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第十九話『Legends Violet Fate【叛逆龍事変編】』

サブタイトルの読み方「レジェンズ バイオレット フェイト」

 ホームズが熊の小さな人形を貰ってきてから約数日後、我々今日はメンバーが少なめで雷鳴駅のライトニング・トレイン24(トゥエンティーフォー)の前に招集された。

 教師の桐生院きりゅういん先生と、私の姉の茜音あかねさん。そして、ホームズだ。狸男とライゲキラムちゃんは呼ばれていない様子。

 桐生院先生から説明があり、狸男は現代日本への適応力が低すぎる故に、他の異世界へ同行させても混乱するだろうという配慮で、ラムちゃんに関しては何故かとても不機嫌だったので一人で機械をいじっているという、なんとも子供じみた理由であった。

 昨日廊下ですれ違った時は「ホームズがまた勝手に」と聞いて、プンプン怒っていたのは見かけた。

 そして、代わりに代理のメンバーとしてナゾ子が来るらしく、急いで準備をしているので今は不在とのこと。そしてもう一人、穂村ほむら 京斗きょうとだ。


「お主、ギリギリ退学にはならなかったようじゃな」

「もうあんな失敗はしない。あのあと、龍侍りゅうじさんに散々しごかれた。不安はあるが、善処する」

「そうか。期待しておるぞ」


 私が弱いくせに、ちょっと上から目線になってしまった。なんでじゃろうな。

 そして元気に話に茜音さんが「はいはーい!」と割って入り、突如として、


「じゃあ行くよー! 時間ないですからね。乗った乗った!」

「おう……?」


 とりあえず全員で乗り込み、自分以外広間のある車両へ。私は一人ライトニング・トレインの自室に入り込み、故郷で慣れ親しんだ和風の服装へと着替えた。落ち着くのじゃ。

 遅れて出てくると、ホームズと穂村少年が口喧嘩している。


「乗ってくるな、ケダモノ」

「そんな言い草ないだろ!」


 やれやれ。

 先行き思いやられるが、いずれ仲直りすると思っておこう。

 私を見かけた桐生院先生が近寄ってきて、ヒソヒソした声で「娘を頼む」と一言、そして自身の作業室へと戻った。

 事前の通達ではナゾ子の故郷である世界に行くらしく、さふぁいあ……がゴニョゴニョ書いていたものの、つまりはあの時会った魔王のかつてあった軍の残党が暴れているので、鎮めに行くという旨の依頼だ。とりあえずはそれっぽい奴を倒せば良いのじゃな。

 かなり前に会った魔王の印象は大人びていて礼儀正しく、またそれほど思いえがく魔王でも無かった。とはいえ、下っ端が似た人格者かと問われると違う可能性が高い故、なんとも言えない気持ちになる。トレインが暗闇を走り抜けた後、窓から強い日差しが入り込み、覗き込んでみる。石畳の道や煉瓦で作られた家の数々、とても大きなお城を私達は見下ろした。私自身この世界に来るのは二度目じゃが、今回は亡き白龍様はいなく不安が募る一方。

 隣にナゾ子が隣に座って寄ってきて、肩を寄せてきた。恐らく、この中で一番不安なのは紛れもない、ナゾ子自身。

 ライトニングトレインと同じ標高に、青く光る大きな、いつも通り叛逆龍はんぎゃくりゅうが飛んでいる。大量のさふぁいあ? を王国に向かって乱射しては、国民を襲っている。次々と建物に傷をつけ、また目立つ物に関しては倒しているようだ。


「あれが魔王軍の残党ね」


 茜音さんがしり、大きな二つの山をまた突き出しながら大きな窓ガラスで外を見ている。そのままの姿勢でホームズと穂村が戦闘に出るように指示した。さっき喧嘩はして仲直りもしていないが。

 二人は明らかに喧嘩し合いながらも、ホームズは箒に跨って飛び出した。そういえば、穂村少年は飛べるのじゃろうか。

 と思いきや、私の持つフルアクセル・リングの簡易版みたいな腕輪を取り出し、飛翔した。


「茜音さん、あれは?」

「ああ、急いでラムちゃんにフルアクセル・リングの飛べるだけのやつ開発してもらったの。急すぎてすごい怒っちゃったけどね」

「うむ。事態とはいえ怒るじゃろうな」


 無茶を振る所は白龍様っぽいと思った。心痛みいる。

 ふと、茜音さんと私と、白龍様みんなで揃った事がないと、少し物悲しくなった。今は依頼中なので、後で悲しむとしよう。

 手渡された望遠鏡から、青い叛逆龍と戦う要素を観察。どうにか連携は取れているが、まるで攻撃が通っていない。

 今まで見てきたどの叛逆龍よりも頑丈じゃな。


れんも外に! 飛んでくるサファイア防いで!」

「了解!」

『ソノ必要はアリマセン』


 フルアクセル・リングが勝手に人型に姿を変え、勝手に外に出る。そして、勝手にさふぁいあをエネルギー弾ではじいている。


「意志あったの!? 有能!」

「そう、らしい」


 時折リングは私の方をチラ見しては、かなり得意げである。ちょっとムカつく。

 おっと、狐として少し嫉妬が入ってしまった。自分の両方の頬を軽く叩いて気合いを入れ直そう。

 やっとこさ出てきた桐生院先生が相当疲れた様子で、眼鏡を光らせながらやってきた。


「戦闘で盛り上がってるところーすまないが、最龍侍さいりゅうじ学園でも叛逆龍が現れたらしい。ここの指揮は茜音に任せて、俺と逆雪ぎゃくせつ れんは一度、元の世界に戻るぞ」

「ええ、急じゃな。ほれ戻るぞ! リング!」

「ワカリマシタ」


 突然、トレインが何かの衝突のようなものを受け、大きく揺れる。反対側の窓を見ると、コードネーム:Rがいた。前回と様子が違い両手首に赤黒い炎をまとっている。なんとも禍々まがまがしい。


「けっ、こんな時に! サファイア打ち返すのは俺達でやるから、また退治してこい」

「次から次と厄介じゃ」


 Rは甲高い雄叫びで「いくぜえええええええ!!」と叫び、再び突撃してくる。ところで私はフルアクセル・リングを腕に巻き飛翔、頭突きと頭突きで応戦する。

「今度は負けねえ!!」

「うわ!」


 勢いのまま私はトレインまで突き飛ばされてしまう。

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