表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/29

第八話的なもの『がんばれ! 茜音さん』

 この国の首都付近に実質の学園都市として聳える、最龍侍さいりゅうじ学園で、本日もいつも通り授業があり生徒や教員、その他職員などが様々なやり取りを行なっていた。

 その学園の教員の一人である、中田なかた 茜音あかねは教員室で山積みの作業に追われている。


「よし! 半分ぐらい書類のサインや整理終わったし、一休み!」

「それで休憩とは、実に面白いですね。中田さん」

「うわ! 2-D組担当の、通称『研究オタク』! いいんです。終われば!」

「……わたくしの名は桐生院きりゅういんと申すのですが。いいでしょう、それより最近、奇妙な女性を連れてきたと学園でかなり、噂になっていますよ。あー、あの子の名前、なんでしたっけ」

「教えませーん。ベー」


 子供みたいに舌出して挑発するのを、口に棒つきの飴を咥えてはかけている黒縁の眼鏡を光らせる。

 一見ポーカーフェイスを維持しているようにも見えたが、噛み砕くような音が一瞬した。


「怒ってるー! 社会人として情けないです」

「いやいや、そちらの方が我々教員として情けないのですが。やれやれ」

「自分は怒ってないし」


 まあまあ。と周囲からしてあまりにもどうでも良いやり取りに止めに入る、隣に座っていた男性のやや小太りの教師。


「……ありがとうございます。中田さんにその狐の事を尋ねたのは他でもない、狐自体は大した実力のようには感じないが、厄介な点が二つありましてね」

「はむ」


 茜音の机に入れてあったコロッケをぱくぱく、もっちゃもっちゃ食べる。まるで聴く姿勢なし。


「フルアクセル・リングでしょうか。どこから入手したのか、しかも得体の知れないエネルギーを秘めている」

「ほーひへは、はひかに!(そういえば、たしかに!)」

「ちゃんと聴けこの女! もう一つは白龍はくりゅうの存在ですよ。我々最龍侍学園以外に、世界線干渉する技術を持っている」

「うんうん。だからあの子にコンタクト取ってみたわけ。いやー、君より良い仕事したなー」

「ちっ」

「舌打ちこわーい」


 またしても先ほどの教員に止められようとする。そろそろ教頭の視線が怖いところか。


「作業戻る! お前は二度と話さん!」


 ぷりぷり怒っては地団駄を踏みながら自分のデスクに戻った。

 一方で茜音は、


「フルアクセル・リングか。そういう事もあるよね! スッキリしたし、自分も作業戻ろ」


 本日の茜音は華麗に定時で帰って、桐生院は最後まで残業したとさ。

 めでたしめでたし?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ