15話 目覚め
前回のあらすじ
ユーノーがなんとか理沙の固有魔法の暴走を止めた。
「あれ…私…っそうだ幽香ちゃんは!?」
私は確か一回倒れちゃって…、それで気づいたら幽霊がいなくなってて…その後どうしたんだっけ?
「幽香さんなら無事ですよ、理沙」
「あれ、なんでユーノーg」
私がユーノーに質問しようとした瞬間、ユーノーが私の口を手で塞いだ。
そして静かにユーノーはこう言った。
「リサお嬢様。今流生君もすぐそこにいるのでユーノーと呼ぶのは止めてください」
ユーノーに言われて慌てて周りを見渡してみると、確かに流生先輩がすぐそこにいた。
「あのー、大変申し訳にくいんですけど、全部聞こえてますよ。会話」
「へ?」
「前に説明したと思うんですけど、僕、契約してる動物から加護が受け取れるんですよ。それで普通の人より耳いいから全部丸聞こえだったんですよ。で、なんで兄妹で変なあだ名で呼んでるんですか?」
「えっと…これには…その…深い訳が…」
なんか勘違いしてるみたいだけど、どうしよう。本当のことは言いたくないし…かと言って嘘は思いつかないし…。
と、そこでユーノーがテレパシーを送ってきた。
(リサお嬢様。彼は勘違いしてなんかいません。着実に真相に近づいて行ってます)
(え?なんで今の情報だけで真相に近づかれてるのよ!?)
(リサお嬢様が気を失ってる間に色々あったんですよ。それでバレかけてるんです)
(色々って何!?)
(…後で説明します)
そう心の中で問答していると、横から流生先輩が話しかけてくる。
「あの、今更精神操作使ってももう遅いですよ?」
「な…なんでユ…能有の固有魔法を?」
「いやー色々あったんですよ」
「だからその色々って何!?」
「…だからって言ったってことはテレパシーで能有さんにも同じこと聞いたんですね?」
「あっ…」
私の馬鹿!
「…まあ今は追求はやめとくよ。僕以外皆重症だし、幽香も心配だからね」
「うん、そうしてもらえると助かるよ…正直このままだとまた寝ちゃいそzzzzz」
「理沙さん!早速寝てるよ!」
「ハッ!」
しまった…また意識が飛びかけてた。
「…とりあえず幽香の様子見てくるので能有さん後よろしくお願いします」
「いいですよ。ついでに近くのコンビニでゼリー買ってきてもらえますか?」
「了解でーす」
流生先輩はそう言って階段を駆け降りてった。
「…それにしても、これ入学式できるのかなぁ」
「できないんじゃないですかね。それどころか私達がここにまだ居られるかも怪しいですよ」
「…せっかく日本に来たのに、なんか変なことに巻き込まれてばっかだなぁ」
私はそう言いながら屋上の床に体を預ける。
気持ちいい風がこちらに吹いてきて寝てしまいそうだ。
「そうですね…。でも多分流生君にリサお嬢様が会って、魔法の話をしなければこんなことになってなかったかもしれませんよ?」
「いや、それはないね。むしろ幽香ちゃんの固有魔法の暴走に気づくのが遅くなって今頃皆全滅してたよ」
「あー、それは一理ありますね。あの魔法相当強いですからね」
ユーノーはそう言って私の横に寝っ転がる。
「ほんと幽香ちゃんの固有魔法強すぎだよ!あれ下手したら私のパパと張り合えるんじゃないかな」
「いやー流石にそこまではいかないと思いますよ。相性の問題もありますからね」
「それもそうかもね」
そんなことを話しているうちに、誰かが階段を登って来ているのが聞こえてきた。
どうやら流生先輩が帰ってきたみたいだ。
私は体を起こすと、屋上の扉に目を移す。
少し経つと、屋上の扉から、流生先輩と幽香ちゃんが出てきた。
「ごめん、理沙ちゃん!私のせいで…」
「いやいや、気にしなくていいよそんなの。それより体調大丈夫?貧血になってたりしない?」
「え?理沙ちゃんが私に輸血したんじゃ…」
「え?いや私そんなことしてないよ」
そもそも血液型の相性が良いかも知らなかったからね。
「え、じゃあ誰が…」
「はい、二人共一旦ストップ。そろそろ学校の人達目覚めちゃうから早く二人共教室戻らないと」
「あ、そういえばそうだったね。…って制服血だらけだからこのままだとなんかあったのバレるじゃん!」
しかも背中に穴空いちゃってるし。
「それなら私が魔法でどうにかできますよ。服が切れてる部分は理沙の固有魔法でどうにかしてください」
「お、流石能有!それじゃお言葉に甘えてお願いしようかな」
「わ…私もお願いします」
「いいですよ。あんま時間ないでしょうから急いでくださいね」
ユーノーはそういうと、私達の制服の血を魔法で洗い流してくれた。
そして私達は急いで教室へと戻り、着席した。
一章はそろそろ完結です。
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