第1話 平凡な日常
夢の世界が存在し、夢の世界での出来事を現実世界ででも覚えていたらどうなるのか?、自分の中にもう一人の人格がいたらどうなるか?、という想像から生まれたお話です。
【現実世界編】
三雲冬夜は、自然に囲まれた駅から十五分程度の場所に家を構えていた。四季を色鮮やかに感じさせる山々が、彼の家の周りにそびえていた。高校二年生の時、コンピュータに関わる仕事に夢中になっていた彼は、その後、大学を卒業して地元の企業に就職していた。彼の日常は、平凡だが落ち着いたものだった。しかし、最近彼は、よく戦う夢を見るようになっていた。
ある冬の朝、彼は寒さを感じながら目が覚めた。「眠りが浅かったのか、何故かぐっすり眠れた気がしない・・・」。午前七時に起床し、彼は二階の寝室から廊下を通り、螺旋状の階段を下りて洗面所へ向かった。洗面台の蛇口から出る水は冷たく、外を見ると雪がちらほらと降っていた。
彼はリビングのテレビとエアコンの電源を入れ、台所へ向かい、トースターでパンを焼き、卵を目玉焼きにして、朝食を作った。沸いたお湯でコーヒーを淹れ、ニュースを見ながら食べた。彼は着替えを済ませ、革の鞄を持って玄関から外に出た。外の風は冷たく、天気も曇りながらも空気は澄んでいた。「まだまだ寒いな、帰りが遅くなるともっと冷えるから早く帰ろう・・・」と、彼は呟いた。
彼は駅に向かう途中、街を眺めながら歩いた。街は、少子高齢化の影響でアーケードや商店街も寂れていて、通勤する人々も少なかった。彼は信号待ちをしながら、向かい側のホームにある風見鶏を見上げた。それを見ていると、彼は過去の出来事を思い出した。
いつから、自分は夢で戦っているのだろうか。彼は自問自答しながら、電車が到着するのを待っていた。
この作品は文才のない作者が実際に見た夢を元に初めて創作した処女作です。ところどころ矛盾しているところがあるかもしれませんが、温かい目で見てもらえると嬉しいです。