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【エッセイ】エルデンリングのネットワークテスト雑感

実はエルデンリングのネットワークテストに参加してました。

非常に貴重な体験だったので、ここで備忘録がてら、雑感を少し残しておこうと思います。


結論から言うとエルデンリングは「製品版が出るまで正体はまだわからないが、自分の見立てが正しければ超絶神ゲーになり得る作品」と感じました。


なぜそう思ったのか。

特にこのエルデンリングで、従来のソウルシリーズからの一番大きな変化点であった「オープンなフィールド探索」を主眼において考えてみます。


〇エルデンリングは「フロム製のブレスオブザワイルド アップグレード版」である


この「オープンなフィールド探索」の導入ですが、これによって、まず、従来のソウルシリーズなどからプレイのリズムが大きく変わっていると感じました。

敢えて既存の作品で言うと、「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」に近いものになっていると思います。


そう。自分のざっくりとした所感ですが、題目の通り、エルデンリングは「フロム製のブレスオブザワイルド アップグレード版」である、と考えています。


そしてそれこそが、このエルデンリングを非常に高水準なオープンワールド系ゲームにしていると考える根拠でもあります。


もちろん、これはエルデンリングがブレワイのパクリだとか、そういう話ではありません。

ディレクター宮崎英高氏は、エルデンリングを制作するにあたって多くのオープンワールド系ゲームを研究したという話もありますし、そういった蓄積を積み上げる中でフロム流のオープン系ゲームを作るとなった時、結果的にゲームデザインが近い方針に固まった、と考えるべきだと思います。


とはいえ、既存の作品との文脈の比較をして議論するとわかりやすくなるのも事実。

やや遠回りな話になりますが、まずは「ブレスオブザワイルド」がなぜいいゲームなのか、それを少し考えてみましょう。


〇ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドが名作である秘訣の一つは「緩急」にある


「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」は神ゲーと持てはやされて久しいですが、自分としてはこの作品の「オープンエアー世界」の何よりの魅力は、「ゲーム中に、プレイヤーの集中力の緩急があること」「そしてその集中力の緩急を、ある程度自分で制御できること」だと考えています。


あまり集中力のいらない、のんびりした気分で散歩できるフィールドマップと、がっつり集中して謎解きできる祠と神獣。この二つの間をプレイヤーが「自分の意思で」行き来をすることで、プレイヤーにとって「ブレワイ」は非常に自由度が高く居心地のいい世界を提供できていました。


更にその中に、フィールド上でもガーディアンを配置したり、ランダムで敵の忍びとのエンカウントを発生させることで、100%自分の意思で緩急を制御できない要素も入れて、過度にダレすぎない工夫もされていました。


ここら辺がブレワイはマジで神。さすがやで任天堂さん。


〇対してフロム流「オープンワールドの緩急演出方法」とは。


そしてエルデンリングはその「集中力の緩急をつけるためのオープン世界」を、フロムソフトウェアなりのアプローチで目指した作品ではないか、と感じました。


フロムの強みは何か。


いうまでもなく、「緊張感のあるダンジョン探索」そして「手に汗握るボス戦」です。


エルデンリングでは、このマップ上のいたるところに配置された探索ポイントで起こる「ダンジョン探索」や「ボス戦」が、「ブレワイ」の祠や神獣と同じ役割を果たしています。


フィールド部分の探索は、たとえ敵と遭遇しても馬を使えばすぐに逃げられるようにしたり、

かなりゆるめの設定になっていて、代わりに探索ポイントでダンジョン探索やボス戦をさせることで、緊張感を持たせる、というデザインです。


これが要するに既存のソウルシリーズと全く違う点であり、ブレワイと近い構造になっているところです。

ソウルシリーズは延々ずっと緊張感を持ったまま前に進まなきゃいけませんでしたからね。


しかも憎いのが、エルデンリングの緩急の付け方はオン/オフだけではなく、非常に段階的に組まれた、バラエティー豊かものになっていて、飽きさせないデザインになっているということです。


ブレワイでは個々の祠に、それぞれ別個の謎解きパズルを用意することで飽きさせないデザインになっていたわけですが、このあたりで任天堂とフロムのアプローチの違いが現れていると言えるかもしれません。


エルデンリングの主な探索ポイントは、おおよそ下記に分かれると考えられます。

ものによっては前後しますが、ざっくりと下になる程、緊張感、緩急の「急」の度合いが高くなるイメージです。


1・封牢…プレイヤーの意思で対決できるボス戦

2・フィールドボス…プレイヤーの意思とは関係なしに発生するボス戦

3・廃墟…雑魚が配置された探索ポイントで、敵を排除して宝の入った地下室を探す。時々ボス戦がある。

4・小規模ダンジョン…マップ中に点在する一口サイズ、ワンアイディアの仕掛けがあるダンジョン。最奥にボス戦。

5・中規模ダンジョン…おそらく1エリアに3か所とかそのレベルで配置された、長めのダンジョン。(ネットワークテストではおそらく未実装)おそらくこれも最後にボス戦。

6・レガシー…これまでのダークソウルシリーズと同様の作りこみを持つダンジョンとボス戦。ネットワークテストをやった感触とマップの広さの比較で言うと、おそらく面積ではヤーナム市街(聖職者の獣まで)の2~3倍くらいの規模感(縦方向の規模が分からないので実際は不明)


バラエティー豊かなだけでなく、これら6つの探索ポイントはそれぞれ簡単に判別可能で、プレイヤーはその時の気分に応じて好きなレベルの緊張感を味わうことができます。


(中規模ダンジョンと小規模ダンジョンの区別ができるかは現在不明ですが、おそらく可能。マップ上に配置された、レガシー以外の大きな教会・城塞などの建造物が目印になっていると考えられます)


この「自分の意思で、自分のタイミングで、どの程度の緊張感のある冒険をしたいかをある程度選択できる」というのが、エルデンリングの、オープンワールド系ゲームならではの、非常に自由度の高い冒険感のミソになっていると感じました。


他のオープンワールド系RPGとかで「メインクエストを進ませるか、サブクエストをやるか」というところで自由度を感じさせていたところを、「どの探索ポイントに手を出すか」で置き換えた、と言えばわかりやすいかもしれません。


またこういう風に段階分けをしてバラエティー豊かにすることで、例えば「どこを探索しても似たようなダンジョン探索だけじゃん」といった具合に、同じような体験だけが続いて飽きてしまうこともなくすように工夫がされているとも感じました。


いずれにせよ「自分の意思でどういう冒険ができるかを選択できる」「そしてその選択肢にはいろんな種類がある」というのは、オープンワールド系のゲームが演出する自由度として一番コアなところだと思います。

このあたりをここまで細かく段階分けしてバラエティー豊かにし、手厚くレベルデザインしたゲームって、たぶん、なかなかないと思います。


しかもそれで「100%プレイヤーの意思通りにならない」ランダム要素として、例えば廃墟で宝箱だけでなくボスとの戦闘が起きたり、短めのダンジョンと思ったら意外に入り組んでいて緊張感を強いられたり……と、プレイをしていく上での嬉しい意外性についてもぬかりありません。


〇さらにブレワイの弱点もばっちりカバー


また、「ブレワイ」での数少ない批判点であった「祠をクリアした際の報酬の変りばえのなさ」も、エルデンリングについては心配ありません。


上記の探索ポイントにはそれぞれ「新しい装備」「新しい戦技」「あたらしい魔法」といったクリア報酬が用意されていますが、これがどれも魅力的なのです。


装備は言わずもがな、エルデンリングは過去のソウルシリーズに比べて魔法や戦技が特に派手になっており、どれも一度は試したいと思わせてくれるものが多くあります。(ここらは公開されているPVを見れば理解いただけるでしょう)


これが単なる冒険心だけでなく、各探索ポイントへと足を運ぶモチベーションとして大いに機能してくれるでしょう。


〇さらに密度も広さもすさまじい


出来の悪いオープンワールド系ゲームでありがちなのが「マップの密度が薄く体験として暇」というものですが、こちらも全然心配ないと思います。


それぞれの探索ポイントも非常に密度が高く配置されており、クラフト素材を採取しながら移動したり、あるいは馬で一気に駆けると、本当に一瞬で見つかります。(実際馬だと、1~2分くらいで探索ポイント間を移動できる)


そしてそういった密度の高いフィールドは、実に広大です。

今回のネットワークテストは、だいたい10時間程度でほとんどの要素に触れることができましたが……おそらく製品版ではその10倍以上の規模があると予想されています。


(エルデンリングが6エリア構成でできており、今回のネットワークテストで触れることができたのが、そのなかの1エリアのさらに半分~1/3の範囲のため)


〇結局楽しみだよね、とそういう話でしかないのです。


自分がエルデンリングを

「フロム製のブレスオブザワイルド アップグレード版」

と受け取ったのは、つまり以上のような考えによるものです。


正直なところ、そもそもこの見立てが合っているかはわかりませんし、また合っていたとしても、緩急の付け方が成功するかどうかは製品版をやってみるまで分かりません。

(特に緩急の急の部分は、ネットワークテストでは一番コアなところを実装してなかったので十全に味わえたとは思えない)


だから今言えるのはもうこれだけです。


「ネットワークテストなのにめちゃくちゃハマって楽しんじまった」

「これはもう製品版も期待大ですよ奥さん!!!」


以上、エルデンリングのネットワークテスト版、長文レビューおちまい。


いやあ、発売が楽しみだぁ。

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