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14話 魔法ノ暴走 その4

前回のあらすじ

リサの固有魔法が暴走した。


別に勝てる見込みがあった訳ではない。


元々私の役目はリサお嬢様の固有魔法が暴走する前に止めるだ。暴走した後に止めることではない。


 固有魔法、ロー・オブ・ネイチャー。あれが一度暴走すると、魔王様ぐらいしか止められる生物はいない。


 せいぜい私の精神操作では身体を戻すことはできても、奴が暴れまわるのを止めることはできないかもしれない。

 

 だが、それでも私は、あのクソガキの笑顔を破壊する者を許すことはできなかった。


 心の中を見ている限り、奴の目的は流生君と幽香さんを殺し、その場でリサお嬢様に身体を返すこと。


 それを防ぐならまずは彼に連絡しなければ。


 私は鷹にテレパシーを使い、リサ生に連絡する。


 (状況は把握できてますか、流生君?)


(はい、ばっちりと。なにか動物を援護に行かせましょうか?)


(いえ、とりあえずあなた達はこっそりここからできるだけ離れたところへ逃げてください。奴の狙いはあなた達ですから)


(分かりました。能有さんもお気をつけて)


と、そこであの女はゆっくりと近づいてきた。


「さて、半殺しと行くか」

 

 そう言ってあの女の手が動いたかと思うと、私の右手がいつの間にか消えている。 


 固有魔法ロー・オブ・ネイチャーによる遠隔破壊。  

 

 元々は空気中で使うと拡散してしまい、魔法使い自身にも被害を及ぼす危険な代物。 


 だが、奴が使えば話は別。

 見えないビームが空間をえぐるかの如く直線的に物質を破壊していく魔法に早変わりだ。


 …これは変身を解くしかなさそうですね。人間の姿でどうにかできる相手ではないでしょうし。


 私はそう考え変身魔法を解き、私本来の姿になる。


 私は腕が4本になり、手に口がある化け物となってあの女に殴りかかろうとする。


しかし、あの女はひらりと身をかわすと、私の心臓目掛けて破壊魔法を撃って反撃してくる。


 私はなんとか破壊魔法を避けると、手にある口で、炎の魔法を唱える。


 呪文魔法。文字通り言葉で唱える魔法。詠唱している時に隙が出やすいのが欠点だが、この姿の私なら隙を出さずに放てる!


 炎の魔法はあの女に直撃し、周りに火の海を作った。

 だがしかし、それでもあの女にはまったく効いていない。

 

 「うん、貴様本当に弱いな。なんで貴様如きがリサちゃんのお目付け役をやっているのか、理解に苦しむ」


 あの女は退屈そうにあくびをしている。

完全に私のことを舐めきっている様子だ。


「あなたには分からないでしょうね。一生」


「ああ、分からん。なぜか半殺しで済むチャンスを逃してまで儂を煽ろうとする者の事などな」


あの女はそう言いながら私に手を向けるとオレンジ色の液体を手から発射しようとした。


 だが、その液体は私に当たることなくどこかへ飛んでいった。


 私があの女の手を「精神操作」で操ったからだ。


「ふむ、ただの負け犬の遠吠えかと思ったが、対策はしてあったのだな。まあいい。なら量で倒すだけだ」



彼女はそう言うと今度はとんでもない水の量を体全体から出し、私を屋上から落とした。


 私は水の中でなんとか受け身をし、再び屋上に戻ろうとするが、水の勢いが強くまともに動く事ができない。


 それでもなんとか屋上に向かい跳ねると、あの女は私に向けて再び破壊魔法を打とうとした。


 私は手の口で風の魔法を撃ち、反動を利用しそれを避けると、再び屋上に戻った。


 「しぶといな貴様。今の破壊魔法で貴様を殺すつもりだったんだが、まさか避けるとは」

 

 彼女はそう言いながらも破壊魔法を撃ち続ける。


 私はそれをあの女の心を読みつつなんとか避ける。


 …後少しであの女からリサお嬢様の身体を取り戻せる。


 だが、正直もう精神力も魔力も限界に近い。


 このままではいずれ当たる。なんとかしなければ。


「ええい、まどろっこしい!いい加減死ね!」


 そう考えてるうちにあの女の攻撃はどんどん激しくなってくる。


 そしてとうとう、私は足にあの女の破壊魔法が直撃してしまった。


「はあ…ようやく殺せるのか。まったく、手こずらせおって」


 そう言いながらあの女が近づいてくる。どうやら至近距離でしっかり仕留める気のようだ。


 「それじゃ、さようなr」 


 あの女がそう言いかけたその時、急にあの女の身体が吹っ飛んだ。


「いやーなんとか間に合いましたね」


「な、なぜ戻ってきたのですか、流生君」


「いやそりゃやばそうな状況だったからに決まってるじゃないですか。あなたに死なれると、僕が理沙さんと幽香に殺されますからね」

 

 あの女を吹っ飛ばしたのはチーターだった。


 どうやら彼は幽香さんをある程度遠くに連れていき、その後わざわざ戻ってきてくれたようだ。


「それより、能有さん。理沙さんの姿が元に戻ってきてますよ」


 流生君に言われ、私があの女の方を見ると、そこには黒い髪に、灰色の目をした少女が横たわっていた。


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