続々・第八話的なもの『頑張ったね! 茜音さん』
またとある日、夕暮れの港町の中、コンクリートの上で海を眺めるために配置されたベンチに座っているのは、茜音と白龍。
度々出ている白龍様と呼ばれている存在だが、この世界に合わせてそれっぽい服装はしている。ただ、ある狐の子並みに輝く銀髪は、どう解釈しても異彩を放つ。合わせて夕日を反射する海の輝きも、今日はより綺麗であった。
「あの、例の狐さんの世界にも海ってあるんですか? 度々行ってるのに詳しくなくて」
「勿論。ただ、様々な時間の捻れが起きていて、あそこ以外はかなり大荒れになっている……あの子には強くなってもらわねばならん」
「ですね! 自分も頑張ります!」
「頼んだぞ。わしの寿命はそこまで長くない。出来れば一生でも面倒を見てやりたかったが」
「そんな」
悲しい事を聴いて目が潤み、赤い縁の眼鏡を一瞬外してハンカチで拭く。
茜音の脳裏には、最龍侍学園が立ち上がった経緯の事が走馬灯のように巡る。
40年前にこの世界へやってきた白龍は、現・校長にあたる人物に干渉し、かなり無理を言って世界線を渡る能力の研究に特化した学園を建ててもらった。時が経ち別の世界で捨て子だった狐の子を見つけ、育てたのだ。
この世界で白龍と直接やりとりしている存在は少なく、中で茜音が選ばれた理由としては、白龍が感覚的なもので気に入っただけ。
「では、次の仕事があるんでの」
「はい! 頑張ってください!」
「うむ」
急に茜音の頭を撫でる。
「う、うゆ。どうしたんですかいきなり」
「よくここまで、わしの事を聴いて頑張ったの。えらいぞ」
「……はい」




