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第二十話『Legends Violet Fate【暈(かさ)編】』

 奴はこの短期間で力がとんでもなく上がっておる。それだけじゃない、妖力も気力もだ。でも、だからってここで立ち退く訳にもいかない。必ず勝つ。私はフルアクセル・リングの小型液晶画面を操作し、No.②の力が上がる機能を使用。その上で、人差し指を相手に向け私が故郷で修行してきた技、迅雷ジンライを構える。指先に徐々に電気が集まった。


「こざかしい! 俺は、お前を倒す!」


 Rの両手首に巻きついている赤黒い炎が強く燃えた。手のひらをこちらに向けると、火球が現れた。

 少しお互いエネルギーを溜めた後、同時に解き放たれた。激しい爆風を巻き起こす技と技の激突、無数の黒い静電気が四方八方に飛ぶ。またしても押されている、このままではトレインごと吹き飛ばされ、桐生院きりゅういん先生や茜音さんごと落下はまぬがれない。

 力を必死に込めている所、ふと隣の何かの残像を感じた。まるで白龍様のような。


「No.れいヲ解放シマシタ。説明シマスカ?」

「こんな時にあんたは余裕じゃな。頼む!」

「1日1回ダケ、相手ノ技ヲ無力化デキマス」


 一見便利そうじゃが、使い所が大切な気がした。今は使わないでおこう。今はNo.⑧じゃ。代償を支払って機能を強化する物。No.②を強化出来ればいい。


『貴方をいつも、見守ってます。頑張ってくれて、ありがとうね』


 白龍様の声!? 守護霊が何ちゃらとは言っておったが、気のせいでは無かったのだろうか。

 ふと気づけばRの火球を押し返し、迅雷ジンライごと命中した。奴は黒い煙を体から上げ、項垂れている様子である。


「ってえ。いつもいつも変な技ばっかり! 許さねえええええ!!!」


 真下にある王国ごと、雄叫びで激しく空気が揺さぶられる。手首の赤黒い炎がより燃え盛り、棘のような形がそれぞれ一つずつ追加された。


「この国ごと吹っ飛んじまえ!」


 両腕を天に上げ、より大きな火球が作り出される。まるでかさのような円の光が眩しい。

 どこまで奴は力を上げるのか。No.零を使わざるを得ない。


『私も行きます!』


 え? でも白龍様の肉体はもう。

 ライトニング・トレインの扉が開いた音がして振り返ると、普段は完全な金髪だった茜音さんの毛先が白龍様のような銀色になっている。もしかして、俗に言う憑依?

 茜音さんも簡易版フルアクセル・リングを使って飛翔し、私の隣へ。


「よく耐えたね、れんちゃん。なんか分からないけど、力が湧いてきたよ!」

「……うむ! 共にRを倒すぞ!」

「次から次へと! だが関係ねえ!!」


 容赦なく巨大な火球がこちらへ向かってくる。私と茜音さんは同じ構え、両手を火球の方へ向けてあの技を放つ————



「「白龍炎はくりゅうえん!!」」


 銀色に輝く炎を放ち、火球は綺麗な花火となって分散する。そのまま、Rは遠くへと飛んで行った。


「よし、一つ片付けたね! ホームズちゃん達を助けにいこう!」

「うむ!」


 今いる位置の、トレインの反対側へ飛び越えていくと。巨大なサファイアの龍との戦いは続いていた。無数の青い宝石が飛んでいて、穂村ほむら少年もホームズも打ち返すので精一杯と見た。飛んでくるサファイアを避けながら接近していくと、いつの間にか喧嘩はせず一生懸命連携を取っていた。流石、飲み込みの早い子達なのじゃ。

 指先で光の玉を撃ちながら、横目でホームズが「やっときたね」と言う。そして戦闘中の作戦会議が始まった。


「こいつ頑丈すぎるよ! 今までの叛逆龍はんぎゃくりゅうと違う!」


 穂村少年のチャンプらしからぬ弱音じゃが、確かに異質な感じもする。何よりとてつもなくデカい。こないだの巨人並みだ。


「あたしが最大火力のエクスプロージョンを打ち込む。みんなでどうにか動き止めて」

「無茶言うね。白龍様みたい」


 あんたが言うか。

 とにかく、そうでもしないと事が進まないのも確か。此奴こやつを止める方法、そうじゃ!


「茜音さん、耳を貸してくれ」

「うん?」


 思いついた。確か白龍様は巨大な龍にもなれる。というかそれが起源の姿じゃが、現在白龍様が憑依しているであろう茜音さんなら、同じく龍化出来るかもしれない。


「そう。分からないけど、やってみるね」


 茜音さんの体が銀色に光り出し、大きな紫の龍へと姿を変えた。


「すげー!! これならいけるぞ!」

「流石、蓮お姉ちゃん」


 感動する、穂村少年とホームズ。

 すぐにでも龍と龍が激しい衝突をし、身が毛がよだつような緊張感が私の心臓を揺らす。


「動きは止めたけど、茜音お姉ちゃん巻き込んじゃう。どうしよう」


 と、こちらを見てくる。いつの間にか私が司令塔になっているが、仕方あるまい。


「きっと、どこかで茜音さんが相手を突き飛ばす瞬間は来るじゃろう。その一瞬を狙えるか?」

「もちろん」


 慣れていないのか、段々茜音さんが押し負けている。でも何回身を切り裂かれても、立ち向かうのをやめなかった。

 意地っ張りな所も私や白龍様に似ている。自分も何か出来ないだろうか。

 またしても閃いた。思うがまま、私は茜音さんの頭に飛び乗り、フルアクセル・リングのNo.零を起動、技の無効化を叛逆龍に向かって使う。すると、サファイアが全く生成されなくなった。目を挙動不審にさせて困惑している様子で、私はそのまま、


「今じゃ!」


と茜音さんに叫ぶ。言われるがまま突き飛ばした。そして飛ばされて怯んでいる間に相手の頭上に何十枚もある空をも覆い隠すような魔法陣がホームズの手によって現れる。




 光の線が天辺の魔法陣から急降下し、爆破によって叛逆龍は塵となった。




 疲れ果てた龍化した茜音さんは、意識を失い王国外の山へ落下、とてつもない地震が発生し、龍から人間の姿へと戻った。


「茜音、さん。起きるのじゃ! お主までいなくなったら嫌じゃ!」


 呼びかけに、うっすらと目を開いた。意識はあるよう。


「大丈夫だよ。それより、蓮ちゃんの方が、痛かったでしょ」

「うるさいわ! 今トレインに連れて行って治療するからの!」

「うん」


 ライトニング・トレインとかさが重なり、私はその方で飛ぶ。

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