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愛より金でしょ!  作者: 坂本式部
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合コンに行く前に。

1ヶ月後に金持ちの社長やオーナー達が集まる合コンがあると美穂から誘われ、静音は参加することにしたのだが、、、

 さて、来たる1ヶ月後の合コンに備えてやらなければならないことが3つある。


 まず、服装をどうにかしなければならない。


 外食用の服が無いわけではないが、社長方との合コンともなると上品且つ目を引くような、煌びやかなものでないと視線を引くことができない。


 またとない機会なので、少しでも目に留めてもらい連絡先を交換してもらうのが目標である。


 「千里の道も一歩から。確実に落として差し上げます!」


 今回の作戦は段階を踏み、ゆっくりだが確実に獲物を仕留めるものにした。


 静音の意思は固く、やる気だけは一丁前だ。


 だが、服を買うお金がないため母に後から交渉することにした。


 2つ目にやらないといけないことはダイエットだ。


 自室にある体重計に乗り、恐る恐る結果を覗く。


「げっ!5キロも増えてる...。本当に牛になっちゃうじゃん私。」


 基本ベットの上で生活していた私は、運動や家事など、カロリーを消費する動きを一切しておらず、全盛期とは比べ物にならないくらいだらしない体型になっていた。



 メインでやらないといけないことは、減量だった。


 「当日までに3キロは痩せたいなぁ」

 

 1ヶ月で健康的に3キロ痩せるのはなかなか無理があるがやらなければならない。


腹を括った静音は、


 「ま、162センチ55キロなら大丈夫でしょ。少しくらいお肉がついていた方が抱き心地がいいって聞くし。」


 すぐに諦めた。


 身長が162センチで55キロであれば、わりかし標準体型のため、無理はしないことにしたのだ。


 「だけど、今日から少しだけご飯の量を減らそう。」


 これで少しでも痩せればよしという結論に至った。


 そして最後に難関が待っている。最近全くていない化粧だ。


 「清楚系で行くか、可愛い系で行くか。もしかしたら地雷やぴえんが好みな可能性も...」


 化粧品に関しては昔使っていたものがあるので新たに買い足す必要はないが、時代の流れは早く、狙った男性がいるのであれば、相手のニーズに合わせた化粧が大事なのだ。


 あくまでも静音の価値観だが、男が好意を抱く女性の第一印象は、可愛いくて愛嬌のある人だ。例えどんなに性格が良くても、顔だけで好感度が変わってくる。

 

 性格は良くても後回しにされがちなのである。


 「決めた!清楚系にしよ!」


 化粧は攻めすぎると裏目に出る可能性が高いため、安牌をとった。清潔感があり落ち着いた印象を持たせた方のが男性の好みに当てはまりやすいと感じたのだ。


 しかし、2年ぶりの化粧ともなるとさすがにぶっつけ本番とはいかないため、家からは出ないとしても化粧だけは毎日やることにした。


 やらなければならないことは決まったので、服代をせびりに行こうとさっそく静音は階段を小走りで降り、母に、


 「いい男捕まえれるかもしれないから服買うためにお金頂戴」

 

 と、ストレートに伝えてみた。


 リビングの床に掃除機をかけていた母は、


 「いい加減にしなさい!!あんたに渡すお金はないよ!頼むからまともに働きなさい」


 物凄い剣幕で叱られた。


 静音は仕事をやめてから1年半ほどで貯金を使い果たしたため、それから約半年は家にお金を一銭も入れず食費や生活費を踏み倒していたのだ。


 「けち!少しくらいいじゃんか!」


 一発逆転できる合コンがあると伝えるも、今までのこともあり全く取り合ってもらえなかったので、静音は持っていたブランド物のバッグやアクセサリーを売ることにした。


 口論で疲れた静音は、自室に戻ってテレビの前に座り、ゲーム機を起動した。

 

 「むしゃくしゃした時はゲームでストレス発散するに限るよねぇ」


 ある程度の合コンまでの段取りを終えた静音は、今流行りのレイペックスをやることにした。


 全国で流行っており、お金もほとんどかからないので暇すぎたり嫌なことがあった時は、たまにこのゲームでオンライン対戦をするのだ。


 「しずみん久しぶりじゃん!今日はストレス発散デーかい?」


 このゲームではボイスチャットというゲームをしながら雑談をしたり指令を出したり出来る機能があり、静音もボイスチャットに参加してゲームをする。しずみんはレイペックスをする時のニックネームみたいなものだ。


 「お!進撃のトムさん久しぶり!実は親に服を買うお金せびったんだけどくれなくて喧嘩しちゃってさぁ」


 トムとは、このゲームで1年ほど一緒に戦場を共にした中で、ゲームをするときは時折相談にのってくれる。


 「それはしずみんが悪いwww」

 

 トムさんには、合コンのために服がいるとは言わなかったが、さすがに同情してくれるはずはなく、苦笑いしながら答えてくれた。


 「実際仕事もしてない、家事もしない、だらしない私が悪いのも分かってるんだけどね。」


 静音自身も悪いのは分かっているのだが、まだ働きたくないので親に限界まですがろうとしているのである。


 「ところで来月合コンがあるんだけどしずみんもくる?イケメンばっかだよ。」


 トムさんとは、ゲームの中では何度もプレイしたことがあるので仲はいいが、実際に会ったことは無かったので少し戸惑った。


 トムさんに興味本位で会ってみたい気持ちはあるが、その日は美穂と約束した合コンの日と被っていたため、泣く泣く断ることにした。


 「ごめんその日予定入ってるんだぁ。トムさんの顔見てみたかった。」


 「しょうがないね。また機会があったら誘うよ。」


 トムさんの家と静音の家はそれほど離れていないため、顔を合わせたことがないにしろ一応誘ってくれたらしい。


 適当な会話をしながら3時間ほどレイペックスで遊び、気持ちが落ち着いたのでゲームを終わらせることにした。


 「またねトムさん!次やる時も愚痴だらけかもしれないけどよろしくねー!。」


 一言別れの挨拶を告げると、トムさんが


 「おん、いつでも聞いてあげるよ。お疲れ様。」


 と優しい言葉をくれてお開きにした。


 「なんであんなにいい人なのに彼女いないのかな。あの優しさで誰でも落とせる気がするんだけど。」


 少し疑問ではあったが、相手の顔や年齢まではわからないので考えても無駄だと思い、すぐに切り替えてシャワーを浴び、就寝することにした。

 






 


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