いつの間にか6年生 後編
本日2話投稿。
2話目です。
凛は5年生になっても変わらず、天真爛漫で活発な女の子だ。
やや目尻の釣り上がった猫目は姉さんと一緒のハズなのだが、表情がコロコロ変わってよく笑う凛のパチクリとした眼は、姉さんよりも大きく見える。
身長も低くまだ幼い顔立ちだが、ジュニアアイドルとして十分やっていける程の美少女だ。
クラスでもさぞモテている事だろう。
だが妹はやらんぞ。
少なくとも俺より強い奴でないと凛は渡せない。(空手世界大会少年の部入賞者)
凛も高学年になり同年代の子と遊ぶ機会が増えたが、未だに家ではお兄ちゃんお兄ちゃんと甘えて擦り寄って来る。
もちろん紳士である俺が拒む事はない。
むしろ撫でくりまわして愛でまくる。
また、心配していた通り凛は勉学が得意ではないようで、今でも毎日のように宿題は俺が手伝いながら教えているが、運動神経はずば抜けているようだ。
2年生になってからバスケクラブに入り、今ではレギュラーとして試合にも出ている。
身長は低めだが持ち前の瞬発力と猫のような軽やかな動き、そして意外にも器用なボール捌きで、シューティングガードを担っているのだ。
ちなみに、凛はボール捌きは得意だが料理はできない。
塩加減や焼き加減などがあまりにも適当で、卵焼きを何度焼いても焦がしてしまうのだ。
姉さんと凛は得意不得意が正反対だったりする。
姉さんみたいに頭は良くないし家事もできないが、姉さんと違って愛嬌があり、友達は多いようだ。
そんな凛と特に仲が良いのが、今年から同じクラスになった美緒である。
小学校に上がる際に親の仕事の都合で福岡から引っ越してきた美緒は、出会った当初は方言バリバリであったが、今では敬語を使えば標準語で喋れるようになっている。
テンションが上がって敬語が抜けた時は方言が飛び出すので、その瞬間は見ていて面白い。
よく家に遊びに来る為、俺もしょっちゅう顔を合わせているが、最近は俺に会うと顔を赤くして恥ずかしそうにしている。
特に惚れられるような事をした覚えもないのだが、何かあっただろうか。
ちなみに凛は美緒が恥ずかしそうにする度にニヤニヤして煽るのだが、俺が美緒を可愛がろうとすると頬を膨らませて拗ねるようになった。
嫉妬する凛も大変可愛らしい。
美緒は凛よりも背が高くスラッとしていて、まるでモデルのような体型だ。
彼女も凛と一緒にバスケを始め、6年生が引退したらクラブのチームリーダーになる事が内々に決まっているそうだ。
既にレギュラーの凛もいるが、凛にリーダーは務まらないだろうからな……。
ゲームでも凛はバスケをしていたが、美緒は小学生時代はサッカーをしていたはずだ。
そして高校で女子サッカーがない為にサッカー部にマネージャーとして入部した美緒と、主人公は出会ったのだ。
そもそも主人公と美緒が同じ小学校だというのも知らなかった……ゲームとこの世界の設定が全く同じとも限らないのだが。
少なくともゲームでは、主人公と美緒は中学は違う学校だったはずだ。
未だ謎が多いな。
綺音は変わらずスイミングと英語教室に通っている。
英語教室は俺と同じで半ば教師と化しており、今年度いっぱいで卒業だ。
スイミングは週に3回通っており、大会でも好成績を残している。
俺の周りハイスペックすぎぃ!!
彼女も美緒と同じように身長が伸びているが、美緒と比べると艶かしい体をしている。
細いのにむちっとしてるとかエロすぎる。
まだ小学生だぞおい。
綺音はずっと髪をツインテールにしていたが、去年からミディアムのハーフアップにしている。
大人っぽさもアップで男子達の見る目が変わったが、ずっと俺と一緒にいる為、ちょっかいをかける男はいなかった。
性格的には順調にツンデレ路線に進んでいるが、ゲームでの高校生時点と比べると随分と素直だったりする。
というよりも大人っぽいクールさを身に付けている。
綺音からの好意も十分に感じ取っているが、正妻的な余裕というか……あまり明け透けにベタついてはこないのだ。
それがそれで可愛いのだが。
とにかく、そんな感じで。
俺、6年生です。




