26話 癒えない傷
私はユーノーに今までのことを話し、ユーノーに意見を聞いた。
それに対してユーノーは「そうですか…… 入学式といい、色々大変ですね、学校の先生方」と感想を呟いた。
そして、ユーノーは私にクッキーを勧めると、ゆっくり話し合おうと言ってきた。
「まずは犯人の動機ですね。たまに動機がないタイプの犯人もいますが、とりあえずある方向で考えましょう。ない方を考えるのは時間の無駄ですから」
ユーノーはそう言いながら紅茶を作り、私に差し出してくる。私はそれを受け取って、クッキーでパサパサになった口に流し込む。
「そうだね。あっ、田中さんの幽霊に聞けばよかったなぁ、恨まれてないか」
「まあ、それは明日聞けばいいと思いますよ。それに、そういう話なら流生さんも知ってるでしょうし」
ユーノーは微笑みながらそう返すと、近くにあった定規を手に持つ。
「ただ問題なのは、その動機が我々に関係しているかどうかです。例えば犯人が流生さんを極端に恨んでいて、それで彼の友人を殺したとかですね。可能性は低いですが、実際そういうことをやった犯罪者は過去にいますから」
ユーノーはそう言って私に定規を向ける。
「うーん、そんな回りくどいことわざわざするかなぁ? それならさっさと本人◯しちゃった方が楽だと思うけど」
「……◯すより生かしたまま絶望させる方がいいって人もいるんですよ。それに恨んでいるのが一人とは限りませんから。田中さんと流生さん両方恨まれてる可能性もありますし」
「うーん、じゃ結局捜査を進めないとだめだね。それにしても、日本ってこんな物騒な国じゃないって聞いたんだけどなぁ……」
私は深くため息を吐くと、クッキーをもう一個食べる。
「……大体私達が来たからって理由な気もしますけどね。今回も犯人に魔法の才能目覚めさせたの私達でしょうし」
「私達って帰った方がいいのかな……?」
私は消えそうな声でユーノーにそう聞く。
入学式の一件も、今回も、私達がいなければこんなことにはなってなかった。
幽香ちゃんからは確かに大丈夫と言われた。
でも、それでも私は責任を感じていた。
色んな人達に迷惑をかけたことに。
「……すみません、失言でした。別に帰らなくていいと思いますよ。どの道流生さんがいる時点で遅くとも幽香さんは絶対魔法の才能目覚めましたし」
「そっか。流生先輩って私達関係なしに魔法使えたんだっけ」
あの人、なんで使えるんだろ。やっぱり才能?
「そうですね。……とにかく、今日はもう休みましょう。連日事件続きで疲れているんでしょう。リサお嬢様も私も」
「うん……そうする。ちょっと頭が痛くなってきちゃった」
私はそう言って上に上がると、ベッドに横になる。
頭が痛い。とユーノーには言ったけど、今は胸から目にかけてが痛い。
痛みの原因は分かってた。
私が泣いてるからだ。
でも私は、自分がなんで泣いてるのかは分からなかった。
なんでだろう。なんか悲しくて悲しくて涙が止まらない。
……ユーノーの言う通り、私疲れてるのかな。ちょっとお昼寝でもして休も。
私はそうして横になると、ゆっくりと目を閉じた。
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