プロローグ
『ある日、人々の才能が開花した』
「その日から、この世界は大きく変化してしまった。」
才能というものは、人間に与えられた特殊な能力のことであり、この国で初めて生まれ今現在この国がその最先端を行っている。世界で才能が開花してから100年以上経過した現在、生まれもった才能がある人が優遇される才能至上主義となったこの世界で国民の中でもより優れた才能を持つ者だけが入学できる【ルミナス高等学校】に7段階中5段階目のクラスランクBに身を置いているのが俺だ。
俺はすごい才能があるわけではなく、ある程度の知能と身体能力の才能に恵まれた中途半端の人間だ。どちらかに特筆して才能があるわけでもなく、どちらも同じくらいの才能を持っている。だから俺はクラスランクBの中でも下のほうにいる。クラスランクCに落とされない様に日々才能を磨く毎日である。まぁなかなか成長はしてないんだがそれでも、落ちないためには頑張るしかないのだ。
ん?上のクラスに上がる気はないのかって?そんなのあるわけがない。そもそも上がれる実力じゃないし、クラスランクA以上になると学校側から依頼が来るっていうし…。この学校には優秀な人間が多数在籍しているから、警察の手に負えない事件や事故にはクラスランクA以上の生徒が派遣されるらしい。解決できると評価が上がったりするんだとか。実際に行ったことがないから確かなことは言えないが。俺はそれがめんどくさいのでこれ以上に上がらない。こんなことを言ったところで周りからは才能が足りない言い訳としか、見られないんだろうがな。
この世界に不満を覚えている人間は少なくない。だからこの世界を変えようと活動する人間もいるらしい。でも、俺には関係ない。だって俺には世界を変える力も、勇気も、何もないんだからな。ここまで考えて思い浮かんだことが一つだけある。
「今のこの世界はまるで、昔の世界と正反対だな」
と言いながら俺は、自身の才能である『反転』を発動するのだった…。