お話を聞かせてもらいたいので一緒に来てもらいます」

町長「くそ…くそう…」


52

次の日、酒場

女戦士「見て下さい!優勝ですって!」

剣士「まあ、対戦相手が逃げたからな。おめでとう」

女武道家「…おめでと」

道場主「やったな!」ヒック

女戦士「賞金はありませんけど…」

蒼髪「クーデター軍が持って逃げてしまいましたから」

女戦士「蒼髪さん!?」

蒼髪「こんにちわ」

赤眼「酒臭ぇ…」

緑石「酒場だからな」

女戦士「わぁ。王国兵の隊長さん達ですよ!サイン下さい!サイン!」

槍士「では、私が…」

女戦士「結構です。誰ですか?あなた」

槍士「」

蒼髪「あはは。昨日のあんな事があったのにすごくリラックスしてる。みなさんも。強いですね」

赤眼「まあ、町長が捕まったのに大して動揺してないこの町の人間も中々だと思うけどな」

女戦士「まあ、平気じゃない人もいますけど…」

戦士「そういえば僧侶は?」

女戦士「ふさぎ込んでまだ宿で横になってます」

戦士「そうか…」

道場主「そういや、町長は何故捕まったんだ?」ヒック

緑石「簡単に言うとクーデター軍と繋がっていたからだ」

赤眼「町長は軍に金を、軍は町長に権力を…だ」

道場主「権力?」

赤眼「町長選びの時にライバルを暗殺したり、町長の意見に反対する者を暗殺したり…あの大会の開催にも軍が絡んでるな」

緑石「流石に怪しいから休暇のふりしてここまで来てみたのだ」

道場主「なるほどねぇ。しかしそうなると大会はどうなっちまうんだろうな」

蒼髪「それなら大丈夫です」

道場主「ん?」

蒼髪「今日酔いどれ爺さんのお孫さんをお見舞いに行ってきました」

赤眼「そしたら、あの大会のファンである孫のために、爺さんが毎年仕切って続けるってよ」

蒼髪「当然、規模は小さくなってしまうでしょうけど…」

道場主「そうか。はっはっは。規模が小さくなっても内の道場からはこれからも参加者を出して盛り上げるさ」

女武道家「私も出るわよ!次こそは負けないんだから!」

女戦士「私も…でようかな?」

緑石「規模が小さくなってしまっても大会のファンはこうして残るし、そういうやつらが盛り上げてまた大きな大会になっていくさ」

剣士「うむ」

槍士「私も、訓練のために出ようと思っています!」

蒼髪「僕も、あの中で戦うのは気持ちよかったからまた出たいな」

赤眼「おいおい、そんなに休みはやれねぇぞ」

緑石「何を言ってるんだ。毎日ふらふらして、休みみたいなものだろう」

赤眼「はぁ!?見回り!パトロールだろうが!」

槍士「隊長もいつも一緒にサボってますよね…」

緑石「俺はこいつがサボってないか監視しつつ仕事をしているのだ」

槍士「そうなんですか!流石隊長!いくつもの仕事を同時にするなんて!」

剣士「それはそうと、クーデター軍っていうのは15年前の戦争の時からいるあの軍だろう?」

赤眼「ああ、そうだ」

剣士「何故ずっと野放しにしてるんだ?国王を倒そうとしている連中だろう?」

緑石「…世間から見たらそこまで目立ってないのかもしれないが、やつらは大きく力をつけている。そう簡単に壊滅はできん」

蒼髪「そうですね…首謀者の黒髪があんなに堂々としているのに捕まえられないほどに…」ギリ

剣士「そういえば、何故魔物があんなに?しかもクーデター軍についてるようだったが」

赤眼「ああ。真相はわからんが魔物と手を組んだ…という噂がある」

緑石「というか関係のない一般人にここまで話していいのか?」

赤眼「いいだろ。あいつの仲間だし」

剣士「あいつ?」

赤眼「今日来たのは、あの女僧侶に話を聞きたくて来たんだ」

女戦士「僧侶さんに?」

緑石「ああ。賞金首が目をつけていて、黒髪とも知り合いだったようだからな。どういう関係なのか知りたくてな」

女戦士「あの…つかまったりしませんよね?」

赤眼「…話の内容によるな」

女戦士「…」

蒼髪「あはは。そんな怖い顔しないでくださいよ。大丈夫です、隊長の悪い冗談ですよ。彼女が何かしましたか?単純に情報をもらいたいだけです」

赤眼「…」テヘペロ

女戦士「…」ゴッ

赤眼「げほっ」

女戦士「思わず手が出てしまいました…」

赤眼「さすが蒼髪に勝っただけある…強…痛ぇ…」バタリ

女僧侶「…ここにいたんですか。みなさん。おはようございます」フワァ

緑石「もう昼だ」

女僧侶「…」

緑石「だらしがない。いい嫁にはなれんぞ」

女僧侶「誰ですか?このいけ好かねぇ野郎は」



53

女僧侶「なるほど、王国兵の隊長さんたちですか。何でこんな所に?」

緑石「少しお前に話を聞きたくてな。協力してくれ」

女僧侶「…」

女戦士「そ、僧侶さんっ」

蒼髪「ご協力願えませんか…?」

女僧侶「わかりました」ニコ

緑石「昨日のテロリスト共とはどういう関係だ?」

女僧侶「…」

蒼髪「昨日の賞金首達とお知り合いだったようですが、どういう語関係です?」

女僧侶「昔のちょっとした知り合いですね」

緑石「小さい事を根に持つと嫁姑関係を始めママ友や近所との関係もうまくいかんぞ」

女僧侶「その関係を作るための相手がいねぇんだよ!」バンッ

緑石「短気だからじゃないのか?」フゥ

女僧侶「表出やがれチクショウ!」

女戦士「そ、僧侶さん落ち着いて!」

蒼髪「緑石さん!赤眼さんの介抱をお願いします!話は俺が聞きますから!」

緑石「…わかった」チッ

女僧侶「いつかヤってやるからな…」チッ

蒼髪「それで、知り合い、というのは…」

女僧侶「10年前の戦争…私はあれに参加してました」

蒼髪「10年前…まだ子供じゃないですか…?」

女僧侶「御存知ありませんか?クーデター軍にあった、少年兵部隊…」

蒼髪「え…まさかそこにいたと…?」

女僧侶「そうですね」

蒼髪「紅鬼子…」

女僧侶「お詳しいんですね」ニコ

蒼髪「なのですか?」

女僧侶「そう呼ばれた事もあったような…」

道場主「紅鬼子って…王国兵を殺しまくったっていう…」

剣士「えっ。道理で強いわけだ…」

女僧侶「えっと、素手でしたし基本的には一人も殺してないと思いますが…その戦いが元で死んだ人が沢山いる、というならそうなるのかもしれません」

蒼髪「…」

女僧侶「…私、捕まってしまうのでしょうか」

蒼髪「いえ、クーデーター軍の多くはもう罪を償いましたし、少年兵部隊に関しては被害者でもありますし…それに捕まえていいかどうかの判断は俺達には決められません」

女僧侶「そうですか。で、彼らの関係ですね」

蒼髪「ええ。まあもう大体わかりましたが…」

女僧侶「黒髪は、想像の通り、その時の仲間です。まさかまたクーデター軍を作っているとは思いませんでした」

蒼髪「賞金首は…」

女僧侶「あの人は…戦争時は王国側にいましたね。そこで戦って決着がつかなかったので今も付け狙ってるのかもしれません」

蒼髪「王国側…?」

赤眼「ああ…王国は戦争時に、捕えた犯罪者も兵として戦わせていたからな…痛てて…」

女僧侶「戦争終了のドサクサに紛れて逃げたのでしょうね」

赤眼「王国兵がしっかり仕事してねぇってことだな。情けねぇ。まあ先輩がたの不始末だけどな」

緑石「年中サボってるやつが何を言う」

女武道家「ちょっと…戦争巻き起こしたやつがそんな簡単に許されるの…?クーデター軍だっけ?また再結成してるし…」

女僧侶「私はあの後捕まらずに逃げましたけど」ニコ

緑石「ちょっと署まで来てもらおうか」

赤眼「まあいいじゃねぇか。少年兵部隊だろ…あれは王国が悪ぃ…むやみに捕まえたら国の方が信頼を失うぜ。それに紅鬼子ちゃんは誰も殺してねぇんだしさ」

女僧侶「…立場的に言うのも何ですが。私達を無条件に許したから黒髪のようなのが出てきたのかもしれませんよ?」

赤眼「そうかもな。まあ少年兵部隊は許す。でも、少年兵部隊から出てきて、今後悪さをした奴は許さない。それでいいじゃねぇか。はっは」

女武道家「いい加減ね…」

緑石「面倒が嫌いな奴だからな」

女僧侶「いいのかしら…まあ今は僧侶として困った人を助ける贖罪の日々ですけど」

緑石「そうだな。過去を裁かれるよりもお前は未来を共に歩む伴侶を見つけるべきだと思うぞ」

女僧侶「…初めて人を殺すかもしれません」ゴキッゴキッ

赤眼「まあ、もう聞きたい事は聞けた。どうだ?捕まえはしないが、城に来ないか?」

女僧侶「…」

赤眼「王様が少年兵部隊の奴ら一人ひとりに謝りたいと言っているからな」

女僧侶「それは無理かもしれません…どういう理由であれ、私達の大切な人を殺したのはその王ですから」

赤眼「そうか。まあ無理は言えねぇな。王を襲われても困るしな」

女僧侶「すみません」

赤眼「これからどうすんだ?」

女僧侶「私はもともと、賢者という人物を探す旅に出てますから、その続きですね」

赤眼「賢者…わからねぇな。でも、城下町なら知ってるやつがいるかもな」

女僧侶「…」

赤眼「王に会え、とはいわねぇけど、城下町には来ねぇか?情報収集にいいぜ!」

女僧侶「…目的は?」

赤眼「んなもんねぇさ!強いて言うなら、これから俺達はその城下町に帰るんだけど、男ばかりで色が無ぇから!だな!はっは」

女僧侶「はぁ…わかりました。戦士さんはどうしますか?もう旅の目的である、剣士様に会えた訳ですが…」

女戦士「私は…」



54

剣士「待った。私は、まだ強くなる旅に集中したい。トラウマ克服にまで気を使う余裕は…無い」

女戦士「…」シュン

女僧侶「旅、手伝ってもらえますか?」

女戦士「はい!」

剣士「もう少し、待っていてくれ…すまない」

女戦士「うん!そのかわり、絶対帰ってきてね!」

女武道家「私も剣士君についてこーっと」

女戦士「ダメ!」

女武道家「私はトラウマの原因じゃないしー」イーッ

道場主「それは困るな。道場が大変になっちまう」

剣士「そうだな。それに修行の旅だから一人の方が集中できると思う」

女武道家「えぇ…」ガクッ

女戦士「…」ホッ

赤眼「じゃ、昼に出るか!」

女僧侶「はい」


剣士「それじゃあ…」

女戦士「剣士君、次会う時は一緒に連れてってね…!」

女武道家「また道場に寄りなさいよ!」

女僧侶「ではまた会いましょう」

道場主「皆、達者でな!がっはっは!」

道中、馬車内

女戦士「微妙に道ずれてるようですが、どこに向かっているんですか?」

赤眼「ああ、ちょっとだけ休暇が残ってるからな、少し寄り道だ。許せ」

女僧侶「あの、病気の人が待ってるんですけど…」

赤眼「はっは、少しは休むことも大事だぜ!それに死なないのなら大丈夫だって!」

蒼髪「それは…」

緑石「それはさすがにデリカシーが無いな…俺でもそれは言わない」

赤眼「え」

女僧侶「まあ、いいですよ」ニコ

赤眼「ふう」ホッ

槍士「あ、見えてきましたよ」

女戦士「…温泉?」

赤眼「おうっ」


温泉宿

女僧侶「結構広いですね」

赤眼「他に何もないからな。秘境宿として有名だ。100年以上営業してるんだぜ」

女戦士「すごっ!老舗ですねぇ」

蒼髪「温泉での景色も絶景なんですよ」

緑石「湯の効能も様々だ。肌にもいいから夫探しもはかどるかもしれんな。まあ、お前の問題はそれだけじゃないのだろうが」

女僧侶「…」

女戦士「あ、僧侶さんが、もう反論するのが嫌なほどに参ってる…」

赤眼「さ、入るぞー」ガラッ

温泉爺「だから、したって言っとるじゃろうがボケ!」

温泉婆「どっからどう見てもまだ汚れてんだろうが!盲目爺!」

女僧侶「」



55

赤眼「はっは。相変わらず元気だなぁ。爺さん婆さん」

温泉爺「おう、隊長様か。いつもの部屋でいいかのう」

温泉婆「おや?嫁さんも一緒かえ?」

赤眼「いや、ちょっと行先が一緒なんで行動を共にしてんだ。この子達はもちろん別の部屋にしてやってくれ」

温泉婆「ほっほ。わかりましたじゃ。ささ、こちらです」

女僧侶「は、はぁ…どうも」

女戦士「…初対面の衝撃からまだ戻ってこれないんですけど…」

女僧侶「大丈夫、私もです」

蒼髪「あの…ちょっと…」

女僧侶「?」


部屋

女僧侶「わぁ。いいお部屋」

女戦士「広いし気持ちいいですねー!」

女僧侶「本当にいい気分ですね。蒼髪さんからいいことも聞きましたし」ニコ

女戦士「うふふ」ニコ

温泉婆「どうぞおくつろぎ下さいませ」

女戦士「あの…どうしてあんな大ゲンカしてたんですか?」

温泉婆「ああ、いつもの事ですじゃ。爺とは仲が悪くてねぇ。ほっほ」

女僧侶「あれ?夫婦ですよね?」

温泉婆「そうですじゃ。何であんなロクデナシと結婚してしもうたのか…」

女戦士「もう少し仲良くしたほうが…」

温泉婆「…ほっほ。気を遣わせて申し訳ないですじゃ。それではごゆるりと…」

女戦士「いっちゃった…」

女僧侶「まあ、他人の問題に首を突っ込みすぎるのもよくないかもしれませんし、私達はお風呂を楽しみましょう」

女戦士「そうですね。ふふ。楽しみだなぁ。でも、さっきの蒼髪さんのお話…」

女僧侶「そちらも楽しみですね。スカッとしましょ」ニコ


男達

赤眼「ふんふふ~ん」

蒼髪「機嫌いいですね?」

緑石「まったく…スケベめ」サッサッ

槍士「そういいながら隊長もノリノリで風呂の支度してますね」

蒼髪「…やめたほうが」

赤眼「んだよ、お前男か?露店風呂って言ったらこれをしないと女性に失礼だろ」

蒼髪「…」

緑石「さ、支度できたぞ」

蒼髪「あの…俺はあそこのマッサージ機を使ってから行きます」

赤眼「おう。じゃあ先行くぜー。天国へ!」ダッ

槍士「あ、総長待って!」ダッ

緑石「抜け駆けは許さん!」ダッ

蒼髪「…まったく」ハァ



56

露天風呂

女戦士「わぁ。すごく綺麗な景色~!」

女僧侶「いいお湯ですね…疲れがとれます。名湯です」

女戦士「なぁに落ち着いちゃってるんですかぁ!それー!」バシャッ

女僧侶「きゃっ…はしゃいがないの!」バシャッ

女戦士「きゃっ!僧侶さんもはしゃいでるじゃないですかぁ!」

キャッキャッ

赤眼「さて、天国はこの仕切りの隣にあるわけだが」

緑石「相変わらずいい景色だぞ」

赤眼「景色に夢中になってんじゃねぇよ」

槍士「総長!本当にやるんですね!」

赤眼「ああ…今までで一番危険な任務かもしれない…だが男にはやらなければならない時がある!それが今だ!行くぞ!」

槍士「隊長も行きましょう!」

緑石「ああ、景色を楽しんでからな。お前達は先に楽しんで来い。今日は無礼講だ。日々頑張っている部下に先に楽しみを譲ろう」

槍士「隊長…」ジーン

赤眼「何してんだ!行くぞ!男達の夢を乗せて!うをぉおおお!」

槍士「隊長の想いをしっかり受け取りました!いざ行かん!うをぉおおお!」

ソローリ

赤眼「おぉ…これが天国…あれ?真っ白?」

槍士「あぁ…あわわわわ…」ガチガチ

女僧侶「犯罪を取り締まる警察が犯罪行為を犯すとは、笑い話にもなんねぇなぁ」ボキボキ

赤眼「な…」

女戦士「蒼髪さんの言った事は本当でしたね…最低」

槍士「蒼髪隊長…」

女僧侶「お前等がの覗きの手口も婆さんに聞いてたからなぁ。待ち伏せも楽だったぜ。婆さんもお前達の覗き行為には困ってるらしいからなぁ。懲らしめてやってくれってよ」バキボキ

赤眼「…」ボーゼン

槍士「総長…まずいです…完全アウェーでした!」

赤眼「そんな事はどうでもいい!何故風呂でタオルを巻いてるんだ!ルール違反だろう!」

槍士「え…そ、そうだそうだ!」

女戦士「それは…」

女僧侶「お前達害虫に見せる裸は無ぇって事だ!」バキィ

赤眼「おぐ!…ぅふ」バタリ

槍士「ごはぁ…」バタッ

女僧侶「よし。害虫駆除は終わった。お風呂を楽しみましょう」ニコ

女戦士「はい!」

キャッキャ

緑石「ふう。そろそろ赤眼達の所へ行くか。心揺さぶられるいい景色だった」

赤眼「…」プカー

槍士「…」プカー

緑石「何だ?もう終わったのか?新しい遊びか?」

赤眼「」

オイッ、敵カ?起キロ!クッ…部屋ニ戻ルゾ!重ッ

女戦士「ふう…気持ちいいですねー」

女僧侶「しかし広いお風呂ですねぇ。あっちの方に行ってみましょう」

女戦士「はい!あ、人影が。私達以外にもお客さんいたんですねぇ。こんにちわ!いいお湯ですね!」

金髪「そうですね」クルッ

女僧侶「男!?」

ギャー!


部屋

蒼髪「はぁ…ここのマッサージ機は本当に気持ちいいなぁ」



57

リビング

金髪「痛たた…急に殴るなんて酷いですねぇ」

女僧侶「ごめんなさい、日中は混浴だなんて知らなくて…」

金髪「いえいえ。タオルを巻いていたとはいえ、半裸を見られた女性の気持ちを察するとこれ位」

女戦士「あれ?じゃあ隣の男湯は?」

金髪「隣はこの時間清掃中です。あの人達は良く来るから、知ってて入ったんでしょう」

女僧侶「…なら覗かなくても混浴で入ればよかったんじゃ…」

金髪「いつも、覗きはロマンだ!って言ってるのを聞くのでそういう狙いなんじゃないかと」

女戦士「本当に最低…」

金髪「ところでお二人はどうしてあの人達とここへ?兵士様ではないようですが」

女僧侶「賢者、という人を探して旅をしているのです。その道中一時的に行動を共にする事になったので」

金髪「なるほど。賢者…わかりませんね」

女戦士「あなたは?」

金髪「私はここの経営者の孫です。そのうちに、旅に出る予定ですが」

女僧侶「え、ここの人だったんですね」

女戦士「旅…ですか?ここを継がないんですか?」

金髪「ここはもうすぐなくなりますから…」

女僧侶「えぇ!?無くなっちゃうんですか?名湯なのに、もったいない」

金髪「おじい様は意地でも続けるつもりですが、おばあ様は反対でして…僕の親…息子達が町へ行ってしまったようにこの辺境から引っ越そうって、いつも喧嘩しています」

女戦士「あなたは何故ここに残ったのです?」

金髪「一応、ここで育ったし、温泉も好きなので…最後までいたいな…と」

女戦士「もう無くなるのは確定なんですか?」

金髪「温泉宿の売却の話も裏で進んでますし、それが進んでないとしても、最近おじい様の体調も良くないので…」

女僧侶「そうですか…」

女戦士「ここが終わったらあなたはどうするんですか?両親の元へ?」

金髪「私は詩人なので…憧れのスターを超えるために歌いながら放浪しようかと」

女戦士「スターですかぁ。あの人、すごい人気ですもんねぇ」

温泉爺「貴様!勝手に売却の話を進めおって!」

温泉婆「あんたのためを思ってやってるんだろうが!病院の近くに引っ越せば少しは長生きできるって、何故わからん!」

温泉爺「長生きぃ!?知るか!若い頃の約束を忘れたのか!二人でこの宿を死ぬまでやろうと…」

金髪→詩人「ああ…また喧嘩を…おじい様、おばあ様…お客の前ですよ!」

温泉婆「詩人!この爺がまた勝手なことを…」

温泉爺「勝手なことを言ってるのは貴様の方じゃ!」

女戦士「何か…喧嘩の内容を聞いてるとうらやましい位にお互いの事を想いあってますね」

女僧侶「何故こんな所に来て老人の痴話げんかを見せられなくちゃいけないんですかね」

温泉爺「わしは絶対にこの宿を手放さんし離れんぞ!大体…ごほっごほ…」バタ

温泉婆「な、爺!」

詩人「おじい様!」



58

女僧侶「おじい様は大丈夫でしたか?」

詩人「…はい。今は落ち着いて、お医者様に診てもらっています。」

女戦士「よかったぁ…」ホッ

資産家「こんにちわ」

詩人「…こんにちわ」

資産家「ああ、おばあ様、あのお値段で決めていただけましたか?」スタスタ

温泉婆「…ふん。あんな安値で売れるかい」

資産家「そんな…町で家5軒は建てられる破格の値段なのに…」

赤眼「あれ?あいつ…」

緑石「…」

女僧侶「こんにちわ、害虫共」ニコ

蒼髪「先ほどは総長達がすみませんでした」ペコリ

赤眼「お前、本当にずりぃ…」

女戦士「あの人の事知ってるんですか?」

赤眼「ああ…手口が巧妙で、まだしっぽをつかめてないが、脱税や殺人等、きな臭い噂の多い野郎だ」

緑石「裏とのつながりも噂されてるな。クーデター軍とか」

女僧侶「!」

医者「すぐに来て下さい!」

温泉婆「!」


温泉爺の部屋

温泉爺「…」

温泉婆「そんな…そんな…爺…」グスッ

詩人「おじい様…」グスッ

医者「救えなくて、すみませんでした…」

詩人「いえ、遠いのにすぐに駆けつけてくれてありがとうございました」

赤眼「爺さん、そんなに悪かったのかよ…」

緑石「…」ゴシ

蒼髪「くっ…」

資産家「ああ、残念です…でもこれで反対する人はいませんね!さあ、サインしましょう、サイン!」

槍士「貴様…この場でする事か!」

資産家「あら、普段から仕事をしていない、役立たずの兵士様達じゃないですか。今日もサボりですかぁ?今私は大切な仕事中なので邪魔をするな」ギロ

槍士「うっ」

緑石「うろたえるな。みっともない」

赤眼「ところでお医者さん、爺さんの薬ってこれであってるのか?」

医者「…貸して下さい。…な!これは私が処方したものではない!」

資産家「…」

蒼髪「お爺さんは最近、もっと良く効く薬を売人から買っているという話をしてくれました」

赤眼「その売人が、お前と同じバッジをつけてたって言ってたんだが」ギロ

資産家「…何の事でしょうか。うちのバッジをつけていたという事は、私の持っている会社のひとつの社員なのかもしれませんが私には身に覚えがありません。ああ、そんないい加減な事をする社員がいるなんて…調べて対処をしなくては」

赤眼「…もし貴様の差し金だとしたら、許さんぞ」ギロ

資産家「だから、身に覚えがありませんって」ニコ

温泉婆「…宿は売らん。帰れ」

資産家「は?」

温泉婆「爺さんを病院の近くに住ませたかったからここを手放そうとしていただけじゃ。死んじまったなら、私は爺さんとの約束を全うしなくちゃならん」

詩人「おばあさま…」

資産家「そんな…。わかりました…」フラッ

温泉婆「爺さん…うっうっ…」

資産家「ブツブツブツブツ…」フラフラ



59

次の日

女僧侶「それでは、お葬式まで居たかったですけど、先を急ぎますので…お世話になりました」

温泉婆「ああ。ありがとうよ。赤眼ちゃんたちも、また来てくれ」

赤眼「ああ。墓はここに建てるんだろ?次は墓参りに来るぜ」

温泉婆「ああ。ずっと、息子のようにかわいがってきたあんた達が来てくれたら、爺もきっと喜ぶよ。」

詩人「あの…最後に旅のエールの歌を歌わせてください。」

女僧侶「詩人さんの歌…そういえば聞いてませんでしたね」

女戦士「聞きたいです!」

詩人「では…~♪~♪」

女戦士「綺麗な歌声…」

女僧侶「素晴らしいですね」

詩人「ありがとうございました。皆さん、頑張って下さい」

赤眼「あんたもな!いい詩人になるぜ」

緑石「さて、行くぞ」

蒼髪「…」ペコリ

赤眼「さ、馬車に乗れー」


詩人「赤眼さんたちはもちろん、みなさんいい人達でした」

温泉婆「最後にあの子達が来てくれて、爺もうれしかったろうね」

詩人「おばあ様、おじい様に渡されていた手紙があるんですけど…おじい様が死んだら渡してくれって」

温泉婆「手紙?気色悪いね…」

詩人「僕も中身は見てないのですが…」

温泉婆「…どれどれ」


おい婆、最近喧嘩ばかりじゃが、最初の頃はラブラブじゃったの。

覚えてるか?温泉宿を始めたばかりの頃の約束を。

辺境の地にまで来てくれる客を幸せにできるような、立派な宿にしよう。

二人の大切な第二の息子にしよう。

わしはそれを全うする。

愛するお前との約束じゃからな。

じゃが、わしが死んだら二人の約束じゃなくなるのう。

お前はこの宿を売って、町に引っ越せ。

一人でここで暮らすのは無理じゃろう。

わしの願いも、お前と同じ、この宿よりもお前の健康、幸せじゃ。

いいか、手紙でしか言わんから良く見ておけ。

出会ってからずっと、愛している。

これまで二人で一緒に幸せを作っていってくれて、ありがとう。


温泉婆「おぉ…あぁあああ…」ボロボロ

詩人「おばあ様…」オロオロ

ドーン

詩人「!?」

メラメラ

詩人「おばあ様!火事です!逃げましょう!」グイッ

温泉婆「…」

詩人「くそっ…何で…」ダッ


赤眼「おいっ!馬子、戻ってくれ!宿が火事だ!」

緑石「なっ!?」

蒼髪「…」バッ…スタ

女戦士「私も…行きます!」バッ…スタ

女僧侶「…」



60

資産家「あはは。手に入らないなら、一度壊しちゃって追い出してからもらうもんね。宿でカモフラージュしてた方が都合はよかったんだけど…」

黒髪「いい感じに狂ってるねー。失敗したのか?」

資産家「ああ…でもまああんたらのために土地は確保できそうだから、またあそこに何か施設を建ててカモフラージュしながら、作るよ」

黒髪「サンキュ。あそこ、周りに人いないからいけない薬作るのにいいんだよねー」

資産家「…ああ、早く燃え尽きないかなぁ。あはは」

黒髪「…壊れてるやつを見ると、心からこうはなりたくないって思うわ…まあ、魔物は貸してやったからあんたに足はつかないだろうし、後はうまくやってね。バーイ」スッ

資産家「あはは。燃えろ~燃えろ~」


詩人「脱出できた…おばあ様!無事ですか?」

温泉婆「宿が…爺さんが…そうだ!爺さんの遺体が…爺さん!」ダッ

詩人「ダメです!」ダッ

炎の魔物「お、人間」バキィ

詩人「ぐあ!」

炎の魔物「お前も燃やしてやるぜぇ」

詩人「おばあ様ー!」


女僧侶「急ぎましょう…」ダッ

赤眼「ああ…」

緑石「もうすぐ着くぞ。急げ」

槍士「速…」


詩人「くっ…どけ!」

炎の魔物「あ?燃えろ」ボッ

詩人「~♪」

炎の魔物「炎が消えた!?なら、普通に殴ってやる」バキッ

詩人「ぐあ!」

炎の魔物「さ、とどめを…」

女戦士「はぁあああ!」ドゴォ!

蒼髪「はぁ!」バキィ

炎の魔物「ぎゃぁ!」バシュ

女戦士「詩人さん!大丈夫ですか!」

詩人「僕は大丈夫です!それよりもおばあ様が中に…」

蒼髪「あ!あの炎の中では…」

女僧侶「はぁああ!特大風魔法!」バシュン

赤眼「な!炎を切り裂いて…」

女僧侶「助けてきます!」ダッ

詩人「うぅ…これは…おじい様の手紙…」クシャ


女僧侶「…」ザッザッ

詩人「そんな…」

温泉婆「」

温泉爺「」

女僧侶「私が着いたときにはもう…回復魔法も効きませんでした。二人手をつないで…」

女戦士「こんなの…ひどいよ!」グスッ

赤眼「くそっ!」

蒼髪「…見たことの無い魔物でした。雰囲気が闘技場に出てきた魔物に似てましたね」

緑石「…クーデター軍に関係があるのか」

女僧侶「…二人はここに埋めましょう。皆で」

詩人「宿も全焼してしまいましたし、せめて二人がいた痕跡をここに残したいです」

赤眼「ああ…そうだな。この土地にアホ共がちょっかいを出せないよう、きちんと俺達が守るぜ。兵団にも伝書鳩で調査依頼だしたからな」

詩人「おじい様、おばあ様…うわぁああああああ!」ギュッ

女僧侶「…」


二人の墓前

女僧侶「そのお手紙も埋めるんですか?」

詩人「いえ。これは両親に渡します」

女僧侶「そうですか」

詩人「お願いです!両親は城下町にいます。そこまで一緒に連れて行ってくれませんか?」

赤眼「俺達はいいが…」

女僧侶「もちろんです」ニコ

詩人「よろしくお願いします…」


おじい様、おばあ様、行ってきます。守れなくてごめんなさい。せめて二人の気持ちを、必ず両親に伝えます



続く

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