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11~20

続きです!

屈強な女戦士に背骨折りされたり、少年君とけんかしたり、神父様にいじめられる女僧侶をご覧ください

11

村の婆さん「僧侶ちゃんはおらんかね」

神父「こんばんわ、おばあさん。僧侶なら今修行のため10時間耐久徹夜でお祈りパーティに参加していますよ」

村の婆さん「ぱーちーかい、ちょっと相談事があったのじゃが、若い子のお楽しみを邪魔しちゃいかんのう」

神父「相談事?」

村の婆さん「ああ、隣村におる娘夫婦にうちで取れたみかんを毎年送ってるんじゃ」

神父「はい」

村の婆さん「今年も沢山とれたから送ってやろうと思ったのじゃが、しばらく運送屋が来ないらしくてのう」

神父「そういえば、お城の方での仕事が忙しくて、しばらくこちらには来れないって言っていましたね」

村の婆さん「わし等年寄にはつらいが、そこまで離れてないから若い僧侶ちゃんにで頼もうかと思ったのじゃが、出直す事にしようかのう」

神父「いえ、すぐに行かせましょう。みかんが腐ってしまいます」

村の婆さん「でものう…ぱーちーに出てるのなら邪魔したくないしのう」

神父「いえ…隣の村まで歩いて行かせるのも、あの子にとってはパーチーと同じくらいの罰…いや、楽しみになりますから」

村の婆さん「そうかのう…まあ、隣とはいえそんなに行くこともないじゃろうから観光がてら行くのもいいんじゃないかのう」

神父「ふふ。では、伝えてまいります」


礼拝堂

女僧侶「アーメンソーメン…ああ…ソーメン食べたい…」

神父「」

女僧侶「!?」

神父「5時間追加」

女僧侶「そんな!?」

神父「もしくは、パーティを中止して違う罰を受け入れるか」

女僧侶「中止でお願いします」

神父「ではお婆さんどうぞ」

村の婆さん「ここでぱーちーかい?しかも一人で…変わったぱーちーじゃのう」

女僧侶「そ、その前にご飯を…」

神父「ダメ。はい、説明します」


説明終わり

神父「今すぐお行きなさい」

女僧侶「悪魔ですか!?」

神父「罰だということを忘れてませんか?」

女僧侶「罰とはいえ…こんなか弱い女性を夜道に出すなんて…」

神父「ああ、さすがに歩きは大変なので馬子さんにお手伝いしてもらいますから大丈夫ですよ」

女僧侶「あんなおっさんと二人きりで旅だなんて!?聖女の清純が…貞操が…」

神父「胸無いから大丈夫ですよ」

女僧侶「んだとコラ」

神父「一刻も早くいかないとお婆さんの真心籠ったみかんが腐ってしまいます。早くお行きなさい」

女僧侶「というか馬子さんだけでいけばいいのに…」

神父「モンスターが来たらどうするんですか」

女僧侶「あの…私僧侶なんですけど…か弱いか弱い支援系…」

神父「力瘤作ってみなさい」

女僧侶「…」ムキ

神父「何か言うことは?」

女僧侶「行ってまいります」

神父「気を付けていくのですよ」

村の婆さん「頼んだよ~」


馬子の家の前

女僧侶「まったく…何故私がこんな事を…早く寝ないとお肌が荒れちゃうのに…馬子さーん」コンコン

馬子「おお、僧侶ちゃん待ってたぜい。馬車まで案内するから待っててくれな!」

女僧侶「酒臭っ」

馬子「がっはっは!さっきまで酩酊してたけど女房にたたき起こされちまったよ!」

女僧侶「あの…馬車の運転大丈夫ですか?」

馬子「あったりめーよ!」フラフラ

女僧侶「事故って死ぬかもしれませんね…」



12

女僧侶「ぎゃー!速すぎ!悪路すぎ!蛇行しすぎ!」

馬子「うぃー、酔いさましにちょうどいいぜぇ」

女僧侶「大体何故屋根無いんですか!」

馬子「景色を楽しむためだぜ」

女僧侶「この馬車は観光サービスではなく、安全に荷物を運ぶためのもののはずです!」

馬子「仕方ねぇさぁ。本来村の中だけで仕事してたんだぜぇ?村の外に出る事なんざ考えてなかったからよぉ」

女僧侶「わかりましたから!せめてスピード落としましょう!」

馬子「みかんがくさっちまうぜぇ」グビー

女僧侶「酒飲むんじゃねぇ!」

馬子「はっはっは。嬢ちゃん元気だねぇ」グビー

女僧侶「聞いてんのかこの飲酒運転親父!」

馬子「はっはっは。酔いなら醒ますさ、この移動でなぁ!」グビー

女僧侶「酒を飲むな!スピードアップするな!ぎゃー!」


森の中

女僧侶「何故わざわざ森の中に…スピードが落ちたのはいいのですが」

馬子「はっはっは。真っ平な景色ばかりじゃつまらねぇだろ?」

女僧侶「遠回りしてまで求める事ですか」

馬子「ああ。乗客には満足してもらわねぇとな」

女僧侶「この馬車運送用…というかみかん腐るんじゃなかったんですか?」

馬子「んな、腐るほどちんたらはしらねぇよ」

女僧侶「ああ…だめです。突っ込むところだらけで追いつけません。夜だから景色も何もないし…さっきから葉っぱが顔面にパシンパシン当たって気分悪いし…」パシンパシン

馬子「まあ、この森すぐ終わるからよ、ちょっとした気分転換に…ん?」

女僧侶「どうしました?」

馬子「いや、さっきから馬車の横のしげみがガサガサって…」

女僧侶「ほらもう言わんこっちゃない…モンスターに追いかけられてるんですよ。夜だし…」

馬子「まあ、つかまりはしないだろう。このまま行くぜ」

女僧侶「はやく森抜けないかな…」


森の外

女僧侶「やっと森抜けました…」

馬子「よかったな」ダラダラ

女僧侶「どうしました?」

馬子「ああ、酔いも醒めるような事が起こってな」

女僧侶「ほう。それはよかった。命を失う確率が少し減りましたか」

馬子「いや、むしろ上がったんじゃねぇかな?ちょっと横見てみろよ」

女僧侶「いやです。私だってバカじゃないんです。森を抜けてからずっと併走してる何かの鳴き声の主をあえて目に入れないようにしてるんですから」

馬子「そうか。まあ見ないなら見ないでいいが、言っておくぞ。虎が併走してる」

女僧侶「言うんじゃねぇよ。もう見ます…」チラ

虎「ガルル」

女僧侶「でかっ!」

馬子「みかんやったらどっか行くかな」

女僧侶「みかんなくしたら何のために夜の平原を走ってるんですか!」

馬子「でもこれ…」

虎「がるるるる」

女僧侶「でも変ですね…襲ってこない?」

馬子「…なんだかわかんねぇけど、チャンスだな!一気に離そう!」

女僧侶「ぎゃー!またスピードアップゥ!?」

虎「がるるる」

女僧侶「しかも離せてない!ついてきてる!」

馬子「もうすぐ村だ!村の明かりをみたら虎も逃げるだろう!」

女僧侶「そ、そうですね!最近のモンスターは人間のいる所にまで入ってこないですし!あ、見えてきましたよ!早く入りましょう!」

馬子「無理かも」

女僧侶「はぁ!?」

馬子「いや、車輪外れた」

女僧侶「さすが村の中の運送用馬車…」

馬子「かあちゃん…こんなろくでなしでごめんなぁ…」

女僧侶「ああ…こんなところで死ぬような悪事は働いてないはずなのにぃ!」

馬子「…変だな。ちっとも襲ってこねぇ」

虎「がるる」サッ

女僧侶「え…前足を伸ばしてる…?」

虎「がる…」

女僧侶「はぁ…」スッ

馬子「お、おい!危ぇぞ!」

虎「ぐるる…」

女僧侶「まさか虎と握手するなんて」

虎「がる」ニヤ

女僧侶「なんて言ってるかわかる…気がします。『いい勝負だったぜ、またしような』」

馬子「んなバカな」

虎「グルル」ノッソノッソ

女僧侶「『さ、帰るか。あ、そこの馬子、今度女僧侶を危ない目に合わせたら食うぞ』」

馬子「最後のは嘘だろう。というか全部適当だろ」

女僧侶「まあ…」

馬子「はぁ…命拾いしたなぁ…酔いも醒めちまったぜ」

女僧侶「村のすぐ前でよかったですね…」

馬子「ああ。ちょっとだけ引っ張るの手伝ってくれ。そしたら村で直せるぜ」

女僧侶「何故神職に就いている私がこんな事を…」ズルズル

馬子「あれ?こんなにこの馬車軽かたっけ?」ズルズル

馬「ひひ~ん」



13

隣の村

女僧侶「こんにちわー」

婆さんの娘「あら、どなたかしら?」

女僧侶「隣の村から来ました。お婆ちゃんからの頼みでみかんをお届けにまいりました」

婆さんの娘「まあ、ありがとう。沢山あるわねぇ」

女僧侶「うふふ。お婆ちゃん、一生懸命作ってたからきっとおいしいですよ」

婆さんの娘「そうね。毎年とってもおいしいから。それはそうと僧侶様…一つ頼みg…」

女僧侶「あ、そろそろいかないと馬子さんに置いてかれてしまいますわ。ではごきげんよう」ソソクサ

婆さんの娘「あら、忙しいのねぇ」

女僧侶「(あぶねぇ…こんな離れた村でまで、面倒事はごめんだぜ)」


馬車

女僧侶「直りましたか?」

馬子「いや。つーか部品が明日にならないと来ないらしい。明日まではできることがないぜ」

女僧侶「え」

馬子「まあ、観光がてらゆっくりしてこうぜ」

女僧侶「…」

馬子「俺は酒場にでも行くぜ。ふんふふーん」

女僧侶「…適当にぶらぶらしましょう」


村の中央

女僧侶「何もねぇ…」

婆さんの娘「あら、僧侶様、隣の村へ帰ったのでは?」

女僧侶「(げ)」

婆さんの娘「さっき急いでいたから…」

女僧侶「あ…ああ、ちょっと馬子さんがお腹を下していまして…回復を待っているのです」

婆さんの娘「あらそうなの…ではまだこの村にいるということよね」

女僧侶「そうなりますね…」

婆さんの娘「近所の女の子がふさぎ込んじゃって家から出てこないの」

女僧侶「(間髪入れずに相談事を語り始めやがった)」

婆さんの娘「よかったらお話だけでも聞いてあげてもらえないかしらねぇ」

女僧侶「…わかりました。困ってる人に救いの手を差し伸べるのが神の使徒である私達の役目ですから」ニコ

婆さんの娘「悪いわねぇ。その子の家はすぐそこだから案内するわね」

女僧侶「はい(まあ、話聞くだけなら面倒ではないか…)」

婆さんの娘「ほら、着いた。ごめんくださーい」

女の子の母「はい…あらこんにちわ」

婆さんの娘「こんにちわ。こちらの僧侶様が娘ちゃんの話を聞いて下さるそうなのよ」

女の子の母「あら、ありがとうございます!うちの子…ある日から部屋から出てこなくなってしまって…」

女僧侶「そうなのですか…」

女の子の母「それでは案内します。こちらです…」

婆さんの娘「私は帰るわねぇ。それでは僧侶様、お願いします」

女僧侶「(帰るのかよ)はい」ニコ

女の子の母「娘ー。開けるわよー。僧侶様、ではどうぞ」キィ

女僧侶「はい…」

娘「グス…」

女僧侶「たくましそうな娘さんですね…」バタン

女の子の母「そうなの…腕っぷしだって男の子に負けない位強いのに、何故あんなにふさぎ込んでしまったのか…」

女僧侶「私、怒らせて殴り殺されたりしないでしょうか」

女の子の母「ほほほ…僧侶様でも冗談を言うのですね。ではお願いします」キィ

女僧侶「いや、本気で…」

娘「ヒック」

女僧侶「(大丈夫かな…)」



14

女僧侶「あのー」

女の子「…」グス

女僧侶「どうして泣いているのですか?」

女の子「…」

女僧侶「お家の人も心配してますよ?」

女の子「…」グス

女僧侶「私は聖職者です。神の代わりにあなたの悩みをお聞きしましょう」

女の子「…」グス

女僧侶「…」イラ

女の子「…」グス

女僧侶「えーい!何をいつまでもうじうじと!あなたと同じ村出身で、あなたよりも弱くてヘタレな奴ですらイジメから立ち直って旅立ちましたよ!そんな大きい体で情けなくないのですか!」

女の子「!」ガタ

女僧侶「立…った?」ハァハァ

女の子「…」ズイッ

女僧侶「!(しまった、体格差を忘れていました…刺激しすぎたか!殺される!)」

女の子「その人って!剣士君ですか!?」ズイッ

女僧侶「え…え?はい…」

女の子「うわーん!」

女僧侶「せっかく泣き止んだのに!」


10分後

女僧侶「落ち着きましたか…?」

女の子「はい」ズイッ

女僧侶「!」ビクッ

女の子「ごめんなさい…剣士君は今どこにいるんですか!?」

女僧侶「その前にあなたの話を聞かせて下さい。剣士様との関係、どうしてこういう状況なのか」

女の子「剣士君とは幼馴染なのです…」

女僧侶「そうなのですか」

女の子「私は戦士を目指していたのですが、剣士君も同じ道を目指すと言い…」

女僧侶「…」

女の子→女戦士「私は彼の事を守りたい、と思っていたので、危ない事をさせないために彼がどれだけ弱いか、毎日教えてあげていました」

女僧侶「…」

女戦士「そうしたら、彼も意地になって歯向ってきて…ある日、『どうしても剣士になるんだ』って…」

女僧侶「それで?」

女戦士「それを聞いて、気持ちをポッキリ折るためにいつもよりもボコボコに…そしてその時初めて、『なれるわけないじゃない、あきらめなさい』と…」

女僧侶「なるほど…彼を『いじめてた』のはあなただったのですか」

女戦士「彼がそう言ってたのですか…?…そうでしょうね…」

女僧侶「夢を見るのは自由です。いくらあなたが彼を好きで、危ない事をさせたくないからといっ…ぶぼ!」ゴッ

女戦士「だ…誰が好きって…」バンバン

女僧侶「(予想と違うきっかけで危険が襲ってきました…)」ゴホゴホ

女戦士「ご、ごめんなさい!私、昔から力が強くって…」

女僧侶「いえ…でもそうですね…彼も男の子だし、あなたに守られるよりも守りたかったのではないでしょうか」

女戦士「そ…そんな」カァッ

女僧侶「彼は、挫折を乗り越えて剣士への道を歩むためにさらに旅を続けています。あなたは前進する彼の話を聞いてそこでメソメソし続けるのですか?」

女戦士「まさか。でも、今さら守られるために弱くもなれないし…」イヤンイヤン

女僧侶「…」

女戦士「僧侶様、ありがとうございます。私、彼を待ちます!」

女僧侶「…」

女戦士「彼が返ってきたときに、この村が旅立つ前と同じ平和な村で迎えられるように、私がこの村を守りながら…!」

女僧侶「…はい」ニコ

女戦士「隣の村での彼のお話、聞かせて下さい!」ワクワク

女僧侶「いいですよ」ニコ

女戦士「泊まって行って下さいね!」

女僧侶「え?いいのですか?」

女戦士「もちろんです!おかーさーん!」

女戦士の母「!?女戦士ちゃん、泣き止んだの!?」

女戦士「うん…5日間もごめんね…!もう、大丈夫だから!」

女戦士の母「うん…うん」グス


次の日

女戦士「僧侶様!ありがとうございました!とっても楽しかったです!」

女僧侶「いえ、元気になってよかったです」ニコ

女戦士「帰り道も気を付けてください!また遊びに来てくださいね!」

女僧侶「戦士様も村を平和に…守って下さいね」ニコ

女戦士「…はい!」


馬車

馬子「うぃー」ヒック

女僧侶「おい酔っ払い」

馬子「おう、帰ったかー。朝帰りかー?」ケラケラ

女僧侶「馬車は直りましたか?ろくでなし」ニコ

馬子「おう、ばっちりだぜ!こっちでしか飲めねー酒も飲めたし大満足だ!帰るか!」

女僧侶「そうですね…何もない村でしたが…とても満足しました。帰りましょう」ニコ


帰り道

女僧侶「だから何でそんな危険な道ばかり選ぶのですかぁああああ!死ぬー!」

馬子「酔いさましだぜぇ!ひゃぁっはー!」

女僧侶「絶対に村に帰ったらころ…ぎゃー!」


女僧侶の村

少年「あれ?おねえちゃん昨日もいなかったね?」

神父「今、隣の村まで用事を済ませに行ってますよ?」

少年「えー!俺をおいて面白そうなことを!」

神父「ふふふ。仕方ないですよ。帰ってきたら遊んでもらいなさい」

少年「…ふーんだ」



15

女僧侶「うーん」

神父「どうしたのですか?」

女僧侶「最近何か物足りないのですよねぇ」

神父「ふむ」

女僧侶「いや、仕事がスムーズに進むのでいいのですが…」

神父「なるほど。では今手が止まっていたのは考え事をしていたからなのですね?」

女僧侶「いえ、今は私が定めた休憩時間なので」

神父「…ちなみに何時まで?」

女僧侶「神父様に見つかりそうになるまでって、思ってたんですけどねぇ…」

神父「なるほど。礼拝堂の清掃追加」

女僧侶「!?」

神父「どうしました?早くお行きなさい」

女僧侶「はい!」

神父「駆け足!」

女僧侶「はい!」

神父「まったく…」

村の婆さん「最近僧侶ちゃんの元気がないのぅ」

神父「そうですか?いつも通りだと思うのですが」

村の婆さん「うーむ。何かいつものような賑やかさが見えないんじゃ。あれを見てわし等は元気をもらってるのじゃが」

神父「…」


礼拝堂

女僧侶「…あの人は神の懐に潜り込んでいる悪魔のスパイですね。本当に…」サッサー

女僧侶「…」サッサッサ

女僧侶「…はぁ」


三時間後

女僧侶「はぁ…」

神父「ため息ばかりついてますね」

女僧侶「はっ!すみません…」

神父「あなたに元気が無いと村の人達まで沈み込んでしまいます」

女僧侶「はぁ…あ、これはため息じゃないですよ?返事です」

神父「何とかしなさい」

女僧侶「え」

神父「何とかして元気になりなさい」

女僧侶「えぇ…」

神父「少年君の所にでもいけば元気出るんじゃないですか?もうお掃除はいいので行ってみなさい」

女僧侶「そういえば、少年君がちょっかいを出してきませんね…だから物足りなさを感じているのかも…」

神父「さっさとお行きなさい」

女僧侶「そういわれましても、私彼の家に行ったこともありませんし…」

神父「この際だから親交を深めてきなさい。あなた、彼の事を何もしらないでしょう。家だって、小さい村ですしすぐに見つかるでしょう」

女僧侶「はぁ…わかりました。行ってきますね」

神父「お気をつけて」

女僧侶「(掃除サボれるぜ、イエー!)」ピョン

村の婆さん「おお、今日は女僧侶ちゃん元気じゃのう。ほっほっほ」

神父「…あれ?」


少年家

少年「…」サッサ

少年「ツマンネ」サッサ


少年家の外

女僧侶「ここが少年君の家ですね」



16

女僧侶「おじゃましまーす」キィ…

少年「!?」

女僧侶「あ、いたいた少年君」

少年「…」フイッ

女僧侶「あれ?何か怒ってます?」

少年「俺をおいて隣村に遊びに行ったおねえちゃんなんてもうしらねー」

女僧侶「何だ、そんな事…ふふ」ナデナデ

少年「さ、触るんじゃねー!」

女僧侶「もう暗いのにご両親は帰ってきていないのですか?」

少年「いねーよ。母ちゃんも死んだし、父ちゃんもどこにいるかしらねーし」

女僧侶「え、では一人暮らしですか?」

少年「…うん」

女僧侶「寂しくないんですか?」

少年「寂しくなんかねーよ!」

女僧侶「私は寂しかったですよ?今日少年君がちょっかいを出しに来なくて。ずっとため息ばかりでした。ふふ」

少年「…」

女僧侶「まあ理由はあるのですが、置いて行った事は謝ります。ごめんなさい。でも、寂しいからずっとちょっかい出しに来ないのはいやかなーなんて」ギュッ

少年「…しい」

女僧侶「ん?」

少年「毎日、帰っても誰もいなくて…毎日寂しいよ!」ギュッ

女僧侶「…」ナデナデ

少年「でも、おねえちゃんに怒って、行くの我慢してた今日が一番寂しかった」ギュウ

女僧侶「ふふ。明日は遊びに来てくれますか?」ナデナデ

少年「いっぱいいっぱい邪魔してやる!」

女僧侶「ふふ。少しは加減してくださいね」ニコ

少年「もう寝るから…寝るまでいてよ」

女僧侶「甘えん坊さんですね。いいですよ」ニコ

30分後

少年「母ちゃん…」スースー

女僧侶「まだ22歳ですけど…」ナデナデ


教会

神父「どうでしたか?」

女僧侶「仲直りしましたよ」

神父「彼の事、何かわかりましたか?」

女僧侶「孤児でした」

神父「…優しいお母さんだったのですけどね」

女僧侶「知ってて放置してたんですか!?」

神父「いえ。孤児院でも、もちろんここでも引き取ろうとしましたが、彼が来るのを拒みました。おそらく母親との想いでの詰まった家から離れたくないのでしょうね」

女僧侶「そうですか…」

神父「さ、早く寝ましょう。明日も早いですよ。明日は何があっても仕事をきちんとしてもらいますからね」

女僧侶「…はぁ」


次の日

女僧侶「ふんふふ~んふ~ん」サッサ

少年「おねーちゃんおはよ!」

女僧侶「おわっ!スカートを捲るんじゃありません!」

少年「ちん○ん無いか確かめただけだよん」

女僧侶「あるわけねえだろ!」ダッ

少年「わ!逃げろー!あ、おねえちゃん、俺今日から教会で暮らすから!」

女僧侶「え?」

村の婆さん「お、今日もやっとるのぅ。ほっほっほ」

神父「ふふふ。親子の触れ合いというのは微笑ましいですね」

村の婆さん「今日も一日元気に暮らせそうじゃわい」

神父「僧侶さん、掃除は?」

女僧侶「あ…神父様。少年君がここで暮らすって…どういうことですか?」

神父「早朝に再び彼に聞きにいったのです。そうしたら『来たい』と」

女僧侶「お家は…」

少年「週1で帰って母ちゃんと一緒に寝るから大丈夫だよ!週1でくらいなら寂しくないし!」

神父「ということで家族が増えましたね。少年君、君も今日から僧侶さんと一緒にお仕事を頑張るのですよ」ニコ

少年「え」

女僧侶「まあ、そうなるでしょうね」

少年「やっぱ帰る~!」ダッ

村の婆さん「ほっほっほ」



17

少年「お腹痛い」

神父「えぇ!?大丈夫ですか?…僧侶さん!」

女僧侶「どうしましたか?」

少年「一緒に食べたのに何故おねえちゃんは平気そうな…」

女僧侶「お腹壊したのですか?」

神父「あなた、100%理由を知ってるでしょう」

女僧侶「」

少年「神父様が捨てろって言ったケーキを、もったいないからっておねえちゃんと…」

神父「あ…あれを食べたのですか!?あれ、1か月前のやつ…」

女僧侶「神父様が!私にくれようとして忘れてたのがいけないんじゃないですか!」

神父「というか何故あなたは無事なのですか」

女僧侶「ケーキは別腹ですから」

神父「答えになってませんが?」

少年「うぅ…」

神父「早く治しなさい!得意の回復魔法で!」

女僧侶「わ、私の魔法は怪我は治せますが病気は…」

神父「そうでしたね…早く病院に連れて行きましょう」

女僧侶「そうですね」

神父「?早く連れて行きなさい」

女僧侶「え、私お掃除が…」

神父「やっておくから早く行きなさい」

女僧侶「はーい」

少年「うぅ…」

神父「最近、ほぼ毎日彼女の仕事をしている気がしますね…」


病院

女医「まあ、食中毒ですよね」

女僧侶「まあ、そうでしょうね」

少年「まあ、わかってましたよね」

女医「じゃあ、入院してもらいます」

女僧侶「えぇ!?この子、超絶マザコンで私と一緒に布団に入らないと眠れないのですよ!?本当の子じゃないのですけれど」

女医「!…それはなんてうらやm…いや、あなた、ショタ○ンですか?」

女僧侶「そんなわけないでしょう!でもこの子の睡眠が…」

女医「仕方ないですね…特別に私が一緒に寝てあげますから」

女僧侶「さっきの質問をそのままお返しします」

女医「ええ、そうよ」

女僧侶「他のお医者さんにかかりましょう、少年君。ここだとあなたの貞操が危ないです」

少年「なんでもいいから早く…」

女医「とにかく点滴を打って寝かせないと!看護婦さん急いで!」

女僧侶「いや、だから他に行くって…」

女医「さ、早く!」

女僧侶「…ま、いいか。本当に手を出すような事はないでしょう…」


教会

神父「どうでしたか?」

女僧侶「入院だそうです。あ、食中毒ですが2、3日の入院で治るそうです」

神父「そうですか。よかったです」

女僧侶「ふぁーあ。では、少し休みますね。疲れましたー」

神父「お待ちなさい」

女僧侶「え」

神父「まだこれだけお掃除が残っていますけど?」

女僧侶「神父様がやってくれるんじゃ…」

神父「終わる前に帰ってきたのですからあなたにお返しします」

女僧侶「うそつき!鬼!」

神父「最近毎日私がやってあげてるでしょうが!おかげでお祈りの時間を削っているのですよ!?」

女僧侶「手際が悪いのよ!ていうか神父が一番削っちゃいけないもの削ってどうするんですか!」

神父「私は綺麗好きなのです!」

ワー、ギャー、キー

村の婆さん「おやおや、今日は神父様と喧嘩しとる。ほっほっほ。元気が出るねぇ」



18

少年「治ったー!でも…」

女医「ぶり返すといけないからあと一日は入院してないとだめですよ。お願い!あと1日だけ!」

少年「…」

女医「…」ウルウル

少年「わかったよー…つまんないから病院の中見て周ってもいい?」

女医「いいですよ。騒がしくしない事、拾い食いをしない事」

少年「うぅ…もうお腹痛いのは嫌だからしないよー」ダッ

女医「ふふっ。さ、お仕事お仕事」


病院ベランダ

少年「お、外に出たぞー」

美少女「…」

少年「あ、人がいる。おーい」

美少女「?」ペラ

少年「何してんのー?」

美少女「お外で読書…」

少年「お前も入院してんの?」

美少女「うん。あなたも?」

少年「うん!」

美少女「その割には元気そう…」

少年「もう治ったけど!でも女医さんがあと一日入院してけーって」

美少女「そうなんだ。いいな…治って」

少年「あの女医さん、寝るときにどれだけ抵抗しても離さないから暑くて寝れないんだよなー。早く帰りてー」

美少女「クスッ」

少年「お前はいつ治るの?」

美少女「私の病気は治らないの…だから少しでも長く生きられるように病院で暮らさせてもらっているの」

少年「えー。つらいなー。でも女医さんすごい人らしいから治してくれるんじゃね?」

美少女「そういう方法と技術が開発されれば治せるけど、今は無いって…でもここの人は優しいから好き…このままでもいい」

少年「んー。ここ居心地いいけど、外も楽しいぞー。こっそり出かけてみない?」ニヒ

美少女「でも、怒られちゃう」

少年「大丈夫だって!無理するわけじゃないし、お前の病気って歩いたりするだけなら大丈夫だろ?」

美少女「うん。発作が出なければ大丈夫」

少年「じゃあ、俺明日退院だから今から行こ!」

美少女「うん」


病院の外

少年「うまくいったなー」ニシシ

美少女「うん」ニコ

少年「とはいったものの。お金もないしなぁ。無理できないし。草原で遊ぶかー」

美少女「どこでもいい。お散歩もしたこと無いから、景色を見るだけでも楽しい」

少年「ふーん。じゃ、行こうぜー」

美少女「うん」


病院の中

看護師「大変です!美少女ちゃんがいません!少年君も!」

女医「!ベランダにもですか?」

看護師「はい!そこ意外にあの子が行きそうな所はないので、外に出てしまったのでは!」

女医「発作が起こる前に見つけましょう!」

看護師「美少女ちゃん、大丈夫ですよね…」

女医「発作が起こらなければ大丈夫です!探しに行きますよ!」


草原

美少女「お花がいっぱい!」

少年「おお、初めて見る、美少女のハイテンション」

美少女「わぁ」

少年「花でいいもの作ってやるよー」ブチッ

美少女「あ!抜いたら…可愛そう。お花が死んじゃう」

少年「んー。ごめん。じゃあ、死なないようにこの花とこの花を括り付けて…」

美少女「わぁ。お花の帽子」

少年「あげるよー」

美少女「ありがと!かぶる…」

少年「ほら」

美少女「似合う?」

少年「うん。めっちゃ綺麗だー」

美少女「ふふ」


病院

村の婆さん「おや…開いてるのにお医者さんが誰もおらん…話し相手に困るのう」

村の婆さん「…」

村の婆さん「教会にでも行くかのう」


草原

少年「楽しい?」

美少女「とても楽しい。こんなの初めて」

少年「ふーん。ずっと病気だったの?」

美少女「うん。生まれたときから。だからずっと病院。お友達もいない。パパとママもいない」

少年「え?親いないの?」

美少女「うん。病気の私の医療費を払えないから、逃げたって言ってたよ。でも、ここの病院の人がいるから…寂しくないの」

少年「俺と一緒じゃん。俺、母ちゃんが死んで、父ちゃんがどっかいっちゃった。友達もいないし」

美少女「最初からいない私より、途中でいなくなっちゃったあなたの方が辛そう」

少年「そんな事ねーよ。少しは思い出残ってるし…まあ俺も今はおねえちゃんとか神父さんがいるから寂しくないけどな」ニシシ

美少女「私と一緒。あ、あと私、少年君もいるからもっと寂しくなくなった」

少年「俺も俺も!じゃあ、お前は初めての友達な!」

美少女「うん、友達…友達。うふふ。うれしい」

少年「山にもうちょっと大きくて綺麗な花が咲いてるんだー」

美少女「本当?みたい」

少年「でもそこだと魔物がでるからお前は連れていけないなー」

美少女「…残念」

少年「取ってきてやるよ!明日俺退院しちゃうし。友達の証!」

美少女「この帽子は?」

少年「それも友達の証!」

美少女「じゃあ、無理をしなくても、これだけでいい」

少年「でも大きい花も見たいんだろ?」

美少女「うん」

少年「じゃあ…」

美少女「!」

少年「どうした?」

美少女「はぁ…!はぁ!は!は!」ガクッ

少年「おい!美少女!」

美少女「うぅ…女医さん…はっ…はっ…」



19

女医「見つけた!」

少年「あ!女医さん美少女が!」

女医「ちょっとどいてて!」

美少女「はっはっ…」

女医「どうして外に出たの!とりあえずこの注射を…」チクッ

美少女「ご…めんな…さ…い…」スー

女医「ふう…」

美少女「スースー」

少年「あの…ごめんなさい…」

女医「…」バチーン

少年「痛…」グス

女医「とにかく帰りましょう」

少年「うん…」

看護師「あ!女医さん!」

女医「見つかりました。病院に戻りますよ」

看護師「美少女ちゃんは無事ですか!?」

女医「はい。戻りましょう」


病院

少年「ごめんなさい…」

女医「もう少しで美少女ちゃんは死んでしまうところでした」

少年「…」

女医「きっと優しいあなたの事だから、外で遊んだことがないあの子を連れだしたのでしょう」

少年「うん…」

女医「でもね、あの子はいつ発作が起きるかわからないの。注射が遅れたら死んでしまうわ。何故ひとこと相談しないの」

少年「ごめんなさい…」

女医「もういいから…明日あなたは退院してしまうのですから、今日は早く寝ましょう」ギュッ

少年「…」

女医「ぐふふ」

看護師「女医さん…まだ夕方なのに何を」

女医「」

看護師「美少女ちゃんはぐっすり眠っています。よかったですぅー」

少年「あの…ごめんなさい」

看護師「そうね…でもあの子と遊んでくれてありがとう。あの子ずっとここにいるから、ずっと寂しかったはずだし…」

少年「いや、美少女は、ここにいて、友達がいなくても看護師さんとか女医さんがいるから寂しくないって言ってました」

女医「え?」

看護師「そ…そうなの?」

少年「うん。すっごい笑顔でこの事話してた」

看護師「私…ずっとあの子をここに閉じ込めていて、申し訳ないって…えーん」

女医「そうね…」グス


美少女の病室

美少女「女医さん、看護師さん、少年君…むにゃ」スースー


病院、次の日

女医「少年くぅ~ん」スースー

女医「ん?あれ、少年君じゃなくて枕を抱いて寝ていた…目覚め悪ぃな」チッ

女医「…あれ?少年君は?」

女医「まあいいか…もう少し寝る…」バタッ

女医「え!?少年君どこ!?」ムクッ


美少女の病室

美少女「…むにゃ。あれ?病室…」

看護師「美少女ちゃぁ~ん…ずっと一緒…むにゃ」スースー

美少女「…」ナデナデ

看護師「…むふふ」スースー


病院

女僧侶「少年君を迎えに来ましたー」

女医「それが…」

女僧侶「え?」

少年「ただいまー!」

女医「少年君!どこに行ってたの!」

少年「ちょっと散歩ー。あれ?おねえちゃん」

女医「そんな泥だらけになって…」

女僧侶「…」スッ

少年「え?おねえちゃん、何故俺のお尻を出すの?」

女僧侶「入院中位!安静に!してなさい!迷惑!かけるでしょうが!」バシーン、バシーン、バシーン、バシーン

少年「痛っ!お尻!痛っ!」

女医「…少年君のお尻…」ジュルリ

10分後

女医「さ、入院延長のお手続きを…」

女僧侶「え?完治したんじゃ…」

女医「お願いします!お金はいりませんから!」

女僧侶「…少年君、何もされませんでしたか?この危険人物に」

少年「んー。抱き枕にされて、ちょっとウザかった位かなぁ」

女医「ウザ…」ガーン

少年「あ、帰る前にちょっと待ってて!挨拶してくるー!」

女医「ふふ。いってらっしゃい」

女僧侶「あいさつ?」


ベランダ

美少女「少年君、今日退院。もう行っちゃったのかな」

美少女「ちょっと寂しいな」

少年「おーい!」

美少女「少年君!」

少年「これ!友達の証取ってきた!」

美少女「わ。綺麗…」

少年「俺今日退院だけど、毎日面会に来るから!」

美少女「毎日は大変…」

少年「友達だろ!遊びに来たっていいじゃん!」

美少女「わかった。待ってる」

少年「昨日はごめんな」

美少女「ううん。とても楽しかった。ありがとう」

少年「女医さんにも怒られた…看護師さんもすっごく心配してた」

美少女「…そうなんだ」

少年「お前、いい家族に囲まれて幸せだな」ニコ

美少女「!…うん」

少年「あの女医さんなら、きっとお前の病気治してくれるから!治ったら一緒に山で遊んだり遠くに行ったりしようぜ!」

美少女「…うん」ポロポロ

少年「じゃあ、またな!」

美少女「グスッ…ばいばい」ニコ


帰り道

女僧侶「好きな子ができたみたいですね」

少年「は!?と、友達だし!」

女僧侶「お姉さんは悲しいです。私の手元から離れていってしまうようね」ニコニコ

少年「だから友達だって!」

女僧侶「でも毎日通うって…もう通い妻…夫じゃないですか」

少年「友達だからね!…おねえちゃんはずっとおねえちゃんだよ。神父さんも…俺の家族」

女僧侶「ふふ。私も一緒に美少女ちゃんと遊んでいいですか?」

少年「うん!神父様の機嫌がいい日に一緒に行こう!」

女僧侶「そんな日あるかしら…」

少年「きっとあるさー」

女僧侶「ぐ!?」

少年「どうしたのおねえちゃん!?」

女僧侶「お、お腹が…今さらあの時のケーキがきたと…いう…のか?」

少年「…」



20

神父「大変です!」バァン

女僧侶「何ですか、騒々しい。神職にあるものなら常に落ち着いて…」モグモグ

神父「何故そんなに偉そうにしてしかもくつろいでるのですか」

女僧侶「だって今休憩中…」

神父「掃除は?」

女僧侶「だから、今は私が決めた休憩時間中…」

神父「勝手に決めないでください」

少年「神父様どうしたの?」

神父「ああ、そうでした。魔王を倒す旅に出ている勇者様がこの村にいらっしゃったのです」

女僧侶「ふーん」

少年「へぇ!見たいなー!おねえちゃんは何故そんなに冷めてるの」

神父「いや、その反応でいいです。失礼なことをしないよう、あなたはなるべく勇者様に会わないようにお願いします」

女僧侶「はぁい。でも、掃除するなら外出ないといけないから会っちゃうかもしれませんね?」

神父「掃除しなくていいからここにいなさい」ハァ

女僧侶「イェー」ポリポリ

少年「ダメな主婦みたいだよ、おねえちゃん」

神父「今、勇者様は村人に囲まれてるから少年君も見に行ってみるといいですよ」

少年「うん!美少女誘って行ってみる!」タッ

女僧侶「ふんふふーん」ボリボリ

神父「…」


病院

少年「美少女ー!」

女医「呼びましたか?」

少年「いや、少女じゃないですよね?」

女医「いやん、つれないわねー♪」ギュッ

少年「暑いよ…」

美少女「…」

少年「美少女!」

美少女「二人はそういう関係…」

女医「そうなの…ごめん…ね?」

少年「いや、違うから」

美少女「遊びに来たの?」

少年「勇者様が来てるんだって!見に行こうぜ!」

美少女「女医さん、いい?」

女医「うーん。すぐ帰ってくるならいいでしょう」

少年「やった!」

美少女「やった」

女医「でも、発作がいつ来るかわからないから、看護師さんも一緒にね。はぐれちゃダメよ」

少年「はーい」

美少女「はーい」


村の入り口

看護師「勇者様を見れるなんてー」ワクワク

少年「看護師さんが一番はしゃいでるじゃん」

美少女「でるじゃん」

看護師「だってだってー♪」

少年「あ、いたいた!」

村人1「勇者様ー!」ワー

村人2「かっこいー!」キャー

勇者「はは…ありがとうございます」

勇弟「兄ちゃん、早く休みたい…」

勇者「おい、きちんとしてろ」

看護師「きゃー!かっこいー!」

少年「おー。でも、思ったより普通だなー」

美少女「うん」

少年「あ、勇者様近づいてきた」

看護師「勇者様がこっちに!きゃーきゃー!」

少年「うるさいな…」

勇者「君はすごくかわいいね」ニコ

美少女「…」

看護師「こ…ここ、この子は病気で、うちの病院に入院してるんです!」

勇者「…そうなんですか。あの、こんな事を言うのは無責任かもしれないけど、治らない病気なんてないから、お医者様を信じて絶対に治そう」ニコ

美少女「…」コクリ

看護師「あ、ありがとうございます!」

少年「やったな!話しかけられたな!」

美少女「うん。私ってかわいいの?」

少年「うーん。勇者様がかわいいって言ってたから、かわいいんじゃね?」

美少女「…」

少年「ん?」

看護師「ふぅ。少年君はまだまだ子供ね」フゥ

少年「え?子供だけど。看護師さんだってさっきまで子供みたいにはしゃいでたじゃんか」

村長「皆、そろそろ帰りなさい。勇者様もお体を休めたいでしょうし。ささ、宿をご案内します。こちらへどうぞ」

勇者「あ、ありがとうございます」

村人3「勇者様かっこよかったなー」ゾロ

村人4「私、握手してもらっちゃったー」ゾロ

少年「帰るかー」

美少女「うん」


教会

神父「マジでか…」

神父「マジなのか…」

神父「まさか、教会で勇者様の話を聞くなんて、村長…」

神父「どうしよう」



続く

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