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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

古代マヤ文明の幻 上

作者: 小城

 古代マヤ文明は、今のメキシコ周辺に存在していた。紀元3世紀には、ピラミッド型の神殿や祭礼場、などが建造され、天文学、象形文字、暦などの発明や、国王、貴族、司祭を中心とした政治を行っていた。その文明は紀元800年を頂点にもっとも栄えたが、やがて、これらの都市は放棄されて、文化の中心は他へと移っていった。

 彼らの政治は占星術による神権政治である。今日もピラミッド型をした神殿の中央で、金の冠を被った司祭が天空の星々を眺めながら、神との交信を試みていた。神殿の周辺には、他の神官や貴族がこれから司祭の姿を借りるであろう神のことを崇め、祈りを捧げている。今年は雨が少なくマヤ全体が飢餓に苦しんでいた。この日は、マヤすべての都市の国王たちが集まり、これから直面するであろう自分たちの危機への対策を神託に委ねていた。この日までに、マヤの国王たちはそれぞれ生贄を神に捧げることを何度となく繰り返していたが、それらによる成果は一向にあがらなかった。

「神よりお告げが下った。」

ピラミッド型の神殿の中央より、司祭が大きな叫び声を上げて言った。

「この土地は神に捨てられた。神は東へ移っていった。我々も神を追って、東へ向かわなければならない。」

歓喜と響めきと驚きが入り混じった声がピラミッドの周辺から湧き起こった。ある者は叫び踊り、ある者は地面にひれ伏して許しを請うた。国王たちは使者を宮殿へと走らせた。その場は一種のパニック状態になり、やがて、それは神への感謝とこの土地との別れを告げる宴へと変わっていった。

 しばらくして、この土地に残ったのは無人の建造物だけであった。人々はわれ先にと豊かな土地を求めて東へと向かっていった。あのピラミッド型の神殿も、先日の騒がしくも、懐かしい宴の賑わいは影を潜め、辺りに響くのは、少ない木々を揺らす風の音と、どこか遠くから聞こえる犬の鳴き声だけである。今この瞬間もマヤの人々は数多くの人と物を抱えながら、冷酷で豊かなこの大地の土を踏みしめて東へと向かっていた。

内容は文化的、歴史的事実とは異なる場合があります。

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