第6話 表と裏再戦
【夢の異世界編】
冬夜「お前は誰だ??」
雪藤「久しいな、冬夜」
冬夜「どうして俺の名を」
雪藤「ふっ、以前の記憶は失ったか?」
冬夜「何者なんだ?なぜ俺を知っている」
雪藤「くくく、それはもうわかっていることじゃないか?」
冬夜「どういう意味だよ」
雪藤「我とお前は表と裏だからな、互いを知る存在なのだ」
冬夜「何言ってんだよ・・・」
こいつの言っていることが理解できない。
まるで頭の中を直接覗かれているような感覚に襲われる。
雪藤「まあ良い、我はいずれお前を殺し、お前になりかわるのだからな!」
そう言うと奴の手から黒い霧のようなものが出てきて辺り一面に広がる。
そしてその霧が晴れた時には、冬夜の体は自由が効かなくなっていた。
冬夜「ぐっ、体が動かない、なんでこんなことをするんだ!」
雪藤「くくく、安心しろ、今すぐは殺しはしないさ、だが、、」
そう言いながら近づいてくる。
冬夜「来るな、、こっちに来るなぁ!!!」
必死に抵抗するが全く動くことが出来ない。
雪藤「さて、まずはお前の能力とスキルをもらおうか」
冬夜「や、やめろぉおおお!!!」
抵抗むなしく冬夜はすべてのスキルと能力を奪い取られてしまう。
雪藤「ふふ、これで我が力を得たな!これで我は完全な存在となったのだ!!」
雪籐「ハァーハッハッハー!!」
冬夜「やめろ、返せ・・・」
雪藤「ふん、もう遅いわ。それにしても貴様の力は素晴らしいな。」
雪籐「この力が有ればお前のいた世界へも行けるのだろうな!」
冬夜「な、何をするつもりだ!?」
雪藤「くくく、もうすぐわかるさ。それより早く準備を進めないとな・・・・。」
雪籐「最後の仕上げに、お前と入れ替わる・・・それまで我に嬲られるがよい」
冬夜「うぐぅ、まてぇ・・・ぐぅ!!!」、
冬夜は意識を失ってしまった・・・。
目が覚めるとそこはいつもの部屋だった。スマホを見たが、やはり日付はわからない。
冬夜「目が覚めていない、起きれていないのか・・・」
嫌な夢を見た感覚だけ残り、大変なことが起こった気がするがあまり覚えていなかった。
どうやら現実世界には戻れていないことだけは理解した。
冬夜「取り敢えず、ステータスを確認しておくか」
冬夜「ステータスオープン」
ステータスを確認すると、レベルが上がっているが職業の所は空白だ。
ステータスにも変化があり、体力がかなり増えている。それとSPが増えていた。
しかし、何故かスキルはひとつもない。
どうやら経験値とは別にポイントが貰えるらしいが、取り敢えず使ってみることにする。
冬夜「うーん、何に使おうかな・・・」
暫く悩んでいると突然画面が変わった。
冬夜「なんだ?急に・・・」
画面には『スキルを選択してください』と書かれている。
冬夜「どういうことだ?」
よくわからないが取り敢えず選んでみることにした。
ズキッ、急に頭が痛くなった・・・うぅ、なにか記憶の断片が見えたようだ・・・。
そうか、雪籐にすべてのスキルと能力を奪われていたのか、ってことは最弱だな。
生き残るには現実世界の知識しかないようだ。
冬夜「えっと、剣術、刀術、斧術、槍術、体術、精霊術、弓術、白魔法、黒魔法、銃砲術、銃剣術、それなら銃剣にしよう。」
冬夜「寝る前に調べた知識をここで使わないとな、しばらくは銃と剣を中心に戦うことにしよう」
すると画面に選択しましたという表示が出た。
次の瞬間、冬夜の右手が淡く輝き始めた。
冬夜「ん?」
なんだこれと思っていると次第に光が収まっていった。
そして右手の中には1本の剣、左手には一丁の銃があった、あとマガジン6、予備弾3発。
この予備弾を武器屋に見せてつくってもらうってことなんだろうな。
現実世界でも夢の世界でも銃なんて金のかかる武器なんだな・・・。
冬夜「これは・・・?」
手に取ってみると軽くて使いやすそうだ。
試しに剣の素振りと、引き金を引いて射撃を試してみたが特に問題はないようだ。
冬夜「凄いな、これが俺の武器か」
どうやら使い方も自然と分かるようだ。
冬夜「よし、準備は整ったな、行こうか!」
こうして冬夜は異世界へ再度旅立った。
小説とかだったらいろいろ助けてもらったり、チート能力持ちだったりするのにな。
俺はマイナスからスタートって感じだ。
準備してたぶん、まだましか、と気を取り直した。
部屋を出て、森へ探索に行くことにした。
しばらく森の中を進んでいるとゴブリンに遭遇した。
冬夜「こいつが最初の敵か」
手始めに一匹を倒しておくことにした。
冬夜「俺の初めての戦闘だ!いくぜっ!!」
勢い良く飛び出した俺は敵の攻撃を紙一重で避けて腹を切りつける。
冬夜「よっしゃあああ!!!」
初めて倒したモンスターを倒すことが出来た喜びと高揚感に包まれる。
しかし直ぐに別の個体が現れた。
冬夜「くそ、次か!」
現れたゴブリンの攻撃を避けつつ斬りかかる。だが、上手く避けられてしまい反撃を食らう。
冬夜「ぐぅっ!」
なんとか致命傷を避けることは出来たがダメージを受けてしまった。
冬夜「まだまだ!」
その後も攻撃をかわし、受け流し、近接で切りつけ、離れたら射撃で少しずつダメージを与えていく。
そしてついに倒すことに成功した。
冬夜「ふぅ、やった!」
初戦に勝利したことで気分が良くなり笑みがこぼれる。だがその隙を突いて背後から棍棒を持った二匹目のゴブリンが現れ冬夜を吹き飛ばした。
冬夜「ぐあっ!!」
咄嵯にガードしたがかなりの衝撃で吹き飛ばされた。
冬夜「くっ、まだ終わってないか!」
すぐに立ち上がり、立ち向かおうとすると目の前の光景が切り替わった。
強制的に転送されたようだ!!
冬夜「なんだ!?」、せっかくの初戦に邪魔が入ったってことか、でも誰が?
状況が全く理解できなかった。
そんな混乱している間にも迫ってくる。
冬夜は慌てて逃げようとするが何故か体が動かない。
そして視界は真っ暗になった。気がつくと辺り一面が火の海になっていた。どうやら冬夜は炎の中にいるらしい。
必死に逃げようとしたがやはり体は動かなかった。そして目の前の火柱の中から人影が現れる。
それは全身焼け焦げた雪藤だった。
雪藤「くっくくく、お前はそこで見ているといい」、ゴブリンに指示している。
そう言うと雪藤は冬夜に向かって歩いてくる。
冬夜は何とか逃れようともがくが動くことが出来ない。
まじかよ、レベル1で魔王と戦うようなもんじゃないか。
雪藤「どうした?、逃げてみろ」
そして冬夜の前まで来るとニヤリとした笑みを浮かべながらこちらを見下ろしてくる。
冬夜「くるなぁぁあああ!!」
叫び声を上げて抵抗するが無駄だった。
冬夜の声を無視してゆっくりと近づいてきたかと思うと、おもむろに胸ぐらを掴み持ち上げられた。
冬夜「ぐぅぅぅ!?」
そのまま地面に叩きつけられる。
冬夜「ぐはぁっ」
あまりの痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。
更に追撃をしようとしてくるので必死に抵抗するが、まるで赤子のようにあしらわれている。
このままでは殺されると思い、思いきって蹴りを入れてみるが大して効いていないようだ。
むしろ逆効果になってしまったようで、余計に怒らせてしまった。
冬夜は何度も殴られ、蹴られ、踏みつけられボロ雑巾のような状態になっている。
意識がもうろうとする中、それでも、それでも死ぬわけにはいかない。
どうにかしてこの状況を脱却しようとするが何も出来ない。
冬夜がいくら頑張ってもこの状況が変わってくれることはない・・・。
絶望の中、諦めかけたその時、冬夜は意識を失った。