2章 1話(19話) 不穏な動き
「あー、よく寝た!」
私はベッドから起きると、ユーノーと朝食を食べて、学校に向かう準備をする。
「この5ヶ月凄く長かった感じするよ…でもようやく通えるんだね、学校」
「そうですね。今は正直せめて2月ぐらいに来るべきだったと考えています」
「だよねー。そこは正直後悔してるよ、私も。ま、牧田兄妹と出会えたし結果オーライってことでいいんじゃない?」
私はそう言いながらリュックを背負って、玄関に向かう。
「まあ、家隣なんでいずれ出会ってたと思いますけどね」
「…言い方が悪かったわね。あんな出会い方しないって話。あれがなければお互い魔法使いってことも気づかなかったかもよ?」
「いや、それもリサお嬢様が家飛び出さなければ何も起きてないですよ」
「…………!」
これがジャパニーズ論破と言うのだろうか。私は何も言えず、ユーノーを殴りたい衝動に駆られた。
「うるさーい!」
そうしてしばらく衝動に耐えた末に私はこう捨て台詞を吐いて、家から出て行った。
私が家から出て行った後五分ぐらい後に、隣の席の多田野風子に出会った。
「やあ、理沙ちゃん。おはよー」
「あ、風子ちゃん。おはよう!」
風子はやたら重そうなリュックを背負いながら歩いている。
初日なのに何持ってるのかな?そんなに荷物いらなくない?
私がそう考えていると、風子はあの事について話してきた。
「昨日さ、なんか皆揃って寝ちゃってたみたいじゃん。なんて言うか陰謀感じるよね。こう、なんか悪い人達が私達を実験で眠らせた的な感じでさ。分からない?」
分かるけど、犯人が分かってるから答えづらいなぁ…。
私はそう考えながら幽香ちゃんがマッドサイエンティストみたいな顔で笑っているのを想像して、思わず吹き出してしまった。
「ん?なんで笑ってるの、理沙ちゃん。ハッ!もしかして理沙ちゃんが犯人!?」
「なわけないでしよ!私も見事に爆睡してたよ」
「だよね…。そうだ、私達で犯人探してみない?多分他の人達も探そうとしてると思うし、競争って感じでさ」
「いや、遠慮しとこうかな…なんか魔女狩りみたいなことになりそうだし」
私がつい口滑らして幽香ちゃんに疑いがかかるの嫌だし。
「えー、やろうよー。やらないなら理沙ちゃん犯人ってことにするよ」
「それバリバリ魔女狩りじゃん。無実の人迫害しちゃってるじゃん」
「いや、私が犯人って言ったらそいつが犯人だから」
「謎理論やめよ?」
私達はそんな会話をし、学校に着くと、教室に入った。
すると、どうやら風子は小学校からの友達がたくさんいるらしく、五人ぐらいの女子が一斉に集まってきた。
「お、風子ちゃんおはよ~」
「おはよ~皆。昨日のアレましヤバくない?」
「アレやばいよね〜!」
…どうしようこれ。
私はつい離れるタイミングを逃し、ただ会話についていけずただ突っ立ってるだけのカカシとなってしまった。
「あ、そうだ。さっきから風子の隣にいるあなた、誰?見た感じ、この辺の子じゃなさそうだけど」
ようやく話しかけられた…。
私は内心嬉しく思いながら説明する。
「私の名前は須藤理沙。神奈川県から来たから知り合いあんまりいないの。よろしく!」
「ふーん、そう。よろしく」
…なんか反応悪いなぁ。向こうの名前教えてもらってないし。まあいいや、そろそろチャイム鳴るし、自分の席座ろ。
そうして私が椅子に座って、この間買った推理小説を読んでいると、幽香ちゃんが話しかけてきた。
「理沙ちゃん…。朝のニュース見た…?」
「いや、見てないけど。なんかあったの?」
「それが…昨日の事件が…取り上げられてて」
「え、もうニュースに載っちゃったの!?」
道理でなんか学校の近くに変な人達が集まってたわけね。
「うん…どうしよう…私」
「…とりあえずなんも知らないふりするしかないんじゃない?」
「それもそうだね…」
そう話をしている時に、チャイムが鳴って佐藤先生が入ってきたので、私達は一旦黙り、席に戻った。
「どうも皆さん、おはよう御座います!早速ですが、二つ注意事項があります。一つ目は、知っている人も多いでしょうが、今日のニュースで昨日の事件が取り上げられたことについてです。これについては、犯人探しをしないこと。それから野次馬や新聞記者などになにか聞かれても無視してくださいと言うことです」
と、佐藤先生が言ったところで、一人の男子生徒が文句を言った。
「なんで質問に答えちゃいけないんですか〜?もしかしてなにか学校が関与してるから探られると困るとか?」
それに対して、佐藤先生は「いえ、単純に下手に事態をややこしくしたくないからです」と返した。
その発言に複数人の生徒が色々言っていたが、佐藤先生の次の発言でクラスが一瞬で静かにになった。
「それで…二つ目ですが…今日の朝、二年一組の田中綾音さんが、遺体で見つかりました…」
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