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とある夏の日 家族旅行編 3日目 食べ歩き

「うわぁ!いっぱいあるね!」


凛がキラキラした目をいっぱいに開いて見る先には、新鮮な魚介類が所狭しと並んでいる。

一見して普通の鮮魚店のようだが、ここは買ったものをこの場で食べられるのだそうだ。

この市場にはそういった店が幾つかあるようだが、凛が野生の勘で選んだのはこの店だった。


「りんちゃん、何が食べたい?」


「んとね、んとね……これ!」


凛が指差したのは、薄い青緑色の卵をお腹に蓄えた赤いエビであった。


「お、ボタンエビか。」


そういえば寿司屋では食べてなかったな。

良いよなぁボタンエビ。

身がプリップリでしゃぶしゃぶにしたら最高なんだ。



「はるちゃんとゆうくんは?」


「ん……昆布締め。」


「色々種類があるみたいだけど、どれにする?」


「…エビ。」


甘エビの昆布締めか。

良い感じにしっとりして美味そうだな。

昆布締めは通販や持ち帰りでしか売ってない店が多いようだが、この店はすぐに食べられるものも少量だがあるようだ。


「なら、お母さんは車ダイの昆布締めを食べてみようかしら。」


車ダイ…マトウダイの事だな。

クセが無くて美味いんだよな。



「俺はカキにしようかな。」


大振りのカキは一目で気になってたんだ。


「岩ガキと真ガキがあるわよぉ?」


「もちろん、岩ガキで。」


個人的には真ガキの方が好きなんだけど、やっぱり夏は岩ガキだよ。


「はぁい。ちょっと待っててねぇ。」


母さんが店員のおっちゃんに注文をする。

おいおっちゃん、俺の母さんを嫌らしい目で見るんじゃないよ。

気持ちはわかるけど。




「……美味しい。」


姉さんが昆布で締めた甘エビを食べてほんのり笑った。

そして無言で俺に差し出す。


「良いの?」


「…ん。」


ありがたく受け取る。

昆布も食べられるが、俺は昆布そのものを食べるのはあまり好きではない為、はがしてエビだけ食べた。


「おっ、良い感じに締まってるね。味が深い。」


俺は締めたものよりちゃんとした生の方が好きだが、これはこれで良いもんだな。


「…ん。」


俺の反応が良かったからか、姉さんが嬉しそうに頷いた。



「お兄ちゃん、これ食べる?」


凛がボタンエビの卵をくれた。

おい、卵だけかよ。

いらないならもらうけど。


「…ありがとう、凛。」


綺麗な卵を口に入れる。

ねっとりした食感と刺身ならではの濃厚な味。

独特な香りは少しあるけれど、この香りは大丈夫なんだよなぁ。


「うん、美味いよ。」


「お兄ちゃん、それ食べれるんだ。凄いね!」


おい、食べれそうにないからくれたのか。

お兄ちゃんちょっと悲しい。

でも笑顔が可愛いから許す。



「ほら、ゆうくん。店員さんが割ってくれたわよぉ。」


「お、ありがとう。」


食べやすいように開かれた岩ガキを受け取る。

紅葉おろしやポン酢もあるみたいだが、俺は生レモンだけを絞ってかけてもらった。

新鮮な岩ガキはこれが一番だと思う。


「それにしても……デカイな。」


この岩ガキ…でかい。

母さんの色気にやられたおっちゃんが一番良いのをくれたのだろう。

間違いない。

それは気に入らないが折角もらったものだから、ありがたくいただくとしよう。


「あーん……んぅ!」


一口では食べきれず、半分ほど齧り付く。

新鮮な岩ガキのさっぱりした味と食べ応え抜群の食感。

嫌な匂いはなく、レモンのお陰で更に爽やかな風味になっている。


「次は貝柱のところを……ぅお!!」


さっきよりコリコリとした食感で、微妙な味わいの違いがある。

どちらも美味いが、俺は貝柱に近い方が好きかもしれない。



他のお客さんの邪魔にならないよう、食べ終わった俺達はすぐにその場を後にした。

おっちゃん、名残惜しそうな顔で母さんを見るんじゃない。

お客さん来てるでしょ、仕事しなさい。






「時間的にここで最後かしらねぇ。」


「そうだね。結構色々食べてお腹も膨れてきたし。」


「凛はまだ食べれる!」


「……ん。」


元気いっぱいの凛を見て姉さんが呆れたように首を振った。

姉さんは少食だからね。



ということでやってきました最後のお店。

立ち食いおでんの店だ。

旅館でも加賀おでんは食べたが、あんな上品なのじゃなくてもっと庶民風のおでんを食べる為に来たのである。


「とりあえず美味しそうなの頼んで皆で食べましょうか。」


「うん、良いと思う。」


母さんが適当に注文していく。

てなわけで色々食べました。



車麩。

ドーナツみたいに穴があいた丸い麩のおでん。


「これ可愛い!」


「汁をいっぱい吸って美味しいわねぇ。やっぱり出汁が良いのねぇ。」


「…ん。」



魚介のすり身を蒸したおでん。

エビやカニのすり身もあれば、のどぐろのすり身などもあった。


「カニの内子やミソも入ってるから濃厚さが半端じゃないな。これは美味いわ。」


「のどぐろも美味しいわよぉ。一度炙ってあるから香ばしいわ。」


「エビ美味しい!!」


凛、そんなにエビ好きだったっけ?



茹で卵をすり身で包んだおでん。


「んぉ!中から卵出てきた!」


「ちょっとちょうだい……うん、美味いね。」


「お兄ちゃん!黄身とっちゃダメ!!」


「あ、ごめん。」


それにしてもこれ、すり身の部分が結構分厚くて大きいな。

食べ応えあるしちゃんとすり身から魚の味がして美味いわ。




美味しいものはかなり堪能したな。

そろそろお土産を買って帰らないといけない。

家族旅行編は次回でようやく終わりです。

元々の予定では10話かからず終わる予定だったのですが……どうしてこうなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] カキはエロイね。 たんぽぽの1シーンを思い出します。 もしかして、普通のエロ動画より 官能的じゃないかな? 食はエロイよね。
[気になる点]  高校生になるまでが長すぎる。確かにヒロインと絆が深まる系エピソードもNTRには需要です、けどそれは感情移入させてNTRされた際の精神ダメージを増加させるのがメイン効果です。  対して…
[気になる点] ストーリー上必要のないグルメリポや観光旅行描写が多過ぎる 本来5話くらいでやるべき内容
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