8話 悪夢
「あれ…ここ…どこ?私…」
私はふと気づくと見知らぬ場所にいた。
「ここは…学校?」
辺りを見渡してみると学校の校舎が見える。
「ああ…これ夢か」
私はたしか浅草に行って…それから帰ってきてすぐ寝ちゃったんだっけ。
まあ、別にわざわざ起きなくていいよね。もう少し夢を楽しんどこ。
「あれは…人?」
私がふと学校の玄関を向くと、オレンジ色の髪に、青色の目と緑色の目をした女性が入ってきていた。
「誰だろあの人…?」
私が記憶の中を探し回っている間に、女性はどんどん近づいてくる。
そして私の前に立ち、私の方に手のひらを向けてきた。
すると次の瞬間、私の右腕が消えていた。
「あ、いっ、だだだだァァァ!」
私は思わず絶叫してしまった。
と言っても、腕が消えたからではない。
夢の中なのに、なぜか本当に腕が切り落とされたような痛みが走ったからだ。
私がそうしてもだえ苦しんでいる間にも攻撃は続く。
私は必死に身体を再生させるが、間に合わず、どんどん身体が消滅していく。
そうして、大体服が赤色の服に変わったぐらいのときに、彼女はこう呟いた。
「ふむ、もう来おったか。後少しだったんだがな」
誰かの声が聞こえてくる。
そしてその声で夢の世界は一瞬で崩壊され、私は目を覚ました。
「リサお嬢様、大丈夫ですか!悪夢でも見ましたか!?」
「あ…ユーノー…」
どうやら身体は無事みたいだ。試しに右腕を回してみたが、まったく問題なく動く。
そこで一安心したからだろうか。私は泣き出してしまった。
「えっそのリサお嬢様!?…とりあえず落ち着けるように紅茶持ってきます」
「待って!…お願…い、今…この部屋から出ないで…」
「わ、わかりました」
今ユーノーがこの部屋から出たら、あの女が私を殺しに来る気がする。
しばらくして、私はなんとか気分を落ち着けると、ユーノーにあの悪夢のことを説明した。
ユーノーは頷きながら静かに私の話を聞いてくれた。
「ねえ、ユーノー。あなた何か私に隠してることない?」
「え…いや、無いですよ。なんでそう思うんですか?」
「いや、なんとなく。ちょっと気が動転してるからかな。ごめん、変なこと言って」
「はぁ…いいですよ。私も昔黒い丸がどんどん大きくなってくる悪夢を見たときは、つい発狂して時計壊したことありますし」
「え…、それ、怖いの?」
「怖いですよ!なんか何もない世界でよく分からない物がどんどん大きくなってくるのってなんか不気味で嫌なんですよ」
「んー、体験してみないと分からないなぁ」
私はだんだんユーノーと話しているうちに気分が治ってきた。
「それにしてもあの悪夢、一体何だったんだろ」
「まあ、気にしても仕方ないですよ。大体ここに来てから謎ばかりですからね。いつかきっと何かの拍子で分かりますよ」
「そういうもんかなぁ…。まあ一応捜査はしとこうよ」
「ええ。できるだけ色々探って置くのは大事ですからね。特に私に傷をつけた者と、リサお嬢様が見た女性については入念に調べておきます」
「私もできるだけ探ってみるよ。それでも分からなかったら、時がやってくるのを待つしかないね」
私はそう言うと、ベッドから立ち上がり、ユーノーがいつの間にか持ってきてくれた紅茶を飲んだ。
次回から本格的にスタートします。
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