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2章 5話(23話) 捜査開始!

「えっと…これからどうする…?」 


 幽香ちゃんは顎に手を当てて、私に聞いてきた。


「んー、とりあえず昨日と今日休んだ人が誰かを確認しようか。そっちの方が調べやすいし」


 私は少し考えると、幽香ちゃんにそう提案する。すると、幽香ちゃんは少し微妙そうな顔をして、先生教えてくれるかなぁ…と呟いた。


「多分大丈夫でしょ。ま、駄目なら駄目でなんとか情報探すし」

 

 私はそのまま走りだし、佐藤先生のところへ向かおうとする。


 が、幽香ちゃんの姿が見えないことに気づき、慌てて戻る。


 そうして玄関まで戻ると、幽香ちゃんが息を切らしながら立っていた。


「幽香ちゃん、置いてきぼりにしちゃってごめん!」


 そんな私に幽香ちゃんは軽く微笑む。


「大丈夫…。私が遅いのが悪いから…」



 どうやら気を使われてしまったらしい。

私は心の中で本当にごめんと叫び、こう返す。


「いやいや、私が急に飛び出しちゃったのが悪いから。だから無理しないで」


 幽香ちゃんは階段の手すりを掴みながら、ふらついた状態で階段を上がろうとする。

 明らかに無理してるのに、幽香ちゃんは大丈夫と返してそのまま階段を上がっていく。


 私は幽香ちゃんが落ちそうで心配だったので、幽香ちゃんの背中を手で支えながら階段を上がる。


 そうして二階の職員室に着くと、私達は佐藤先生のところへ行き、話を聞く。


「学校全体の欠席者ねぇ…そんなの調べてどうするの。まさか例の二つの事件の犯人探し?だとしたら教えないよ」


うーん、やっぱりそうなるよね。さすがに田中さんの事件追ってるとは言えないし…。適当にごまかすしかないかな。


「いや、入学式と新学期初日の日に何人休んだ人がいるのか気になったので。ほら、初っ端から遅刻とか欠席しちゃった人とかたまにいるじゃないですか。それがどれぐらいいるのかなって」


 結構無理矢理な気がするけど、このまま行くしかない!


 佐藤先生は、しばらくこちらを黙って見つめて、ため息をついた。


「…正直怪しいけど、まあいいよ。おおかた流生に頼まれたんだろ」


 え、違うけど…まっ、そういうことにしとこ。


 私は幽香ちゃんをちらりと見ると、びっくりした顔を必死に隠そうとしているのが見える。なんかかわいい。


「あいつ田中と仲良かったからな…犯人を見つけたくなる気持ちも分かる」

 

 佐藤先生はそんな独り言を呟き、天井を見上げる。

 と、そこで幽香ちゃんが先生に質問をする。


「佐藤先生…お兄ちゃんと知り合いなんですか…?」


「ああ、一年の時あいつと田中の担任だったんだよ。あいつは性格はともかく顔と頭は良かったから、クラスでは人気者だったよ」


 確かに流生先輩顔は良いからなぁ。性格は…ちょっとアレだけど。


 「へぇ…てっきし動物が友達なのかと思ってた」


 「まあ、確かに昼休みによく田中とかと動物で遊んで…たなぁ…」


 佐藤先生はその時のことを思い出したのか、涙声になってしまった。そして、涙声になったまま、こう言った。


「流生に…こう伝えておいてくれ。くれぐれも事件に深入りするなと」


「…分かりました。伝えておきます」


「…伝えます」



その後、放課後までに調べておくから、とりあえず今は待っててくれと言われ、私達は教室に戻った。


 「…犯人絶対見つけようね」


 「うん…!」


 私達はそう固く決心し、放課後になるまで待った。


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