撒き餌
次の日、商業ギルドにて売り場の場所が書かれたチケットを貰い、その場所を探す。
地図を見ながら街中を歩くと露店が並んでいる場所につき、その1箇所が空いていた。
どうやら、ここが俺の場所らしい。
早速、そのスペースにレジャーシートを張りその上に木の容器を並べていく。この容器の中にはピンク色の少しドロっとした液体が入っている。
...変なものじゃないよ?
パッと見、よく分からないものにお金を払ってまで買ってくれるとは思ってないので個別に小さな皮の袋に個包装した物も用意している。
この個包装は1人につき1袋のプレゼント用...悪い言い方をするなら撒き餌ってやつだな。
しばらくレジャーシートの上で待っていると、
「これは木の容器?中身は何かしら?」
前を通りがかったマダムが声をかけていた。
「えと、これはトリートメントと言うもので...」
そう、俺が用意した商品は「トリートメント」だ。
ナルニアは何時も髪の毛サラサラだし、俺も自動洗浄でサラサラだから気にしたこと無かったが...この世界の男女は、ぱっと見るだけで髪の毛がかなりゴワゴワしているのがわかる。
これは平民だけかと思いや、どうやら貴族や王族も悩んでいる問題で色々試しているらしいがなかなか改善されないらしい。
このことについて図書館の本で見た時は、「これは売れる!」と内心めっちゃ喜んだ。
だって、トリートメントは錬金術Lv5のオリジナルレシピで木から作れる超ファンタジーなレシピを知ってるんだよな。
木だから原価ゼロ円で大ヒット商品を作れるチャンス。
しかも丁度よく森抜け中に錬金術のレベルは5になった。
もうね。やるしかないだろって。
「っ!!本当にこれを使えば髪の毛がサラサラに?」
「ええ。もちろん!でも、お値段お高めですし、不安でしたらこちらのお試しをプレゼントさせてもらいますよ。」
俺の説明を聞いて、驚いているマダムに追撃でプレゼント(撒き餌)を渡す。
「あら、これを使って良かったら買ってくださいってことね?分かったわ、そこまで言うなら期待させてもらうわね。」
プレゼント(撒き餌)を受け取ったマダムはワクワクした表情で去っていった。
この後、同じように男女複数人に撒き餌を配ることに成功した。
...この世界の男女合わせて5割は髪フェチということを俺はまだ知らない。
今、冷静に考えると5割髪フェチはやばいな...